色なしと名前のない魔女

化野りんね

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不死

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 ひかり。

 私はね、生まれたときから不思議な力が使えたの。
 小さい頃から大人の男の人よりずっと速く走れたし、爪や髪を自在に伸ばすこともできたわ。
 永遠に子どものままでいたいと思ったら、そのまま十歳の姿から成長を止めることもできたのよ。
 両親はそんな私を愛してくれた。

 十歳のまま姿の変わらない娘を、死ぬまでずっとかわいがってくれたのよ。

 … もうずっと昔のことだけどね。
 だけど、他の人はそうじゃなかった。
 不思議な力を使い、いつまでも成長しない私のことを、両親以外の人間はみんな不気味に思っていたのよ。
 だから、私は両親が死んでからずっとひとりぼっちだった。
 やがて村の人たちもひとり、またひとりと死んでいったわ。
 私はそれをずっと見ていたの。
 老いない身体でただひとり、みんなが死んでいくのを見ていたのよ。
 どんな気持ちだったかわかる?
 … 怖かったわ。すごく。
 死ぬのが怖くて… だから、私は自分に呪いをかけたの。私が誰かを愛し、その誰かも私を愛し、そしてその人が死んだときに私も死ぬ、という呪いを。
 ややこしいって?
 … そうね。でも、これが私にできる最大の「不死」の呪いだったの。
 不思議な力を使える私にも、無条件の不死を人間に授けることはできなかったの。
 昔、両親に試したことがあるんだけどね… ダメだったわ。
 だから、条件をつけたの。
 愛されることのない私なら… 愛してくれる唯一の両親を失った私なら、絶対に達成することのない条件をね。
 そして、私は不死の魔女になった。
 私は村を出て、放浪の旅に出たわ。
 永遠に子どもの姿のままじゃ、人里で暮らすは無理だったからね。
 そして何年も何十年も何百年も、人のいないところをさまよい歩いて…
 ひかり。
 あなたに出会ったの。
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