格安アパートに入居したら、俺様ざ～こ♡系インキュバスの食料になりました。

第一話 ２LDK家賃三万インキュバス付き

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　ドアを開けると、中はまあまあ広い空間が広がっていた。

　入ってすぐにキッチンがあり、IHコンロが二つ。見るからに多機能そうな電子レンジに、パン以外に魚も焼けそうなオーブントースター。格安賃貸でこれはかなり当たりの部類だろう。シンクの周りが水でびちゃびちゃなのは少し気になるが……。

　キッチンのすぐ隣には、二人用のテーブルと椅子。真ん中にはポットが置かれている。部屋の奥には、いかにもお値段以上を謳う家具屋さんで売っていそうな二人掛けソファーとテレビ、横の床にはゲーム機とコントローラーが置かれている。

　壁には扉が四つあって、どれも閉まっているが、手前側の洗濯機の左右にあるのがトイレと風呂場、奥の二つが寝室だろう。






　しかし、このアパートに入っての第一印象は『結構いい部屋じゃん』ではない。それよりも、目の前にいる男の姿に目を引き付けられた。




　僕と同じくらいの年齢だろうか？　少し背が低くて筋肉質な男だ。体躯を見せつけるかのように、黒いぴっちりとしたへそ出しのタンクトップを着て、下はホットパンツを履いている。なんだその破廉恥な恰好は！

　短く切りそろえられたシルバーブロンドの髪の毛に、アレキサンドライトを彷彿とさせる、少し赤の混じった青い三白眼。特殊メイクだろうか、エルフのような細長い耳にピアスをこれでもかと言うほど開けている。首にはピアスと世界観の合う、黒い、鎖付きのチョーカーをつけている。


　靴箱の上に偉そうに頬杖をついていた彼の瞳が僕を捉え、薄い唇を吊り上げた。


「待ってたぜ、ニンゲン。精液寄越せ」