偽りの桜

化野りんね

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二〇一五年八月

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 あの日からずっと私は生き続けた。三人の命をもって繋げられたその生が、無駄ではなかったと証明するために。
 私はどうだろうか。彼らに恥じぬ人生を送ってきただろうか。
 私達の子が、孫が、子々孫々のその先に至るまで、理不尽な死を押し付けられない世を作り出せただろうか。
 満開の桜を見つめていると、私同様よぼよぼになった妻が言った。
「あんた。孫が来ましたよ。目を覚ましてください」
 私は立ち上がり、玄関に向かった。そこには、息子とその妻。そして三人の孫達が居た。
「おお、つぼみじゃ。可愛らしいのう」
「親父。そればっかだなあ」
 そう言って、息子は笑った。
 孫達は思い思いの言葉をいって、靴を脱ぎ、古くなった家の中を走り回った。
 私は考えていた。彼らは一体、どのような花を咲かせるのだろうかと。
 例えそれが何分咲きであろうと、決して偽りの桜とならないようにと、私は心の底から祈った。

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