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7.再会
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しおりを挟む事故の前までは、そういう夫婦の在り方もあると思っていた。
愛情がなくても、利害が一致していればうまくやっていけると。
萌花のように華やかな女を連れて歩くことで注目されるのは仕事にいい影響があったし、彼女とのセックスにも不満はなかった。
だが、事故は起きた。
それによって、こんな夫婦の在り方はない、と確信してしまった。
「二か月の入院中、萌花が病院に来たのは三回。俺から連絡したのはゼロ。退院してからだってそうだ。今更だけど、こんなのはおかしいって、わかった」
「間宮くん……」
「楽、さっきから俺を間宮くん、って呼んでるね」
「えっ!? あ――」
「軽蔑した?」
楽がブンブンと首を振る。彼女のきつく結ばれた髪が、俺の肩を叩く。
「私も……男女の愛情があって結婚したわけではないから……」
後悔したって仕方がない。
お互いの結婚を間違いだった言うのは簡単だが、その間違いがあったお陰で、俺と楽は再会できた。
「じゃあ、二度目はちゃんと愛のある結婚をしよう?」
彼女の顎に手を添えて持ち上げ、唇を重ねた。
運命、なんて痒くなるようなことを思う日がくるなんて、思ってもみなかった。
「俺たち、本当の意味で、再会できたね」
「悠久くん……」
楽の手が俺の首に絡み、僅かに引き寄せられた。
楽からのキスは優しくて、甘くて、涙が出た。
「もう、離さない――」
貪るような深い口づけ。
ぴったりと身体を寄せ合い、抱き締め、何度もキスをした。
「絶対、離さないから――」
キスの途中で、楽の髪に指を絡めた。結んだゴムに指をかけてみたが、ビクともしない。今は、まだ、この髪を解けない。
解けても、彼女を抱けない。
俺の身体は、彼女の唇の甘さに、身体の柔らかさに、何度かその身を硬くさせたが、完全に勃ち上がることはなかった。
本当に抱きたい女性が、腕の中にいるのに――!
不甲斐なさに落ち込む気持ちを奮い立たせてくれたのは、楽の言葉だった。
「悠久くんが生きていてくれて、本当に良かった――」
そうだ。
俺は生きている。
食事もままならなかった手が、動くようになった。
杖がなくては立ち上がれなかった足で、階段も上れた。
ピクリともしなかったモノが、楽を求めて僅かでも熱を帯びるようになった。
俺が、楽が、死にそうになりながらも生きて、再会したのには意味がある。
絶対、諦めない。
目的が好きな女とのセックスだなんて、不純な動機だが、他のどんな目的よりも本能的で、大事なこと。
楽に、気持ちのいいセックスを教えたい。
楽に、愛のあるセックスを教えてもらいたい。
それはどちらも、他の相手では出来ないこと。
「あの初めてのキスの後から、始めよう」
穏やかに笑みを浮かべた楽が、十五年前の彼女と重なった。
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