格安アパートに入居したら、俺様ざ~こ♡系インキュバスの食料になりました。

泥人形

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第七話 向き合わなきゃいけないもの

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「アイツは、俺様の一番最初のルームメイトだった」


 家に帰ると、ルカは鉛を吐き出すようにつぶやいた。いつもの生意気な面構えとは違い、その表情は重く沈んでいる。


「ひでぇ奴だったよ。思い出したくもない、地獄みてぇな一年間だった。奴がムショにぶち込まれて、共同生活は終わった」

 彼は詳細には語らなかったけれど、男と対面したときの怯えようを見て、何をされたのかをなんとなく察してしまった。俯いて、ただルカの言葉に耳を傾けた。

 大変だったねも、辛かったねも違うなと思った。彼を可哀そうだと、単純にカテゴライズしてしまいたくない。だから、かける言葉が見つからなかった。ただ、昔の彼のことを思うと胸がぎゅっと苦しくなった。




「なぁ、悠斗。去り際、アイツはお前に耳打ちしたよな? なんて言ってた? どうせ碌なことじゃねーんだろうけど」
 ルカは自嘲気味に笑う。そうしていないと、壊れてしまいそうで。

「ひどいことを言ってたよ。でも、君に聞かせる必要のない戯言だから」
「そっか」
 そう零す彼の唇は、少し震えていた。


 だから、僕は、ルカをそっと抱き寄せた。彼のチョーカーにつけられた鎖が、固い金属音を奏でる。

「大丈夫。僕は、アイツとは違う。君のこと、絶対に傷つけない。守る……絶対に」

 腕の中で、暖かなぬくもりが小刻みに震えている。絶対に、大切な君を守るから。誰にも、傷つけたり奪わせない。心の中に静かに炎をともすように、この決意が固まっていくのを感じた。
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