地獄の日常は悲劇か喜劇か?〜誰も悪くない、だけど私たちは争いあう。それが運命だから!〜

紅芋

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運命が選ぶもの

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 人殺し課は困惑を極めていた。
 その理由は閻魔の初めての謎の休みのことについてだった。
 人殺し課の者以外の地獄で働く職員ですら混乱で仕事が遅れている程だ。

 そんな中でもう一つの謎が人殺し課にあった。
 殺が不自然に手首を切っていたのだ。
 時折だが手首を押さえて痛みを耐える顔を見ていると傷は深いのではないかと憶測をとばしてしまう。

 昨日までは普通だった筈なのに今日は異常なことが起こるとは……。
 人殺し課も何をどうすれば良いのかが分からなかった。
 すると殺が皆の方を向く。
 その顔は真剣な表情にもとれたが、何かを言いにくいという葛藤の表情にもとれた。

「皆さん、人殺し課にとって重大なことを言いますから聞いてください。昨日のことにも関係あります」

 重大、昨日のこと……それを言われたら聞くしか選択肢はなかった。
 珍しく仕事を丁寧にこなしていた皆が殺を見つめる。
 殺は少し疲れたかの様な表情で何から話せば……いや、何を話せばいいかはわかっているのだろう。
 重い口を殺は開いた。

「敵が実体化しました」

「え……?」

 実体化……前回は封印されていたと聞いていた筈の皆は焦る。
 昨日にいったい何があったのか?それが気になる。

「封印先は閻魔大王だったのです。それを知った敵は閻魔を斬った、そして私と戦う……ただそれだけです」

 太古の完全を望む敵と斬り合いをした、その事実に御影は殺の傷の心配をより強めた。
 だが殺は「痛いだけで治ってきています」などと心配されない様に言葉を放つ。
 そして更に話さなければならないことを言うことにした。

「敵大将の封印先は謎です、不幸の鬼の記憶は完全ではないので……」

 記憶が不完全ということに皆は不安になる。
 もし敵に、先に封印の場所を知られてしまったら……そう考えるだけで恐ろしい。
 皆は己の顔が不安でひどく歪むのがわかる様だった。
 だが殺はたいして不安そうではなかった。
 寧ろ言いにくいことを言い終え、清々としている様だった。
 そして彼は言葉を放つ。

「別に敵を撃破したら良いだけですから大丈夫です」

 そう彼は自信満々に言った。
 その言葉は強い意志と決意に満たされていて信じざるを得ない程にだ。

「……そうだな、それが仕事でもあるし運命だからな」

 陽は少しだけ笑いながら小さな声で呟く。

「縄で縛れば良いのですわね!」

「SMかよ!」

「面白そうじゃな!」

 殺の言葉にとても安心してしまった彼らは、もはや笑うしかなかった。
 この自信家は本当に不可能を可能にしてしまう者だから誰も疑わない。
 いや、皆は信頼で成り立っているから誰も疑ったりしない。

 やれば出来る子、少し残念なところもあるが彼らに出来ないことはきっとないのだ。
 だから世界の終末すら日常に戻してしまう。
 それが彼ら、選ばれし者なのだ。

「絶対に平和を取り戻しますよ」

 そう彼は強く発言した。
 御影とサトリは笑顔で、陽とMは張り切っている。

「さあ、日常は我等の手に」

 彼らは正々堂々とこれからの争いに立ち向かう。

 運命は何を選び捨てるのか?
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