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17.濡れる身体、溺れる心
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しおりを挟むなに、これ……。
甘ったるい空気が部屋に充満している。
堪らない。
一番びっくりなのは、自分にだ。
甘すぎでしょ!
私は枕を抱いて突っ伏した。
自分の言動を、正確には私の言動で見せた駿介の反応を思い出して、じっとしていられずに手足をバタつかせる。
ヤバいっ!
駿介の恥ずかしそうな顔、堪んない!!
エロおやじかと自分に突っ込みたくなる。
駿介の顔を思い出すだけで、膣内がムズムズする。
こんな気持ち、初めてだった。
スるときはいつも、言われて渋々だったし、むしろエロおやじみたいに鼻の下を伸ばして見下ろされると興奮も冷めた。
なのに、駿介にはもっとシたいと思う。
私に感じている表情が見たいと思う。
早く帰って来ないかな……。
私は顔の前で手を上下に振って風を送り、火照りを冷ましながら、寝室を出た。
キッチンでコーヒーを淹れ、テーブルに置く。
ソファの上で仰向けに寝転んでいるブサかわ猫と目が合った。
ブーちゃん……。
スマホで、最後に撮ったブーちゃんの写真を表示する。
駿介に会わせてあげたかったな。
ブブッとスマホが唸った。
あきらからのメッセージ。
『さっきは伝え損ねたけど、龍也と付き合うことになりました。心配かけてごめんね?
それから、鶴本くんにお礼を言っておいてね。偶然でも、鶴本くんが有川さんと話をしてくれなかったら、千尋がいなくなったことに気づけないままだったかもしれないから。
千尋には、ちょくちょくメッセ送ってみるけど、そんなに心配するほどのことでもないと思うんだ。有川さんの様子と、とにかく早く帰って来いって送り続けてたら、そのうち反応ありそうだし』
私はコーヒーを一口飲んで、返信を入力する。
『そうだね。私も千尋にはメッセ送るね。
あきらと龍也、気持ちが通じて本当に良かった。
駿介にお礼、言っておく!』
それから、千尋とのトーク画面を開いた。
壁から顔を出す猫のスタンプの後に、メッセージを送る。
『みんな心配してるよ。返事して?』
急に現実に戻り、不安や寂しさが込み上げてくる。
「ただいま」
顔を上げると、リビングの戸口に駿介が立っていた。手には、コンビニの袋が二つ。
ほんのり、彼の髪やコートの肩が湿っている。
「おかえり」
「なにが食べたいか聞かずに出ちゃったから、適当にいろいろ買って来た」
「ありがと」
「結構、積もってきたよ」と、駿介が髪を掻き上げた。
何滴かの雫が落ちる。
私は洗面所からタオルを持って来て、渡した。代わりに、袋を受け取る。
ひとつの袋の中には、お弁当やおにぎり、パンが詰まっていた。
「コーヒー淹れたから、サンドイッチにしようかな。駿介は?」
「がっつり弁当がいいな。肉のやつ」
卵とハムのサンドイッチとパスタのサラダ、カルビ弁当を取り出して、残りは冷蔵庫に入れる。
もう一つの袋には飲み物が入っていた。それから、紙袋。
お茶と紙袋以外を冷蔵庫に入れた。
お弁当をレンジに入れる。
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