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初めての熱い夜。(アヤメ)
初めて手を取った男性。逞しい体格とは裏腹に手を引かれる強さは優しい。だけど、抱き寄せられた彼の体温は熱くて…。彼のドキドキとする心音を近くで感じる。
そして、彼の手は私の胸に。
最初は形を確かめるように着物の上から彼の手によって優しく胸を揉まれる。それだけで呼吸は荒くなり、これからの行為への期待が増した。腹から下へと滑り込むとアヤメの中へと指が入る。
まだ始まったばかりなのに彼の指で乱されるそこから、クチュクチュと水音が聞こえた時は恥ずかしかった。しかし笛の音が恥ずかしいという考えも快楽に変えてしまう様に耳に響く。そして引き抜かれた指に少しの物足りなさを感じた時、更に太い何かが、その場所に押し当てられた。
「んんっ!」
押し当てられたそれが、無理やり下から一気に押し上げて来る。それが中を激しく突き上げ始めた。
(どうして…頭がフワフワする、気持ちいい。)
初めては痛いと聞いていたのに、笛の音が響くと快楽が押し寄せた。しかし、入ってきたそれはすぐに終わり、中に子種を注がれたのだと気がつく。太くて長いそれを引き抜かれると、中から温かいものが溢れ、足を伝う。終わったの?と思えば、後ろから姿もろくに見ていなかった男性に抱かれる。後ろから乱れた着物の隙間に手を差し込まれ荒くまさぐられる。
(どうしよう、嫌じゃない。)
荒い手つきなのに、物足りなさを感じていた体が次の快楽を求めている。十分に潤っていた私の中は、次の彼もあっさりと受け入れた。
そうして終われば、まだ違う男性に引き寄せられる。次々と男たちの腕の中で愛された。初めは優しく、時には粗っぽく。そしてこちらの反応を楽しむように焦らされる時もある。恥じらいが私の中から消え去るのに時間はかからなかった。
「疲れた…」
機会を見計らい、やって来たのは境内の奥。そこには綺麗な泉がある。小さな滝から清らかな水が流れるここは体を清め、体を休める所と聞いた。昔から病を祓う清めの水と言われている。
「綺麗…」
ここで身を清めたら本当にご利益がありそうだと信じられる程、月灯りに照らされた泉は水面がキラキラと輝き美しかった。小さな滝の音も心を落ち着かせる。
しかし泉の美しさに見惚れている場合ではない。何人もの男と交わり、子種を注がれたアヤメは流石に疲れていたし、体を一度洗いたかった。
ちゃぷっ
足先を水につけると、ひやりとしていて火照る体に心地よさを感じる。体を沈めると水ではない優しい何かに包まれているよう…。泉の底を蹴って、すいっと体を浮かべ、水に身をゆだねると、とても気持ちが良かった。
少し漂ってから回りを見渡すと、アヤメの他にも何人か泉にいて、水に濡れる体がまた妖艶で…。
「カッコいい…」
その美しい水が滴る体を見ていたのに気づかれたのか、その男が近づいてきた。
「あまり長く浸かると冷えてしまうよ。」
優しく手を差し出される。手を重ねると、ゆっくり泉の外へ出た。これは行為のお誘いではないと分かる…しかし、彼から伝わるその熱で再び体が火照るのを感じた。
(私…どうかしてしまったみたい。)
その時、初めてアヤメから男性を抱きしめた。
「…いいの?疲れていたみたいだったけれど。」
その言葉に、こくりと頷く。意図に気がついた彼の手が濡れた肌を這い、胸を揉み、硬くなった頂点を摘む。優しい手つきなのに時折強くされる刺激がアヤメを更に大胆にする。「ぁっ」と声が漏れると、彼は蜜の溢れるそこへ指を滑らせた。「っあ! んん」と喘ぐアヤメに、彼の指先は大胆に動き、くちゅくちゅと蜜が溢れ出すのが自分でも分かった。
(どうしよう、気持ちよすぎて…)
とろとろに潤ったのを確認した彼の熱い先端が私の柔らかな入り口に触れたとき、一気に期待で火照る体。早く欲しくてたまらない。アヤメは自ら彼に恥部を押し付けると、はぁ、と熱い息を漏らした彼はゆっくりと私の中に入ってきた。その瞬間、熱くて硬い感覚が私の内側を押し広げ、まるで彼の存在そのものが私を満たしていくようだった。
彼のものが脈打つたび、私の体はびくんと反応し、内側が彼を締め付けるように震える。
彼が腰を動かし始めると、一突きごとに私の体が揺れ、熱い波が下腹部から背筋を駆け上がる。硬くて太い彼のものが私の奥を叩くたび、「あぁっ」と喘ぐ声が抑えきれず、夜の空に溶けていった。
突き上げられるそれが速くなると、私の内側が彼に吸い付くように締まり、快感が頭の中を真っ白にする。
そして、彼が最後に深く押し込んだ瞬間、熱い子種が私の奥に注がれる感覚が広がった。それはまるで熱い蜜が私の内側に溢れ、じんわりと広がっていくような感覚。子種が私の奥深くに染み込むように感じられ、全身が甘い痺れに包まれた。私は彼の腕を強く握り、爪を立ててしまう。その熱と重みが私の中で静かに落ち着くまで、体が彼にしがみつくように震えていた。アヤメが彼の腕に傷を残してしまった事を謝ると「これで君の事を思い出せる。」とお面の奥で笑ったのがわかった。その静かに笑う声がとても落ち着くと共に鼓動を早くさせる。
◇ ◇ ◇
祭りが終わり、祭の日の深夜に家に帰ると昼頃に目覚めた。体の痛み、そして確かに覚えている快楽。
「凄い事をしてしまった…。」
思い出すと羞恥心でみるみる熱くなる。帰ってきた時は、とにかく疲れていて親と顔も合わせず、着物だけ着替えて布団に飛び込んだアヤメだけれど…。親に顔を合わせるのが少し気まずい。そう思いながらも衣服を着替えるとアヤメは胸元に浮かんだどこかの家の家紋に気づく。
「お母さん! 見て!」
母に駆け寄ると、母が目を細め微笑んだ。
「鬼様が縁を繋いでくれたね。今、家紋を調べるから。相手の家に今日中に連絡をしておくわね。」
アヤメの父も嬉しそうに顔を綻ばせた。
「今日は風呂に入ってしっかり休んだらいい。体調を整えて、明日挨拶に伺うから。」
父親に言われたその言葉に気まずさを感じるけれど、とても喜んでくれているようだから気にせず休む事にした。私の体には家紋が現れた以外に変化は無いように見えるけれど、新しい命が宿っているのだから大切にしなければならない。
翌日。
挨拶の為に相手の家に伺うと、出迎えてくれたのは若い男性だった。少しドキリとしながら視線を少し下へ落とすと…腕の小さな傷が目に入る。
泉で会った彼につけてしまった腕の傷。その傷を見て「あっ」と声を出してしまう。はっ!として口を押さえるけれど、その様子で察した彼は「泉の?」と頬を赤らめて言う。まるで合言葉みたいだった。
「柄にもないこと言ってしまったからな…少し恥ずかしい。」
顔を赤らめる彼に、アヤメは微笑んだ。穏やかで少し照れ屋な彼は、アヤメの心を一瞬で掴んでいた。
◇ ◇ ◇
彼との婚姻後、友人たちと再会し、あの夜の話をした。
「交わった数、数える余裕なかったわ、頭真っ白だったよ。でも…今、凄く幸せ。挨拶に行って顔を合わせた時、ずきゅーーん!て胸を撃ち抜かれたの。」
友人の一人が幸せそうに笑う。
「私は顔を合わせた時に、うーん、この人かって思ったの。少しガッカリしたのよ。でもね話せば話すほど楽しくて、今では毎日ドキドキするのよ。凄く不思議で…幸せなの。」
扇子で仰ぎながらもう一人の友人が言う。みんな幸せそうで嬉しくて、幸せで…顔を見合わせて頬を染めた。
「私達、同じ日に子を宿したからきっと子供達は同級生よ?長い付き合いになるね。」
「そうだね。」
「子供達を一緒に遊ばせてたら、きっと私達みたいな幼馴染みになるわ。」
それぞれ互いに良い出会いがあり毎日ドキドキしている。これが『黒面の鬼様』の力なのか…と伝統に感謝した。
◇ ◇ ◇
年に二度の祭りは、一度で縁が結ばれぬ者にも次への希望を与えた。「またあの夜が来る!」と若者たちは目を輝かせ、噂を聞いた移住者も増えている。この領土は『黒面の鬼様』のお陰で常に若者達の活気で溢れている。若い人手が増えれば増えるほど、集落はさらに発展し大きくなる。
領主は『黒面の鬼様』のお社に毎日供物を持って足を運び、お社は常に良い状態を保った。
領主にとって、『黒面の鬼様』は領土が栄え、豊かになる要だと心得ている。
そんな領土の様子を見ている人々は『黒面の鬼様』の存在を意識して日々を生きていた。
アヤメは夫と手を繋ぎ、小さな命の存在を感じながら幸せに過ごした。泉での熱い夜が、鬼様の威厳ある縁となり、幸せな未来を約束していた。
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