【完結】婚約から逃げた魔付き令嬢はエッチな人形作りを手伝う。※R18

かたたな

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ココ+ロマーゼル編

舞台脚本家ココと傀儡師のロマーゼル

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 ココ・ツァージル。舞台脚本家をしている。

 生まれは平凡な庶民だけど姉弟が多く、長女として幼い弟や妹の世話と家事の手伝いばかり。一人の時間が欲しくて、前世の記憶から知っている物語を自分が考えた作品として発表し、得たお金で王都まで出てきた。
 その頃には自分の事は自分でやれる年齢になっていた弟や妹達。だけどいつまでも頼られて苦しかったから逃げるように出てきた。

 盗作なんて最低だ。

 心にトゲが刺さりながらも、暫くの生活資金を貯める為に前世の記憶から作品を盗み続けた。逃げ出した家族にも申し訳なくて、できるだけお金を送る。

 王都に来てから、馬車馬のごとく小説の執筆をしていたら舞台化の話が出た。それをキッカケに脚本家としての手法を学び歩み始める事が出来ている。
 現在、23歳にして期待の新人舞台脚本家だそうだ。

 私は泥棒なのに今では結構良い生活が出来ていた。いや、泥棒だからか。

 『傾国の美女と醜い魔術師』これはアーシェリアの話を元に私がこの世界で初めて作ったオリジナル作。

 話題に便乗した弱い私の初めての第一歩だった。

 前世の記憶を探れば、よくある物語だと思う。だけど私の心が罪悪感から少し解放された。
 評判も良い。盗みから一歩踏み出せたそのキッカケをくれた彼女達に感謝の気持ちでいっぱいだ。


 なのに。


 はぁ・・・


 私は友人のアーシェリアにルナス・ウォルズマーさんを足止めするように言われたのだけど、一杯のお酒を一気に飲み干した彼はアッサリ帰って行った。

 「私、役に立たなすぎる!!」

 落ち込む私を横目に、食卓に着くロマーゼル・ローエンスコット。彼が19歳と年下なのもあり、気軽にロマと呼んでいる。
 
 「これで良いんじゃない。」
 「えー・・・何でそう思うの?」
 「本人が望んだから。」
 「うーん、そうかー。」

 ウォルズマー様本人がそうしたいなら、させたら良い。そういう事みたい。

 彼は「頂きます」と手を合わせてから小さく呟くと食事を始めてしまった。私がやっていたら彼も始めた仕草だ。

 せっかく用意したプチパーティー用の食事だ。少し多いけど二人で食べよう。
 
 「頂きます。」


 もぐもぐ

 もぐもぐもぐもぐ


 「お酒飲む?ジュースも一応用意したよ。」
 「お茶が良い。」
 「お酒かジュースって言ったのに。」

 苦笑いをしながらこの階にある共有スペースでお茶を淹れてきた。
 
 ロマにお茶を差し出しながら、部屋の隅に置かれた人形達を見る。

 「好きだね、人形。」
 「うん。ロマの作品は唯一の物だもの。どこの世界を探しても、ロマの作品は1つしかない美しい物だわ。」
 「魔術式で大量に複製出来ても?」
 「元があるからこそ出来るのよ。最初の1つを0から作るのが難しいんじゃない。」
 「ふーん。」

 彼はこの凄さに気がついて無いのか。

 私達の関係は仕事仲間でパトロン。

 舞台の仕事で関わるのに加え、パトロンとして作品に必要な物は私のお金で買わせて好きに創作活動をして貰っている。こうしてご飯も持ってくる。
 推しの支援は喜び。私みたいな泥棒が儲かって、この素晴らしいクリエイターが生活カツカツなんて許せなかった。
 
 「私の物語はさ、探せば何処かにありそうな作品ばかりなのよ。だから0から1を作れる人は尊敬する。」
 「貴女の物語、何処かで見た覚えなんて無いけど。」
 「それは、ロマが知らないだけ。」

 懺悔のような事をしてるな私。だけど彼は「あぁ。」と呟いてから。

 「改作か。」
 「おぅ、物は言い様ね。」
 「誰も貴女の作品を盗作と言っている者はいない。貴女の解釈で改作したって事だ。」

 改作。リメイクとも言う。今の私を救う良い言葉かも知れない。
 
 「ふっ。あははは。」

 確かにうろ覚えでどの作品も書いているから私の解釈だらけだ、改作か。
 物は言いようだけど少し心が楽になった。


 「ロマはさ、あんな感じの子が好みなの?」


 私が指差したのはラブドール計画の男女の人形。
 もうすぐ始まる舞台で使う男女の人形はロマに「最高に美しい物をお願い。」といフワッとした注文だけだった。
 それで出来上がったのがコレなのだから好みなのではないかと思った。


 「好み?」
 「そう、女の子の好み」


 何故か不思議そうな顔をする。


 「好みなんて無い。」
 「え?」
 「異性の好みなんて考えても無駄だから。」


 あぁ、そうか。この世界ではロマは醜い部類なのか。長いサラサラの髪をリボンで括る、それが似合う美形なのに。エルフのような耳と鋭くなる爪・話をすると見える小さな牙。可愛い目をしてるのに睨むか無表情だから鋭い目にも見える時もある。

 前世の記憶がある私にはファンタジーで格好いいんだけどね。

 もったいないなぁ。

 「ロマって性欲も無いの?」
 
 「ゲホッ!!!」


 お茶を飲んでたロマが盛大に咳き込む。勢いでコップも落としてしまう。
 
 「わ!!ごめんね、食事中に変な事聞いて!大丈夫?。」
 
 背中を擦り綺麗なタオルで口元を拭くようにと渡した。

 「俺に性欲の話なんて、恐ろしい事聞くね。」
 「恐ろしい?」
 「ケホッ、俺みたいなのに性欲あるって想像しただけでも恐怖でしょ」
 「性欲は大体の人が持ってるてしょ。だけど持たない人も希に居るらしいから。」
 「・・・貴女もあるの?」
 「私は・・・人より強い方だと思う。」


 そう、何故一人の時間が無くて息苦しかったかって。それは性欲が強いから。


 昔からエロい事に興味深々な女の子だった。

 
 村の近くの森でたまたま見かけた美男美女カップルの男女の絡み合い。
 大興奮した。それから時間さえあればその交わりスポットを覗きにいったのだ。
 

 「人より性欲が強い・・・誰でもできるって事?・・・俺とも出来る?」


 あ、待って。誤解が生まれた。
 無表情な顔が期待に満ちた眼差し。
 だけど待ってほしい。年齢だけ見れば立派な御姉様だけど、私は処女だ。だって実家では弟と妹の世話と家事ばかりに追われ、少しの隙は執筆と交わりスポット巡りに費やしたのだから。大家族な我が家に人を連れ込む事も出来なかったし、王都に出て来てからは仕事ばかり。

 でもここで出来ないなんて言えるはずもない。きっと彼は傷つくから。それに彼は私好みの容姿をしている。性格だって結構かわいい所あるし・・・正直できる。


 「・・・できるよ。」


 その言葉と同時にロマの作業机から緊急連絡の音が聞こえた。

 『ローエンスコット、王宮に魔王が現れたとの報告だ。王子が人質になっている。手下もいてな、姿が見えると行動不能にされるそうだ。
 騎士団がほぼ役に立たない。お前は身を隠しながら人形を使って出撃するように。』

 一方的なその連絡。
 魔王って・・・魔王!?そんな、危ないじゃない。私の知っているこの世界の物語【薔薇アマ】の世界に魔王なんて居なかったよ!?
 

 「安月給で魔王と戦わされるなんて・・・」

 はぁ・・・と、やる気の無い言葉とは裏腹に、防具とローブを身につけ始める。

 「ちょっ!!ちょっと待ってよ!!魔王なんて絶対危ないじゃない。行っちゃ駄目よ。」

 「仕事だから。」

 何て事無い様にテキパキと戦闘用らしき人形を持ち出して動作確認をしている。

 「ダメだって!王城からの給料安いんでしょ?そこまでする事無いわ。高級取りの奴らに任せたらいいよ!!」

 私はドアの前で両手を広げ通せんぼする。
 だけど、あっさり私を避けてドアノブを握るものだから私は必死にその手をドアノブごと強く握った。

 「お願い、やめて!!行かないでよ。」

 手が震える。魔物が存在する世界だ戦う事もある。だけど目の前の人が傷つくかと思うと怖くてたまらない。

 「こういう時の俺だから。」
 「そ、そんな。」
 「人がやるには危険な事をするのが仕事。」
 「だからって、だって。」

 私の震える手を温かいロマの手が優しく退ける。そのままロマは部屋を出て行き、パタンと静かにドアが閉まった。
 人がやるには危険な事を人形にさせる。それが傀儡師。だけど現場に行って真っ先に狙われるのは操作する人間だ。

 「どうしよう、どうしよう、どうしよう!!」

 私は魔王が来た割にはやけに静かな王宮が見える場所を震える足で探した。
 現場から離れていて邪魔にはならない場所、かつ見易い所へ・・・。

 私には何も出来る力は無い、だけど今はそれを、出来る事を少しでも探さなければ。
 
 ロマ、ロマ、無事でいて。

 そこでやっと建物の中から良い感じに見える場所を見つけ、姿を確認した。空は暗いけど、魔術を発動した時の光でよく見える。あの姿は間違いない。


 「ウォルズマー様やないかい!!!!」

 
 魔王なんてひどい言い草だ。だけどウォルズマー様に攻撃の意志は無さそう。攻撃を手で払うだけ。まるでハエでも居るかのようだった。

 相手を確認してからはヘタリと力が抜け、それからはスポーツ観戦気分で力の入らない足が戻るまで楽しく観察した。
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