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10章 秋休みは稼ぎ時
10-29 お礼というのは押しつけるものではない
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「リアム、ゴウさんのお礼、断って良かったのかー?何でもしそうな勢いだったじゃん」
バージが聞いてきた。
今は、昼の休憩時間。宿の部屋に戻って、うまうまとオムライスを頬張るクロがいる。
「確かに断っても何か押しつけてきそうな勢いだったが、特段の手間がかかったわけじゃないし」
俺たちはオムライスの他にも、通りに出ている屋台で食べたいものを各自調達してきた。
ゾーイとバージも一緒に食べているが、普段の従者くんは頑なに一緒のテーブルにはつかない。彼はプロだから、俺たちも強くは言わない。対外的にも一緒に食べた方が良いときだけ席を勧める。
ここはもう貴族制度がない国だとはいえ、従者くんが雇われているのはクジョー王国のマックレー侯爵家だからである。
「それはリアムだから言えることだよ。この国の専門家でさえ調整できなかった代物なのに。ゴウさんはS級冒険者だから高給取りだよ。しかも、ゴウさんの冒険者復帰は国からも褒美がもらえるレベルだと思うな」
「SS級冒険者にあと一歩の人が復帰して、本当にSS級冒険者になれば、先見の巫女の後継者もいるし、グレーデン大国もしばらくは他国にかまわないだろ」
「、、、リアムってさあ、お金が欲しいってよく言うわりには、行動が一貫してないよね」
バージがオムライスを頬張りながら、指摘してくる。
そおかなー?
「砦を襲いに来た者たちからは、しっかり金を巻き上げているぞ、今もなお」
「いやさあ、ゴウさんも言っていたけど、ゾーイは高い報酬で縛ったにもかかわらず、ゴウさんは野放しって何でかなと思って」
そういう意味でなら。
「なら、バージも野放し状態なんだけど」
俺の言葉が終わらない内に、バージマスコットが存在を主張した。
テーブルに仁王立ちして主張した。
どどん。
クロがぺしっと転ばせた。存在が視界の邪魔になったか。
サイズ感が同じくらいだな。
、、、アレ、自立型だったかな?そんな機能つけたっけ?
バージマスコットはすごすごと所定位置に戻った。
見なかったことにしよう。
「まー、あの、、、その節は、、、非常にありがたいと思っております。家ごとなくなる危険性を救っていただき助かりました」
バージがソファーの上で俺に土下座した。
友人だからできることなのだろうけど。。。床でやられたら、反対に縁を切るところだよー。
「バージのテンガラット子爵家とは隣領になるわけだし、持ちつ持たれつ。長い年月になれば、そういうことになる」
「、、、ということは、ゴウさんとは長い付き合いになる可能性が高いってことか?」
パッと顔を上げたが、何でそんなに嫌そうな顔になっているのかな?
書類仕事の面倒を見させたのがそんなに苦痛だったのだろうか?
俺もゴウさんは事務系の仕事は向いてないとは思うけど。
適材適所の人事って言葉が、この世界ではどこに消えたのかと思えるくらいだが。
冒険者ギルド総本部のお偉いさんたちが何を考えているのか、ようわからん。冒険者育成とかに配属すればいいのに。
「SS級冒険者が誕生したとしても、それでも、この大陸には一人しかいない。グレーデン大国所属の冒険者だから、各国の獲得競争には発展しないだろうが、それでも自国に引き抜きたいと考える国は多い。助けて欲しいと願う国も多いはずだ。グレーデン大国もSS冒険者も発言力が強まることは間違いない。ゴウさんに恩を売っておいても損はない」
「助ける先は先見の巫女が見るってことか?」
「どうだろうな。先見の巫女の魔法はそれほど万能じゃない」
俺は収納鞄から先見の巫女が持っていたユニークスキルの魔法の紙を出す。
小さい文字が何枚にも渡る。コレは魔法陣でもなく呪文でもない。
その者のカラダにこの魔法が組み込まれることによって発動するユニークスキル、その本人にしか使えない魔法となっているのだが。
「複写」
現物は残しておきたいからねえ。前世でもコピーを忘れてついつい原本の方の紙を使ってしまうと微妙なことが、、、まあ、出力し直せるものはどうだって良かったが。それにコピーをコピーし続けると画像が劣化してくるからなあ。
複写した方の紙をテーブルに置き、文字を浮かべる。
「コレはけっこうわかりづらいし、いじりにくいんだけど、もっと効率化できるし、先見の精度も上げることができる、、、が」
「が?」
「コレに頼り切るのは危険だ。ただただ高い可能性を未来と称しているだけのまがいものだ。占い師に頼るのと同じことになる」
「そうかな?高い可能性でそうなるのなら、未来を見ていると言ってもいい気がするけど」
「未来を変えるために行動するのも、何もせず変えないのも、その判断を上層部だけが握っている。それは国の在り方として正しいわけがない。上層部の都合のいいように未来を変えるだけに利用するのなら、使わない方が良い魔法だ」
国の一部の上層部にとって都合がいいことは、多くの場合、国や国民のためになることではない。
残念ながら、それは歴史が証明している。歴史は繰り返されている。
光となった文字が眩く。
俺は文字を元の紙の上に戻す。
いつか誰かがこの魔法を改変するかもしれないが、必要な誰かがやるべきものだ。
好奇心は身を滅ぼす。
なぜ、このレベルのものしかユニークスキルとして授けてないのかを考えれば。
これがこの大陸一番の大国で崇め奉る先見の巫女のユニークスキルなのだから。
俺はこの魔法の紙を複写したものと一緒に収納鞄にしまった。
「占い師が裏で国を滅ぼした歴史も山程あるからなあ」
「判断するのは、人だ。何もかも占いや魔法が助けてくれるわけではない」
そして、そういう占い師は責任を取らない。問題が露呈したときには、たいてい逃げている。捕まる占い師は最初からスケープゴートとして用意された者が少なくない。
「そりゃそうだけど、質の良い情報がある分にはその方が良い」
バージのようにソレが情報とわかっていればいいのだが、妄信する者が先見の巫女には存在する。
それは長い歴史、この国が彼女たちに救われてしまっているからだ。
運が良いことに、彼女たち自身はそれを利用して何かを企むことはしなかった。
今後は、国の上層部の都合がいい先見の巫女を選ぶようになるだろう。
「ゴウさんは地位や名誉が欲しいタイプじゃないから、平気だ。SS級冒険者になっても、国や冒険者ギルドに振り回されず冒険者できる」
、、、いや、そうではないか。
「あの人は振り回す方だろ、どう見ても」
バージが結論を言った。
さて、沈黙のゾーイくんだが、屋台でなぜか買ってしまった踊り食いの小エビちゃんたちと睨めっこしている。
この国は何でもあるからなあ。。。
生のものが食べられないのなら無理しなくても良いんだぞ。
火を入れてあげようか?
揚げるとカリカリになって。。。
従者くんが後ろでニコニコと首を横に振っている。
自分で責任持てと?怖いな、マックレー侯爵家。。。
魔道具の方は意外と早く試作品ができた。
義肢製作所の職人さんに、一般の職人が作りやすい構造かどうか聞きながら作業した。
作業の効率化と言えば聞こえは良いが、いわゆる単純化だ。
設計図も書く。
俺が冒険者ギルド支部全部に行き渡る数を作るわけにもいかない。
それはそういう職人に任した方が素早く出来上がるだろう。
簡単に言えばスキャナーであるが、書類の情報を魔道具に読み込ませる機能である。
人件費も削減されるであろう。
魔道具に入力する作業が減るのだから。
「量産されるまでは今までのように手作業で入力するしかないのだろうが、冒険者ギルドの各支部に行き渡るのも時間の問題だろう」
冒険者ギルドが冒険者から買い取る魔石の値段はほどほどなのに、売るときに高額になってしまうのは冒険者ギルドがまず自分たちで使う分を取ってしまうからだ。自ずと表に出る魔石は少なくなる。嫌なカラクリだな。
今回も魔石を大量に使うことになるが、一度魔道具を作ってしまえばそこまで魔石の魔力を消費する魔道具でもない。数十年から百年ぐらいは魔石の交換なしに使えるだろう。
「けどさー、坊ちゃん、この魔道具の作り方を秘匿して、アンタのところの砦で製作すればかなり儲けられたんじゃねえか」
この義肢製作所の所長は、なぜか俺のことを坊ちゃんと呼ぶなあ。。。
嫌がらせか?
白銀の辺境伯とどっちがマシかと言われると微妙なところであるが。
普通に名前で呼べばいいのに。
「うちの砦は工場じゃない」
「ええっ?うちも魔道具の工場じゃないんだけどっ?」
所長が叫んだ。
似たようなものじゃないか?
バージが聞いてきた。
今は、昼の休憩時間。宿の部屋に戻って、うまうまとオムライスを頬張るクロがいる。
「確かに断っても何か押しつけてきそうな勢いだったが、特段の手間がかかったわけじゃないし」
俺たちはオムライスの他にも、通りに出ている屋台で食べたいものを各自調達してきた。
ゾーイとバージも一緒に食べているが、普段の従者くんは頑なに一緒のテーブルにはつかない。彼はプロだから、俺たちも強くは言わない。対外的にも一緒に食べた方が良いときだけ席を勧める。
ここはもう貴族制度がない国だとはいえ、従者くんが雇われているのはクジョー王国のマックレー侯爵家だからである。
「それはリアムだから言えることだよ。この国の専門家でさえ調整できなかった代物なのに。ゴウさんはS級冒険者だから高給取りだよ。しかも、ゴウさんの冒険者復帰は国からも褒美がもらえるレベルだと思うな」
「SS級冒険者にあと一歩の人が復帰して、本当にSS級冒険者になれば、先見の巫女の後継者もいるし、グレーデン大国もしばらくは他国にかまわないだろ」
「、、、リアムってさあ、お金が欲しいってよく言うわりには、行動が一貫してないよね」
バージがオムライスを頬張りながら、指摘してくる。
そおかなー?
「砦を襲いに来た者たちからは、しっかり金を巻き上げているぞ、今もなお」
「いやさあ、ゴウさんも言っていたけど、ゾーイは高い報酬で縛ったにもかかわらず、ゴウさんは野放しって何でかなと思って」
そういう意味でなら。
「なら、バージも野放し状態なんだけど」
俺の言葉が終わらない内に、バージマスコットが存在を主張した。
テーブルに仁王立ちして主張した。
どどん。
クロがぺしっと転ばせた。存在が視界の邪魔になったか。
サイズ感が同じくらいだな。
、、、アレ、自立型だったかな?そんな機能つけたっけ?
バージマスコットはすごすごと所定位置に戻った。
見なかったことにしよう。
「まー、あの、、、その節は、、、非常にありがたいと思っております。家ごとなくなる危険性を救っていただき助かりました」
バージがソファーの上で俺に土下座した。
友人だからできることなのだろうけど。。。床でやられたら、反対に縁を切るところだよー。
「バージのテンガラット子爵家とは隣領になるわけだし、持ちつ持たれつ。長い年月になれば、そういうことになる」
「、、、ということは、ゴウさんとは長い付き合いになる可能性が高いってことか?」
パッと顔を上げたが、何でそんなに嫌そうな顔になっているのかな?
書類仕事の面倒を見させたのがそんなに苦痛だったのだろうか?
俺もゴウさんは事務系の仕事は向いてないとは思うけど。
適材適所の人事って言葉が、この世界ではどこに消えたのかと思えるくらいだが。
冒険者ギルド総本部のお偉いさんたちが何を考えているのか、ようわからん。冒険者育成とかに配属すればいいのに。
「SS級冒険者が誕生したとしても、それでも、この大陸には一人しかいない。グレーデン大国所属の冒険者だから、各国の獲得競争には発展しないだろうが、それでも自国に引き抜きたいと考える国は多い。助けて欲しいと願う国も多いはずだ。グレーデン大国もSS冒険者も発言力が強まることは間違いない。ゴウさんに恩を売っておいても損はない」
「助ける先は先見の巫女が見るってことか?」
「どうだろうな。先見の巫女の魔法はそれほど万能じゃない」
俺は収納鞄から先見の巫女が持っていたユニークスキルの魔法の紙を出す。
小さい文字が何枚にも渡る。コレは魔法陣でもなく呪文でもない。
その者のカラダにこの魔法が組み込まれることによって発動するユニークスキル、その本人にしか使えない魔法となっているのだが。
「複写」
現物は残しておきたいからねえ。前世でもコピーを忘れてついつい原本の方の紙を使ってしまうと微妙なことが、、、まあ、出力し直せるものはどうだって良かったが。それにコピーをコピーし続けると画像が劣化してくるからなあ。
複写した方の紙をテーブルに置き、文字を浮かべる。
「コレはけっこうわかりづらいし、いじりにくいんだけど、もっと効率化できるし、先見の精度も上げることができる、、、が」
「が?」
「コレに頼り切るのは危険だ。ただただ高い可能性を未来と称しているだけのまがいものだ。占い師に頼るのと同じことになる」
「そうかな?高い可能性でそうなるのなら、未来を見ていると言ってもいい気がするけど」
「未来を変えるために行動するのも、何もせず変えないのも、その判断を上層部だけが握っている。それは国の在り方として正しいわけがない。上層部の都合のいいように未来を変えるだけに利用するのなら、使わない方が良い魔法だ」
国の一部の上層部にとって都合がいいことは、多くの場合、国や国民のためになることではない。
残念ながら、それは歴史が証明している。歴史は繰り返されている。
光となった文字が眩く。
俺は文字を元の紙の上に戻す。
いつか誰かがこの魔法を改変するかもしれないが、必要な誰かがやるべきものだ。
好奇心は身を滅ぼす。
なぜ、このレベルのものしかユニークスキルとして授けてないのかを考えれば。
これがこの大陸一番の大国で崇め奉る先見の巫女のユニークスキルなのだから。
俺はこの魔法の紙を複写したものと一緒に収納鞄にしまった。
「占い師が裏で国を滅ぼした歴史も山程あるからなあ」
「判断するのは、人だ。何もかも占いや魔法が助けてくれるわけではない」
そして、そういう占い師は責任を取らない。問題が露呈したときには、たいてい逃げている。捕まる占い師は最初からスケープゴートとして用意された者が少なくない。
「そりゃそうだけど、質の良い情報がある分にはその方が良い」
バージのようにソレが情報とわかっていればいいのだが、妄信する者が先見の巫女には存在する。
それは長い歴史、この国が彼女たちに救われてしまっているからだ。
運が良いことに、彼女たち自身はそれを利用して何かを企むことはしなかった。
今後は、国の上層部の都合がいい先見の巫女を選ぶようになるだろう。
「ゴウさんは地位や名誉が欲しいタイプじゃないから、平気だ。SS級冒険者になっても、国や冒険者ギルドに振り回されず冒険者できる」
、、、いや、そうではないか。
「あの人は振り回す方だろ、どう見ても」
バージが結論を言った。
さて、沈黙のゾーイくんだが、屋台でなぜか買ってしまった踊り食いの小エビちゃんたちと睨めっこしている。
この国は何でもあるからなあ。。。
生のものが食べられないのなら無理しなくても良いんだぞ。
火を入れてあげようか?
揚げるとカリカリになって。。。
従者くんが後ろでニコニコと首を横に振っている。
自分で責任持てと?怖いな、マックレー侯爵家。。。
魔道具の方は意外と早く試作品ができた。
義肢製作所の職人さんに、一般の職人が作りやすい構造かどうか聞きながら作業した。
作業の効率化と言えば聞こえは良いが、いわゆる単純化だ。
設計図も書く。
俺が冒険者ギルド支部全部に行き渡る数を作るわけにもいかない。
それはそういう職人に任した方が素早く出来上がるだろう。
簡単に言えばスキャナーであるが、書類の情報を魔道具に読み込ませる機能である。
人件費も削減されるであろう。
魔道具に入力する作業が減るのだから。
「量産されるまでは今までのように手作業で入力するしかないのだろうが、冒険者ギルドの各支部に行き渡るのも時間の問題だろう」
冒険者ギルドが冒険者から買い取る魔石の値段はほどほどなのに、売るときに高額になってしまうのは冒険者ギルドがまず自分たちで使う分を取ってしまうからだ。自ずと表に出る魔石は少なくなる。嫌なカラクリだな。
今回も魔石を大量に使うことになるが、一度魔道具を作ってしまえばそこまで魔石の魔力を消費する魔道具でもない。数十年から百年ぐらいは魔石の交換なしに使えるだろう。
「けどさー、坊ちゃん、この魔道具の作り方を秘匿して、アンタのところの砦で製作すればかなり儲けられたんじゃねえか」
この義肢製作所の所長は、なぜか俺のことを坊ちゃんと呼ぶなあ。。。
嫌がらせか?
白銀の辺境伯とどっちがマシかと言われると微妙なところであるが。
普通に名前で呼べばいいのに。
「うちの砦は工場じゃない」
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所長が叫んだ。
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