【R18】鬼の紡ぐ良縁は淫らな夜に。

かたたな

文字の大きさ
2 / 54

初めての熱い夜。(アヤメ)


 初めて手を取った男性。逞しい体格とは裏腹に手を引かれる強さは優しい。だけど、抱き寄せられた彼の体温は熱くて…。彼のドキドキとする心音を近くで感じる。

 そして、彼の手は私の胸に。

 最初は形を確かめるように着物の上から彼の手によって優しく胸を揉まれる。それだけで呼吸は荒くなり、これからの行為への期待が増した。腹から下へと滑り込むとアヤメの中へと指が入る。

 まだ始まったばかりなのに彼の指で乱されるそこから、クチュクチュと水音が聞こえた時は恥ずかしかった。しかし笛の音が恥ずかしいという考えも快楽に変えてしまう様に耳に響く。そして引き抜かれた指に少しの物足りなさを感じた時、更に太い何かが、その場所に押し当てられた。

「んんっ!」

 押し当てられたそれが、無理やり下から一気に押し上げて来る。それが中を激しく突き上げ始めた。

 (どうして…頭がフワフワする、気持ちいい。)

 初めては痛いと聞いていたのに、笛の音が響くと快楽が押し寄せた。しかし、入ってきたそれはすぐに終わり、中に子種を注がれたのだと気がつく。太くて長いそれを引き抜かれると、中から温かいものが溢れ、足を伝う。終わったの?と思えば、後ろから姿もろくに見ていなかった男性に抱かれる。後ろから乱れた着物の隙間に手を差し込まれ荒くまさぐられる。

 (どうしよう、嫌じゃない。)

 荒い手つきなのに、物足りなさを感じていた体が次の快楽を求めている。十分に潤っていた私の中は、次の彼もあっさりと受け入れた。
 そうして終われば、まだ違う男性に引き寄せられる。次々と男たちの腕の中で愛された。初めは優しく、時には粗っぽく。そしてこちらの反応を楽しむように焦らされる時もある。恥じらいが私の中から消え去るのに時間はかからなかった。

 「疲れた…」

 機会を見計らい、やって来たのは境内の奥。そこには綺麗な泉がある。小さな滝から清らかな水が流れるここは体を清め、体を休める所と聞いた。昔から病を祓う清めの水と言われている。

「綺麗…」

 ここで身を清めたら本当にご利益がありそうだと信じられる程、月灯りに照らされた泉は水面がキラキラと輝き美しかった。小さな滝の音も心を落ち着かせる。

 しかし泉の美しさに見惚れている場合ではない。何人もの男と交わり、子種を注がれたアヤメは流石に疲れていたし、体を一度洗いたかった。

 ちゃぷっ

 足先を水につけると、ひやりとしていて火照る体に心地よさを感じる。体を沈めると水ではない優しい何かに包まれているよう…。泉の底を蹴って、すいっと体を浮かべ、水に身をゆだねると、とても気持ちが良かった。
 少し漂ってから回りを見渡すと、アヤメの他にも何人か泉にいて、水に濡れる体がまた妖艶で…。

「カッコいい…」

 その美しい水が滴る体を見ていたのに気づかれたのか、その男が近づいてきた。

「あまり長く浸かると冷えてしまうよ。」

 優しく手を差し出される。手を重ねると、ゆっくり泉の外へ出た。これは行為のお誘いではないと分かる…しかし、彼から伝わるその熱で再び体が火照るのを感じた。

 (私…どうかしてしまったみたい。)

 その時、初めてアヤメから男性を抱きしめた。

「…いいの?疲れていたみたいだったけれど。」

 その言葉に、こくりと頷く。意図に気がついた彼の手が濡れた肌を這い、胸を揉み、硬くなった頂点を摘む。優しい手つきなのに時折強くされる刺激がアヤメを更に大胆にする。「ぁっ」と声が漏れると、彼は蜜の溢れるそこへ指を滑らせた。「っあ! んん」と喘ぐアヤメに、彼の指先は大胆に動き、くちゅくちゅと蜜が溢れ出すのが自分でも分かった。

 (どうしよう、気持ちよすぎて…)

 とろとろに潤ったのを確認した彼の熱い先端が私の柔らかな入り口に触れたとき、一気に期待で火照る体。早く欲しくてたまらない。アヤメは自ら彼に恥部を押し付けると、はぁ、と熱い息を漏らした彼はゆっくりと私の中に入ってきた。その瞬間、熱くて硬い感覚が私の内側を押し広げ、まるで彼の存在そのものが私を満たしていくようだった。
 彼のものが脈打つたび、私の体はびくんと反応し、内側が彼を締め付けるように震える。
 彼が腰を動かし始めると、一突きごとに私の体が揺れ、熱い波が下腹部から背筋を駆け上がる。硬くて太い彼のものが私の奥を叩くたび、「あぁっ」と喘ぐ声が抑えきれず、夜の空に溶けていった。
 突き上げられるそれが速くなると、私の内側が彼に吸い付くように締まり、快感が頭の中を真っ白にする。
 そして、彼が最後に深く押し込んだ瞬間、熱い子種が私の奥に注がれる感覚が広がった。それはまるで熱い蜜が私の内側に溢れ、じんわりと広がっていくような感覚。子種が私の奥深くに染み込むように感じられ、全身が甘い痺れに包まれた。私は彼の腕を強く握り、爪を立ててしまう。その熱と重みが私の中で静かに落ち着くまで、体が彼にしがみつくように震えていた。アヤメが彼の腕に傷を残してしまった事を謝ると「これで君の事を思い出せる。」とお面の奥で笑ったのがわかった。その静かに笑う声がとても落ち着くと共に鼓動を早くさせる。


◇ ◇ ◇


 祭りが終わり、祭の日の深夜に家に帰ると昼頃に目覚めた。体の痛み、そして確かに覚えている快楽。

「凄い事をしてしまった…。」

 思い出すと羞恥心でみるみる熱くなる。帰ってきた時は、とにかく疲れていて親と顔も合わせず、着物だけ着替えて布団に飛び込んだアヤメだけれど…。親に顔を合わせるのが少し気まずい。そう思いながらも衣服を着替えるとアヤメは胸元に浮かんだどこかの家の家紋に気づく。

 「お母さん! 見て!」

 母に駆け寄ると、母が目を細め微笑んだ。

「鬼様が縁を繋いでくれたね。今、家紋を調べるから。相手の家に今日中に連絡をしておくわね。」

 アヤメの父も嬉しそうに顔を綻ばせた。

 「今日は風呂に入ってしっかり休んだらいい。体調を整えて、明日挨拶に伺うから。」 

 父親に言われたその言葉に気まずさを感じるけれど、とても喜んでくれているようだから気にせず休む事にした。私の体には家紋が現れた以外に変化は無いように見えるけれど、新しい命が宿っているのだから大切にしなければならない。

 翌日。

 挨拶の為に相手の家に伺うと、出迎えてくれたのは若い男性だった。少しドキリとしながら視線を少し下へ落とすと…腕の小さな傷が目に入る。

 泉で会った彼につけてしまった腕の傷。その傷を見て「あっ」と声を出してしまう。はっ!として口を押さえるけれど、その様子で察した彼は「泉の?」と頬を赤らめて言う。まるで合言葉みたいだった。

「柄にもないこと言ってしまったからな…少し恥ずかしい。」

 顔を赤らめる彼に、アヤメは微笑んだ。穏やかで少し照れ屋な彼は、アヤメの心を一瞬で掴んでいた。


◇ ◇ ◇


 彼との婚姻後、友人たちと再会し、あの夜の話をした。

「交わった数、数える余裕なかったわ、頭真っ白だったよ。でも…今、凄く幸せ。挨拶に行って顔を合わせた時、ずきゅーーん!て胸を撃ち抜かれたの。」

 友人の一人が幸せそうに笑う。

 「私は顔を合わせた時に、うーん、この人かって思ったの。少しガッカリしたのよ。でもね話せば話すほど楽しくて、今では毎日ドキドキするのよ。凄く不思議で…幸せなの。」

 扇子で仰ぎながらもう一人の友人が言う。みんな幸せそうで嬉しくて、幸せで…顔を見合わせて頬を染めた。

「私達、同じ日に子を宿したからきっと子供達は同級生よ?長い付き合いになるね。」
「そうだね。」
「子供達を一緒に遊ばせてたら、きっと私達みたいな幼馴染みになるわ。」

 それぞれ互いに良い出会いがあり毎日ドキドキしている。これが『黒面の鬼様』の力なのか…と伝統に感謝した。

◇ ◇ ◇

 年に二度の祭りは、一度で縁が結ばれぬ者にも次への希望を与えた。「またあの夜が来る!」と若者たちは目を輝かせ、噂を聞いた移住者も増えている。この領土は『黒面の鬼様』のお陰で常に若者達の活気で溢れている。若い人手が増えれば増えるほど、集落はさらに発展し大きくなる。

 領主は『黒面の鬼様』のお社に毎日供物を持って足を運び、お社は常に良い状態を保った。
 領主にとって、『黒面の鬼様』は領土が栄え、豊かになる要だと心得ている。

 そんな領土の様子を見ている人々は『黒面の鬼様』の存在を意識して日々を生きていた。

 アヤメは夫と手を繋ぎ、小さな命の存在を感じながら幸せに過ごした。泉での熱い夜が、鬼様の威厳ある縁となり、幸せな未来を約束していた。


    

あなたにおすすめの小説

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。