36 / 182
4.男としての価値
7
しおりを挟む「マジで不能になったわけ!?」
いい加減疲れたのか、萌花が顔を上げた。手の甲で口を拭い、俺を睨む。
「あんな地味な女でもそばにいれば刺激になって溜まると思ったのに! 役立たずなんだから!!」
「旦那の世話を押し付けといて、なんつーこと言うんだよ」
「世話をさせてくれって言うからさせてやったのよ。わざわざ離婚してまで頼んでくるから、引き受けてやったんだから、感謝して欲しいわよ」と、鼻息を荒くしながら手を伸ばしてブラジャーを手繰り寄せる。
「はっ――? 離婚して行く場所がないからちょうどいいって、ここに来たんだろ?」
「違うわよ」
萌花は恥ずかしげもなくブラジャーを身に着け、手を突っ込んで脇の肉を中央に寄せ、ペンが立ちそうな谷間を作る。
「どっかからかあなたの事故を知って、連絡してきたの。自分から連絡して来たことなんかなかったのに。あんまりしつこいから、『そんなに知りたきゃ、介護でもしてやってよ』って言ったら、するって言って。けど、結婚してて、旦那の親とも同居で、妹の旦那の世話なんて無理じゃない。そしたら、『離婚した』って言い出して。ちょうど悠久が退院するって言いだした時だったから、世話させてやることにしたのよ」
なんだ……、それ?
俺のところに来た経緯をじっくりと聞いたわけではないが、そんな風には言っていなかった。
自分から俺の世話を買って出たなんて、初耳だ。
「悠久に惚れてんのかと思ったから、『手を出したら離婚したことパパに言いつけてやる』って釘さしといたんだけど、そんな必要なかったわね」
「離婚したこと、お前の親は知らないのか?」
「そ。知ってたら許すわけないもの。私としてはバレて、縁を切られてくれたらすっきりしたとこなんだけど」
自分がひん剥いた旦那はそっちのけで、萌花は身支度を整えて、化粧まで直し始めた。
俺は身体を起こすのもやっとで、やはりもう少し硬めのソファに買い替えようと思った。
どれだけ勢いよく放ったのか、俺の服はダイニングテーブル近くに落ちていた。
「姉に向かって、酷い言い草だな」
「姉だなんて思ってないもの」
「なんで」
「血の繋がりは半分だし、ダサいし、暗いし、恥ずかしくて姉だなんて誰にも言いたくないじゃない。初めてまともに顔を合わせたのなんて、あいつの結婚式でよ? パパとママが私には隠してたから仕方ないけど、面子があるからって結婚式だけは出席させられて」
「はっ――?」
初耳だった。
萌花は父親の仕事に関わっているのに、楽は全く関わっていないのは、早くに結婚したからなんだと思っていた。
「血の繋がりが半分……て?」
1
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
清掃員と僕の密やかな情状
MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。
青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。
肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。
44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる