バリタチ人狼ゲーム

三日目

三日目：昼⑦

　あれ……？　おかしいな。僕が何か違和感を感じ、その正体を探ろうと首をひねったとき

「あ、おい！　お前何でそんなに平然としてるんっすか！？」
　宇佐霧が、大広間から出て行こうとする鳥頭を引き止めた。

　心底めんどくさそうに、鳥頭が振り返る。ツインテールの付け根をボリボリと掻きながら、
「何が？」
「いや……、だって……、人が死んでるんすよ！？」



　あ、そうだ。僕がさっき感じた違和感はこれだった。鳥頭は一日目、生贄の間に拘束される直前、泣き叫んで抵抗した。もっと言えば、ゲームが始まってすぐに林（太った丸刈りの男）がゲームに参加せず殺されたとき、一番動揺して取り乱していたのはコイツだったじゃないか……！

　それなのに、朝起きて部屋から出たときに真っ先に見る、散らばった猫多の腸と血液を見て悲鳴を上げないのはおかしいし、ここ……大広間に来て猫多の死体を見ても何も反応しないで平然としているのはおかしい。

　
　ここから考えられることは、『鳥頭は自分の身の安全を確保した』ということ！　つまり、狩人と繋がっている……！
　


「あ～？　だから何？」
　どろりとした黒い目で、鳥頭は僕と宇佐霧を見つめた。人間とは思えない、まるで爬虫類のような目だ。

「うちが死なんなら、他のやつらはどうなってもいいじゃけぇのお」
　くつくつと笑うと、彼はおそらく食堂へと歩いて行った。




「な、なんて薄情な奴なんだ……」
　軽蔑の表情で宇佐霧は呟いた。

「そういうゲームだ。仕方ない」
　彼も、鳥頭を見下してはいるが、いざとなったら僕を殺すのだろう。

　命がかかっているのだから当然だ。立場が逆なら、きっと僕もそうする。