楽園 ~きみのいる場所~

深冬 芽以

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7.再会

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 どれくらい抱き合っていたか。

 互いの鼓動が同調し、半身を取り戻したように落ち着けた。

 階段上の、楽の部屋の前。

 ずっとこうしていたかったけれど、さすがに冷えて背中や腰が痛みだした。

 俺が身体を捩ると、楽がパッと起き上がった。

「ごめんなさい。身体、ツラいよね」

 涙は乾いていた。

 まだ、目は赤いが。

 俺は楽に支えられて身体を起こし、壁に寄りかかって座った。それから、彼女を足の間に引き寄せて、抱き締めた。

「事故の後のこと、聞いてもいい?」

 俺の胸に顔を埋め、彼女は小さく頷いた。

「退院する時、私たちと一緒に事故に遭ったおばあさんがいたことを知ったの。外出できるようになって、私はおばあさんを訪ねた。おばあさんの方が先に退院していたんだけど、お母さんを亡くした私を心配してくれて、連絡先を知らせてくれていたから。私が訪ねた時、おばあさんは着物姿で車椅子に乗っていたの。すごく、上品な雰囲気のおばあさん。私が名乗ると、元気になって良かったねと笑ってくれた」

 俺は、楽の頭を撫でながら、黙って聞いていた。

「そのおばあさんは――、私は『おばあちゃん』て呼んでいたんだけど、事故で左足を切断していたの。七十歳を過ぎていたから、義足に慣れるのは無理だろうって、車椅子生活をしていた。私は毎日のようにおばあちゃんに会いに行ったわ。おばあちゃんはとても親身に私を心配してくれて、自宅の空いている部屋を貸してくれたの。一人暮らしは寂しいだろう、って」

「父親は何も言わなかったのか?」

「うん。おばあちゃんがお父さんと話してくれて」

 いくら親切な婦人でも、他人にそこまでするだろうかと不思議に思った。

「後で知ったんだけど、おばあちゃんて不動産会社の会長さんだったの。なんか、色々と顔も広くて。お父さん、権力者って人たちに弱いから。おばあちゃんとの縁を利用しようとでも思ったのか、何も言わずに私をおばあさんに預けたの」

 俺と萌花の結婚の時も、そんな感じだった。

 俺の父親に媚びへつらい、パーティーなんかで事務所のモデルを使ってもらおうと、必死だった。

「私はおばあちゃんの家で暮らしながら、おばあちゃんの口利きで子会社の事務員として働かせてもらって。三年くらいして、おばあちゃんの孫の修平しゅうへいさんと結婚しないかと言われたの」

 ここで、以前楽が話してくれた結婚の経緯と繋がった。

「おばあちゃんは家族と離れて暮らしていたんだけど、息子さんやお嫁さんは滅多に会いに来ないのに、孫の修平さんはよく来ていたの。おばあちゃんと三人でお喋りしたり、ご飯を食べたりしていて、人柄は知っていたから、驚きはしたけど、嫌とかは思わなくて」
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