格安アパートに入居したら、俺様ざ～こ♡系インキュバスの食料になりました。

第八話 実家は地獄だ

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　久しぶりに乗る新幹線は、なんだか懐かしい匂いがした。乗車してすぐに、ルカは熟睡してしまった。

　窓の外を見ていると、どんどん建物がまばらになっていき、遠くに山が見えるようになった。そうすると、地元が近づいてきたなぁと実感する。山と畑の風景を抜けてふたたびビルが見えるようになると、列車は停車した。




「ルカ、起きて」
　軽く肩を叩いて声をかける。

「プリンもう食べられにゃいむにゃむにゃ。んぁ……？」
　何度か揺すった頃、ようやく彼は目を覚ました。ルカは眠気まなこを擦って眠そうだ。手を繋いで、新幹線を降りた。








　駅を出た。実家までは歩いて向かう。最後に帰ったのはもう何か月も前だが、不思議と道に迷わなかった。一歩一歩と実家に近づくたびに、足だけぬるま湯に浸かっているような心地よさと、同時に得体のしれない気持ち悪さを感じる。





　家に着くと、実家を出るとき二台あった車は一台に減っていた。そういえば、父さんが脳梗塞になって仕事を辞めてから売ったって言ってたっけ。それ以外は、去年と同じ……いや、僕が小学生から高校生まで住み親しんだ我が家そのものだった。

　玄関チャイムを押すと、しばらくして母さんの声が聞こえた。