バリタチ人狼ゲーム

泥人形

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二日目

二日目:生贄投票⑫

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 僕は、両足が絡まって盛大に転んだ。

「黒崎さん、大丈夫ですか!?」
「何やってんすか」

 二階堂と宇佐霧が、心配そうに僕を覗き込んだ。





 僕は、気づいてしまった。けれど、それを絶対に、誰にも悟られてはいけない。とくに屑山には。だって、彼は……。とにかく、僕はこの情報を死守しなければならない。これは、僕の切り札だ。









『じゃあ今日の生贄投票も終わったことだし、さっさと生き恥の椅子に座れよな、このおもらし』
「おもらしって言うなぁああああ!!!!」

 猫多は叫ぶと、すたすたと、生贄の間に向かって真っすぐ歩いていく。


『お、昨日のツインテールと違って物わかりいいじゃん』
 うさ耳ピエロマスクが、頭のうしろで手を組んでゲーミングチェアに体を預けた。猫多は、

「まだ、俺が死ぬと完全に確定したわけじゃない。ちんこ切り落とされたくねぇからな。女になっちまう」
 と言って、生贄の間のドアを開けた。

「いや、男がちんこ切り落としても女にはなんないでしょ……」
 呆れる屑山。





 猫多は、生贄の間に足を踏み入れ……踏み入れなかった。しばらく、ドアの開かれた前で静止した。

「猫多、どうしたあるカ?」
「さあ」
「死んだんじゃないっすか?」

 僕たちが好き勝手言っていると、こっちを振り返った。鬼の形相で。


「いいかテメェら!!! 俺が今晩死んだら、絶対にバリタチは屑山だからな!!! 明日絶対に屑山に票を入れろよ!!!! 俺は今晩死ぬけど、必ずテメェの化けの皮を剥いで、テメェを必ず道連れにしてやるからな!!! 覚えてろよ屑山ァア!!!!!」

 そう叫ぶと、生贄の間に入り、大きな音を立ててドアを閉めた。





 そして、皮肉にも、翌朝彼が言った通りになってしまったのである。
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