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これから【スヴァイン視点】
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今は何も見えないけれど、周囲の音に集中すると妖精に注意の言葉をかけるマーリットの声が微かに聞こえた。
かける言葉は優しく、人間と妖精の仲を取り持つために言葉をしっかり選んでいることが音で伝わってきた。
クローが足で地面を蹴る音。
『まぁ、でもさ。スヴァインがそういう考えなら元婚約者とは離れて正解だったか。』
前に婚約者が訓練を見に来た事がある。その時クローは婚約者に近づかなかった。何か性格の違いを察していたのだろうか。
『スヴァインの婚約者、オレが少し近寄ったら鼻をハンカチで抑えたんだ、お前の方が臭いっての。』
「それでクローはあまり彼女に近寄らなかったのか。」
匂いが臭い・・・元婚約者は香水もほのかに香るほどだった気がするけれど馬は鼻が良いからな、その香りが苦手だったのだろうか。動物は鼻が良いから少しの香りも嫌なのかも知れないな。
『そう、色んなオスの匂いで臭かった。オレは縄張り意識強いから嫌なんだよね。オスの匂いはスヴァインぐらいしか許容できない。』
「そ、それは。破棄されて良かったみたいだな。」
自分がいかに元婚約者を見てなかったかよくわかった。男の匂いがする・・・というのはどの程度の接触によるものだろう。これは重要な問題だ。
「ちなみに・・・マーリットから男の匂いはするのか?」
こんな事を聞くのは間違っている気がする。だけど無性に気になって仕方なかった。
『ん?マーリットからはお前の匂いが少しするくらい。』
「はっ!?な、何で俺の匂いが・・・。ぁ。」
思い返して見ると、マーリットを見つけて早々に飛び付き捕まえ、移動の為に手を借り、あの場から逃げる為に抱き寄せクローに乗り、身を寄せて寝たんだ。
「これは、責任取るべきかもしれない!?」
『どんだけボンヤリしてたんだよ。まぁ。でもここに来て心の疲労も回復して頭もスッキリしたから思い至る事なのかもな。』
そう言われて見れば少し自分で考える事が出来ている気がする。
『用事のついでにスヴァインとオレを連れて来たのも妖精の住み家で心を癒す為だろ。ここは妖精の楽しい気持ちで出来ているらしいから、その影響で人間の心も癒されるんだってばっちゃんから聞いた事ある。』
「そうか。」
マーリットは殿下の婚約者だったのだから、殿下の香りは付いているものと思っていた。しかしそれも無い。自宅では父親も居ただろうし、そこから街を歩いて人混みの中を歩き、同じ部屋に男の騎士が二人入ってきた・・・しかし、マーリットに残る男の香りは俺の香りが少しだけ。
(元婚約者は訓練を見に来る前に抱き合うよりももっと濃厚な接触を何人かの男としていた・・・と、言うわけか。・・・はぁ。)
マーリットには男の香りは俺だけ。
じわりと胸が喜びに満たされる感覚。少し苦しいのにドクドクと胸が弾む。
・・・
「あ、いや、待て。マーリットが姿を消したから妹が婚約者になったんだ。姿が見えないだけ、と分かれば殿下の婚約者に戻る。そして姿が見えない問題も殿下が解決されるのでは・・・。」
そう分かるとつくづく自分はマーリットの役に立てない事が嫌になる。
今の俺が彼女の為に出来る事と言えばそれは1つ。
「帰ったらすぐ殿下に進言しよう。」
『えー、今は婚約者じゃないだろ?気に入ってるなら取られる前に取ってしまえば良いじゃんか。人間には見えないんだ、好都合じゃないか。』
「気に入っては、いる・・・と思う。だけど彼女の幸せを奪うなんてしたらいけない。」
マーリットの幸せ。
それが何かは分からない。だけど、彼女が選ぶ事が出来る選択を潰す事は出来ない。
それに、前の自分ならまだしも傷だらけで醜くなった俺と共に居る事が幸せとは思えなかった。
『王子様に頼る選択と、スヴァインと居る選択両方作るって事だな。よし!オレはスヴァインを応援する。』
「勝敗の分かりきった選択だな。」
フワリとした生い茂る草がカサッカサッと軽い音を立てて何かが近づくのに気がついた。
多分マーリットだろう。
『お腹は空いていますか?妖精達がご飯を持ってきてくれました。一緒に食べましょう。』
「ありがとう。」
マーリットへの気持ちに名称が付くほどハッキリしたものはないけれど、この心を乱す何かは知らないフリをしてはいけない気がする。
だから余計に意識してしまった・・
マーリットからの『あーん』を受け入れさせる為にクローがベロベロと鼻を舐めるし、精一杯食事を与えられる事を受け入れれば、されている行為の恥ずかしさで居たたまれない。
挙げ句『交尾だ!今がチャンスだ!』とマーリットを巻き込み俺達の上にクローがのしかかり、体を密着させた。彼女の香りと伝わる熱に頭がクラクラして自分の体が良くない反応を示さないように考えないようにするのに疲れるし、クローのアシストが物理的過ぎて体が痛い。
◆◆◆
『そんな落ち込むなよ、次がある。』
「いいから、ホントやめてくれ。」
近くの湖で全身ずぶ濡れになりながら頭を冷やす事になった。
今だけ見える妖精の目。
ここに来て初めて見た大人になったマーリット。そして次に写った風景は顔を乱れた髪で頬を赤くして戸惑うマーリットの姿。その姿を見ただけで自分も熱が移った様に熱くなり目が離せなくなっていた。
正直に言ってしまえばこの世で一番可愛いとさえ思った。
元婚約者と義務的な面会をした時も可愛い人だとは思ったがそれとは違う。
思わず抱き締めたくなる様なこの衝動は何なのだろう?
これが「好き。」という事なのだろうか。
だけど、孤児院で赤ちゃんがやって来た時も可愛く抱き締めたくなる・・・というのはあった。あれと似ている?いや違う。
・・・好き、という事を真面目に考えたら好きや惚れる事が何なのか分からなくなってきた。
だけど分かっているのはクローの主人としてせいいっぱの謝罪をしなければいけない。
『それにしてもスヴァインは求愛ヘタだな。』
「う゛っ。」
自分でも思う。いざと言う時にヘタ過ぎると。元婚約者とは普通に対応出来ていたから自分は必要なら出来る人間だと思っていた。
『せっかくモテるのに仕事ばかりで適当に断り続けたからなぁ。もっとメスと遊んどけばマシだった。』
「俺はそんな要領良く無いんだ。それに女性と遊んでたら俺の年齢で王族の近衛騎士にはなれていない。」
『近衛騎士は大体既婚者だもんな。ある程度メスと交流して結婚、身を固めて落ち着いた人たちが次はスキルアップだと力を磨き近衛騎士に選ばれるんだろ?』
「う゛っ」
『スヴァインの場合はストイックになりすぎて息抜きを知らないばかりに心が壊れかけて今になってんじゃん?』
クローの言う事が正論過ぎて何も言えない。う゛っしか出ない。俺はう゛って鳴く生き物なのか。
『でもよかったじゃないか、一緒にあの屋敷へ行くんだろ?』
「あぁ」
『スヴァインのばっちゃん亡くなって引き継いだのに行けてなかったもんな。』
祖母から引き継いだ屋敷。短い間ではあったけれど、とても楽しくて、それでいて身内を失う事はとても辛かった。
優しい祖母を思い出すから屋敷には行けないと思っていたのに自ら次の拠点をそこに提案していた。
『行けるのか?』
「行ける場所がそこしか無い。俺は元の世界へ戻ったら正式に騎士を辞める。だから騎士の宿舎にも行けない。」
『辞めたらオレはどうなる?一応騎士団の馬なんだけど。』
・・・
クローは騎士団の馬で俺が主に騎乗していたし手入れもしていたが辞めてしまえば返さなければいけない。クローと離れるのは嫌だな、とすぐに頭に自分の心がけ浮かぶ。
「褒賞金でクローを買い取るしかないな・・・でもそれだとクローの妻達と離れてしまうな。クローはどうしたい?」
『オレはスヴァインと共に居るさ。妻や子は世話する人間がいて安心だし、会おうと思えば会いに行ける。スヴァインの方が心配。』
「そうか。」
友人に妻や子より心配さるている事実に申し訳ない気持ちになる。
クローを買い取る事に何の躊躇も無いけれど、どれだけ金を請求されるだろうか。
「クローが良いと言うなら君と離れる選択は無い、俺の友としてこれからも共に居よう。しかし、なかなか金はかかりそうだ。住むなら屋敷にクローの家を作らなければな、屋敷自体の修繕費用と庭や住まいを整えるのに人手もかかる。」
『・・・金は大丈夫なのか?』
「どうだかな、遊んでない分蓄えは有る・・・けど、どの程度減るかな。」
そんな本来なら憂鬱な事もこの世界のお陰か暗い気持ちにはならない。
『じゃあさ、戻ったら大変そうだし今のうちに遊ぼうぜー!』
言うや否や、よく冷えた流れる水を蹴る音。そして顔面に大量の水しぶきがザバザバと降り注いだ。
やり返せば『ぶっ!!くそー。』とクローがムキになる。妖精の目を借りながら綺麗な自然に感動し、見知らぬ生き物を観察したり子供の頃に戻った様にクローと遊んで回った。
この世界の効果なのか、心は軽く今まで何となくしか分からなかった友人と話すのも嬉しくて久しぶりにただ楽しい時間を過ごせていた。
『スヴァインさ、さっきからマーリット見すぎ。』
「そんなに見てたか?」
『彼女が仕事に集中しているから気が付かないだけで、そうでなければ気持ち悪がられるくらいには見てた。』
「・・・」
いつもの通りの顔つきなのにニヤリとして見える友人に苦笑いをした。
かける言葉は優しく、人間と妖精の仲を取り持つために言葉をしっかり選んでいることが音で伝わってきた。
クローが足で地面を蹴る音。
『まぁ、でもさ。スヴァインがそういう考えなら元婚約者とは離れて正解だったか。』
前に婚約者が訓練を見に来た事がある。その時クローは婚約者に近づかなかった。何か性格の違いを察していたのだろうか。
『スヴァインの婚約者、オレが少し近寄ったら鼻をハンカチで抑えたんだ、お前の方が臭いっての。』
「それでクローはあまり彼女に近寄らなかったのか。」
匂いが臭い・・・元婚約者は香水もほのかに香るほどだった気がするけれど馬は鼻が良いからな、その香りが苦手だったのだろうか。動物は鼻が良いから少しの香りも嫌なのかも知れないな。
『そう、色んなオスの匂いで臭かった。オレは縄張り意識強いから嫌なんだよね。オスの匂いはスヴァインぐらいしか許容できない。』
「そ、それは。破棄されて良かったみたいだな。」
自分がいかに元婚約者を見てなかったかよくわかった。男の匂いがする・・・というのはどの程度の接触によるものだろう。これは重要な問題だ。
「ちなみに・・・マーリットから男の匂いはするのか?」
こんな事を聞くのは間違っている気がする。だけど無性に気になって仕方なかった。
『ん?マーリットからはお前の匂いが少しするくらい。』
「はっ!?な、何で俺の匂いが・・・。ぁ。」
思い返して見ると、マーリットを見つけて早々に飛び付き捕まえ、移動の為に手を借り、あの場から逃げる為に抱き寄せクローに乗り、身を寄せて寝たんだ。
「これは、責任取るべきかもしれない!?」
『どんだけボンヤリしてたんだよ。まぁ。でもここに来て心の疲労も回復して頭もスッキリしたから思い至る事なのかもな。』
そう言われて見れば少し自分で考える事が出来ている気がする。
『用事のついでにスヴァインとオレを連れて来たのも妖精の住み家で心を癒す為だろ。ここは妖精の楽しい気持ちで出来ているらしいから、その影響で人間の心も癒されるんだってばっちゃんから聞いた事ある。』
「そうか。」
マーリットは殿下の婚約者だったのだから、殿下の香りは付いているものと思っていた。しかしそれも無い。自宅では父親も居ただろうし、そこから街を歩いて人混みの中を歩き、同じ部屋に男の騎士が二人入ってきた・・・しかし、マーリットに残る男の香りは俺の香りが少しだけ。
(元婚約者は訓練を見に来る前に抱き合うよりももっと濃厚な接触を何人かの男としていた・・・と、言うわけか。・・・はぁ。)
マーリットには男の香りは俺だけ。
じわりと胸が喜びに満たされる感覚。少し苦しいのにドクドクと胸が弾む。
・・・
「あ、いや、待て。マーリットが姿を消したから妹が婚約者になったんだ。姿が見えないだけ、と分かれば殿下の婚約者に戻る。そして姿が見えない問題も殿下が解決されるのでは・・・。」
そう分かるとつくづく自分はマーリットの役に立てない事が嫌になる。
今の俺が彼女の為に出来る事と言えばそれは1つ。
「帰ったらすぐ殿下に進言しよう。」
『えー、今は婚約者じゃないだろ?気に入ってるなら取られる前に取ってしまえば良いじゃんか。人間には見えないんだ、好都合じゃないか。』
「気に入っては、いる・・・と思う。だけど彼女の幸せを奪うなんてしたらいけない。」
マーリットの幸せ。
それが何かは分からない。だけど、彼女が選ぶ事が出来る選択を潰す事は出来ない。
それに、前の自分ならまだしも傷だらけで醜くなった俺と共に居る事が幸せとは思えなかった。
『王子様に頼る選択と、スヴァインと居る選択両方作るって事だな。よし!オレはスヴァインを応援する。』
「勝敗の分かりきった選択だな。」
フワリとした生い茂る草がカサッカサッと軽い音を立てて何かが近づくのに気がついた。
多分マーリットだろう。
『お腹は空いていますか?妖精達がご飯を持ってきてくれました。一緒に食べましょう。』
「ありがとう。」
マーリットへの気持ちに名称が付くほどハッキリしたものはないけれど、この心を乱す何かは知らないフリをしてはいけない気がする。
だから余計に意識してしまった・・
マーリットからの『あーん』を受け入れさせる為にクローがベロベロと鼻を舐めるし、精一杯食事を与えられる事を受け入れれば、されている行為の恥ずかしさで居たたまれない。
挙げ句『交尾だ!今がチャンスだ!』とマーリットを巻き込み俺達の上にクローがのしかかり、体を密着させた。彼女の香りと伝わる熱に頭がクラクラして自分の体が良くない反応を示さないように考えないようにするのに疲れるし、クローのアシストが物理的過ぎて体が痛い。
◆◆◆
『そんな落ち込むなよ、次がある。』
「いいから、ホントやめてくれ。」
近くの湖で全身ずぶ濡れになりながら頭を冷やす事になった。
今だけ見える妖精の目。
ここに来て初めて見た大人になったマーリット。そして次に写った風景は顔を乱れた髪で頬を赤くして戸惑うマーリットの姿。その姿を見ただけで自分も熱が移った様に熱くなり目が離せなくなっていた。
正直に言ってしまえばこの世で一番可愛いとさえ思った。
元婚約者と義務的な面会をした時も可愛い人だとは思ったがそれとは違う。
思わず抱き締めたくなる様なこの衝動は何なのだろう?
これが「好き。」という事なのだろうか。
だけど、孤児院で赤ちゃんがやって来た時も可愛く抱き締めたくなる・・・というのはあった。あれと似ている?いや違う。
・・・好き、という事を真面目に考えたら好きや惚れる事が何なのか分からなくなってきた。
だけど分かっているのはクローの主人としてせいいっぱの謝罪をしなければいけない。
『それにしてもスヴァインは求愛ヘタだな。』
「う゛っ。」
自分でも思う。いざと言う時にヘタ過ぎると。元婚約者とは普通に対応出来ていたから自分は必要なら出来る人間だと思っていた。
『せっかくモテるのに仕事ばかりで適当に断り続けたからなぁ。もっとメスと遊んどけばマシだった。』
「俺はそんな要領良く無いんだ。それに女性と遊んでたら俺の年齢で王族の近衛騎士にはなれていない。」
『近衛騎士は大体既婚者だもんな。ある程度メスと交流して結婚、身を固めて落ち着いた人たちが次はスキルアップだと力を磨き近衛騎士に選ばれるんだろ?』
「う゛っ」
『スヴァインの場合はストイックになりすぎて息抜きを知らないばかりに心が壊れかけて今になってんじゃん?』
クローの言う事が正論過ぎて何も言えない。う゛っしか出ない。俺はう゛って鳴く生き物なのか。
『でもよかったじゃないか、一緒にあの屋敷へ行くんだろ?』
「あぁ」
『スヴァインのばっちゃん亡くなって引き継いだのに行けてなかったもんな。』
祖母から引き継いだ屋敷。短い間ではあったけれど、とても楽しくて、それでいて身内を失う事はとても辛かった。
優しい祖母を思い出すから屋敷には行けないと思っていたのに自ら次の拠点をそこに提案していた。
『行けるのか?』
「行ける場所がそこしか無い。俺は元の世界へ戻ったら正式に騎士を辞める。だから騎士の宿舎にも行けない。」
『辞めたらオレはどうなる?一応騎士団の馬なんだけど。』
・・・
クローは騎士団の馬で俺が主に騎乗していたし手入れもしていたが辞めてしまえば返さなければいけない。クローと離れるのは嫌だな、とすぐに頭に自分の心がけ浮かぶ。
「褒賞金でクローを買い取るしかないな・・・でもそれだとクローの妻達と離れてしまうな。クローはどうしたい?」
『オレはスヴァインと共に居るさ。妻や子は世話する人間がいて安心だし、会おうと思えば会いに行ける。スヴァインの方が心配。』
「そうか。」
友人に妻や子より心配さるている事実に申し訳ない気持ちになる。
クローを買い取る事に何の躊躇も無いけれど、どれだけ金を請求されるだろうか。
「クローが良いと言うなら君と離れる選択は無い、俺の友としてこれからも共に居よう。しかし、なかなか金はかかりそうだ。住むなら屋敷にクローの家を作らなければな、屋敷自体の修繕費用と庭や住まいを整えるのに人手もかかる。」
『・・・金は大丈夫なのか?』
「どうだかな、遊んでない分蓄えは有る・・・けど、どの程度減るかな。」
そんな本来なら憂鬱な事もこの世界のお陰か暗い気持ちにはならない。
『じゃあさ、戻ったら大変そうだし今のうちに遊ぼうぜー!』
言うや否や、よく冷えた流れる水を蹴る音。そして顔面に大量の水しぶきがザバザバと降り注いだ。
やり返せば『ぶっ!!くそー。』とクローがムキになる。妖精の目を借りながら綺麗な自然に感動し、見知らぬ生き物を観察したり子供の頃に戻った様にクローと遊んで回った。
この世界の効果なのか、心は軽く今まで何となくしか分からなかった友人と話すのも嬉しくて久しぶりにただ楽しい時間を過ごせていた。
『スヴァインさ、さっきからマーリット見すぎ。』
「そんなに見てたか?」
『彼女が仕事に集中しているから気が付かないだけで、そうでなければ気持ち悪がられるくらいには見てた。』
「・・・」
いつもの通りの顔つきなのにニヤリとして見える友人に苦笑いをした。
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