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8.目撃
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しおりを挟む「リハビリ……」
かろうじて聞き取れるほどの声量で、彼が呟いた。
「え?」
「こうしてリハビリしてたら、楽を抱けるようになる気がする」
そう言いながら、胸に触れる手に力がこもる。指がぎこちなく曲がり、食い込む。
「こんなリハビリ――」
「――リハビリだよ。俺たちが愛し合う為の、リハビリ」
愛し合う……。
私はセックスを、愛し合う行為、だと思ったことがない。
修平さんとセックスをしようと、しなければと思ったのは、子供を望まれたからだ。その為に、口での愛撫を勉強し、目隠しをした彼に実践もした。何度も、何度も。
そして、ようやく彼が私の愛撫に反応を見せたのは、私じゃない女性の名前を呼んだ時だった。
硬くなったソレを更に刺激し、目隠しをしたままの修平さんに跨って挿入を試みた。が、当の私は全く準備が出来ていない上に初めてで。勉強にと見た動画を思い出して悪戦苦闘してみたが、どうしても挿入らなくて。そうこうしているうちに、硬かったはずのモノが柔らかく小さくなってしまった。
三度目にようやく挿入できたのだが、痛くてうまく動けなくて、修平さんも努力はしてくれたのだけれど、結局、愛し合うとは程遠い苦行を強いられただけだった。
そして、私たちは離婚した。
「セックスが愛し合う行為だってこと、俺が教えるから」
その日から、悠久くんは私に触れるようになった。
それこそ、昼夜も場所も問わず。
本を読んでいる時だったり、お風呂上りだったり、眠る前だったり。
最初はキスをしたり、服の上から胸を触ったりするだけだったのに、次第にその手が素肌に触れるようになった。
リハビリと言うだけあって、確かに握力が戻って来ているようだった。
事実、食事の時にスプーンやフォークを落とすことがなくなったし、左手でお茶碗を持てるようになった。
三十分以上本を持って、難なくページもめくれるようになった。
リハビリを始めて二週間ほどで、彼の両手はほぼ、事故前と同じ動きが出来るようになった。
だが、右足は、正確には腰の右半分は、相変わらず思うように動かない。
ただ、手の握力が戻ったことで、杖を自在に操れるようになり、移動にも手こずらなくなった。
「んっ……」
ベッドに入って常夜灯に切り替えると、いつものように悠久くんに抱き締められた。甘いキスと共に、彼の手が私の胸を揉み上げる。
彼の舌が私の口内に侵入してきて、縦横無尽に動き回る。
「は……ぁ」
私はいつもどうしていいかわからなくて、されるがまま。
「楽……」
彼の手がパジャマの裾からお腹に触れながら上昇を始めた。
「好きだよ」
悠久くんは私に触れながら、いつもこうして愛を囁く。
私はその声に、言葉に、身体を開く。
悠久くんの手がナイトブラの中まで進んできて、胸を包み、揉む。
「悠久くん……」
彼の唇が私の耳朶を食み、私は目を閉じた。
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