男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

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1章 双子の姉の失踪

1-12 実際のツンデレ令嬢は対処に困る1

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 王城。
 俺ははじめてこの王城内部に足を踏み入れた。
 
 オルレアはお茶会やら何やらで何度も呼ばれているが、俺は一度も来たことがない。
 ちなみにオルレアはドレス姿で来ているが。
 王城での公式の場ではさすがに男装は認められないだろう。

 今の俺は男装のオルレア姿だが。。。
 緊急避難なのだから仕方ない。

「あらーーーっ、野蛮なバーレイ侯爵家令嬢のオルレア様がこんなところにおいでになるなんてーっっ」

 高笑いをしつつ、マーガレット・モルト公爵家令嬢が現れた。
 マーガレット嬢は金髪巻き毛美女。
 スタイルもボンキュッボン、さすがに古いか、スタイル抜群の美女である。
 容姿と言動からすると、赤いドレスと悪役令嬢がよく似合う女性である。

 性格が難アリ、と周囲からは評価される。
 マーガレットの兄サイ・モルトが呟く。我が妹はツンデレなのだと。

 ツンデレなのだろうか。
 彼女はオルレア様を見守る会の会長なのだから、そうなのか?
 オルレアを好ましく思っていなければ、そんな会を作ろうとは思わない、はず。

 ちなみに、この「オルレア様を見守る会」は、同学年で構成される。
 ソフィア嬢が会長を務める「オルレア様を愛でる会」は、上級生が中心。
 あのアニエスが会長をする下級生が中心の、「オルレア様を慕う会」

 この三つが学校内で設立されているオルレアのファンクラブである。
 ひとつにまとめろよ、と言いたくなるのだが。
 派閥か?主義主張が違うのか?


 サイ・モルトは一歳年上の最高学年の首席である。
 卒業後は魔法研究所で魔法を研究するらしい。
 この人に関しては、とりあえず頭が良いということだけわかればいいだろう。

 昔はよくバーレイ侯爵家に来て、剣の訓練をしていた。
 有力な貴族は自分の子息をバーレイ侯爵家に訓練を頼んでしまうのである。
 サイは剣の腕前がまったくなく魔法の才を伸ばした方が良いとわかるまでは、地獄を味わっている顔をして訓練を受けていた。
 ま、貴族の子息には剣は嗜みでも必要なので、最初から魔法の才があるとわかっていても剣の訓練は多少なりともさせられただろうが。
 けれど、幼い頃、苦楽を、、、訓練には一切楽しさはなかったな、苦行を共にした仲は友情が芽生えやすいものだ。

 あの頃は一歳年上でも俺と同じくらい小さかったが、サイ・モルトはすくすくと長身かつ細身のイケメンと育った。
 あの当時がなければ、俺はサイとは話す機会もなかっただろう。


 オルレアに扮している俺でも、同級生である妹のマーガレットより兄のサイの方と話す。
 侍女たちに聞いても、オルレア自身もマーガレットとはそんなに親しくはしていなかった、ということなのだが。。。

 はて?
 ツンデレって何だったかな?
 俺が思い込んでいる意味合いと違うのかな?

『普段はツンツンな敵対的な態度、ある条件下でデレデレとした好意的な態度になるマーガレットみたいなものだよー』

 俺の頭の中でデフォルメなサイが急に現れて説明してくれた。
 マーガレットの好意的な態度って、今まで見たことないんだけど?
 デレがないぞ、デレが。
 デレがなければ、ツンデレとは言わないんじゃないか?

『オルレア様に対するデレは、マーガレットは私や自分の侍女の前で見せてるよー。赤くなって褒め言葉ばかり言ってるよー。可愛いぞー、見せてやりたい。オルレア姿じゃ一生無理だろうけどー』

 おい、サイ。魔法で俺の脳内に出て話しかけて来るな。
 怖いぞ。

 ある条件下→オルレアの前以外ってことか。

 素直になろうぜ。。。
 傍迷惑な限りじゃないか。
 俺、オルレアじゃないんだし、見分けようぜ、この兄のように。

 ところで、サイ、暇なのか?

『だってー、オル、今、王城なんだろー。私もついさっき来たよー。父の代わりにこの件についての説明を受けているんだけどー。暇ー、魔法書読みたいーっ』

 保護者説明会が違う場所で開かれているようだ。
 さすがにバレないように本を読むことはできないだろう。
 おそらく次に、保護されている当事者の令嬢たちに説明がされるので、俺たちはこの大広間に集合しているのだろう。話す内容はマイルドに加工されて。
 大広間なのは、侍女や護衛が溢れるほど存在しているからだ。
 そして、密集させてしまうと冷戦が始まってしまう。
 貴族令嬢の表情は笑顔なんだけどね。

 サイは王城内にいなければ、今、王城内にいる俺にこの魔法が使えない。
 王城には外部からの魔法は許可された一部を除いて弾かれる仕組みがある。
 内部にいれば、この通り使えてしまうが。魔法をすべて制限すると、王城内での便利な生活ができなくなる。
 安全のためと言われても、王族や使用人が文句を言うよね。

「おほほほーーーっ、オルレア様は王族の方々の前でも男装なされるのーーー?着替えるドレスをお忘れかしらー?侯爵家の侍女も役立たずね。私のをお貸ししましょうかー?」

 マーガレット様、高笑い。
 うん、男装のままで過ごさせてもらうよ。
 ドレスなんか着ないよ、俺。
 オルレアにソックリなのに、オルレアは男装しても笑われないが、俺が女装したら悪友らに大笑いされるイメージしか湧かないのはなぜだろう?

「胸が余るだろ、胸が」

 ボソッと呟いてしまった。
 オルレアがマーガレットのドレスなんか着たら、胸の布がガバガバに超絶に余る。

『悲しいことを言うな、オル。胸のことはオルレアだって気にしているんだぞ。何せお前より胸囲がないんだからなあ』

 デフォルメサイがハンカチ持って泣くまねをした。
 いつもこのぐらい可愛げがあると良いんだが。。。

 実は、俺はオルレアの制服を着ることができなかった。
 小さかったのだ、特に胸が。。。
 さすがに鍛えているからなあ、俺も。多少の胸筋はある。。。

 仕方ないので作り直した。
 貴族の制服はオーダーメイド。既定の制服になるなら、お抱えのところに頼んでもいいので、内密に早急に俺の制服は作られていた。

 しかし、そのことをサイがなぜ知ってる。
 うちの姉の胸囲を。
 ストーカーなら後で始末しておかないと。いや、今でもいいか?

『ちっがうよー。胸の大きくなる魔法はないかと聞きに来たんだよー。さすがに私の研究対象外なのでわかりませんと答えておいたけどー。友人のために教えてほしい、という前置きはあったよ。うん』

 友人のために、か。
 本当に友人のためならば、友人のために、という前置きを言うだろうか?
 まあ、いいか、どうでも。
 サイが反社会的な行動をしているのでなければ。
 剣の柄にかけた手を外した。

 さて、念話の魔法でいい気がするんだが?ミニサイズのサイは出て来なくてもいい気がするんだが?

『かっわいいでしょー。愛らしいでしょう。抱きしめたくなるでしょう。頬擦りしたくなるでしょう?』

 踊るな。
 普段とのギャップがありすぎて、叩き落したくなる。ハエ叩きないかな?
 触れられる代物ではないのはわかっているが。

 サイはこっちが素だ。。。

 このサイの普段の外面は、神経質そうな雰囲気を醸し出している。研究者に良くありがちな感じの冷たさも身に纏っている。
 公爵家の跡継ぎに群がって来る人間関係が煩わしいので、演技しているようだ。

 幼い頃は、剣がもう振れないよー、と顔を赤くして涙目で訴えるくらい可愛い子だったのに。
 どこに消えたのだろう、あの純真無垢な子供は。
 どうしてこう育ってしまったのだろう。

『えー、今でも、私は可愛いでしょー?』

 くねくねダンス。
 鬱陶しくなって、つい手で払う動作をしてしまった。
 そこには何もないが。

 おおっと、何も知らない人たちが大勢周囲にいた。
 マーガレットまで怪訝そうな目で俺を見てる。キミの兄のせいなのだが。

「オルレア様?」

「お嬢さん、お気遣いの言葉は嬉しい。でも、これから説明があると思うけど、身動きのできる服装の方が良いと思ってね。ここにいる間は誰に何と言われようと学校と同じ格好をするよ」

 そう、王族だろうと何だろうと誰に説得されても、絶対に男の格好を貫くよ。
 ドレスなんて断固拒否。

「そうね、王城といえども万が一のことはあるわ。貴方が慣れないドレスの裾を踏んだりしたら、みっともなくて見れたものじゃなくってよ。慌てて逃げ惑う姿は見苦しいわよねっ」

『超訳:王城は詳しい方だから、一緒に逃げましょう』

 え?どこをどうしたらそんな言葉になるの?

『マーガレット超訳辞典、いる?今なら無料の上、マーガレット誤爆辞典もつけよう』

 いらない。
 誤爆辞典はほんの少し興味をそそられるけど。

 踊る小さなサイの言葉は俺しか聞こえてません。
 変な魔法を作るな。
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