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三日目
三日目:昼⑬
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僕と宇佐霧は、共用トイレの壁にぴったりと耳をつけて、中の様子を伺った。
かすかに、中から二人の話し声がする。何を話しているのか内容までは聞き取れないが、しばらく耳を澄ませて聞いていると耳が慣れてきて、そこそこ鮮明に聞き取れるようになった。
「要件は終わりか? んじゃ、とっととどっか行けや。キメェんだよ」
「やだね。君、もしかして筆川と繋がってるんじゃないかい?」
「だったらどうするンだ?」
さっきまで、屑山はりんちゃんに何かを話していたようだ。要件? 何かの要求か? 取引か?
「今夜、投票で黒崎を吊る。君は、愛しの彼を思う存分襲ったらいい」
「キメェ……。だいたい何で誠一郎がバリネコで俺がバリタチだって決まってんだよ。全部テメェの妄想だろ」
「いいや。君がバリタチで、黒崎がバリネコだ。状況的に考えて、それは間違いない」
やはり、屑山は僕を生贄にしようと画策している……! ここでりんちゃんにそれを言うってことは、よっぽど自信があるのだろう。
林のスマホを持っているのは佐藤だ。そして、屑山と佐藤は繋がっている。つまり、投票先はこうなるのだ。
佐藤→僕
屑山→僕
林(佐藤が所持)→僕
まず間違いなく、僕に三票が入る。鳥頭と筆川は、どちらも自分が生き残ることが最優先という思想だ。屑山陣営が僕に三票入れると言ったら、おそらく僕に票を入れるだろう。
僕は今夜の生贄投票で、確実に最多票を獲得する。それは、変えられようのない未来だ。ならば、今僕がすべきことは……。
「あっ、ちょっと黒崎さん」
共用トイレの前から去ろうとした僕を、宇佐霧が引き留めた。
その声に、中にいた屑山とりんちゃんが気付いた。
「立ち聞きしてるとは、趣味が悪いね」
屑山が、僕らのほうに向かってゆっくりと歩いて来る。
「いやぁ、俺たち、さっき来たばっかりで……。何の話してたんっすか?」
白々しくとぼける宇佐霧に対してりんちゃんが、
「コイツが、俺のチンポが見たいって聞かなくってなァ」
下品に笑って見せた。
屑山は、ピクリとこめかみを引きつらせる。
「君がチンポを見せたいのは、俺じゃなくてここにいるバリネコくんだろ?」
僕を親指で指さした。
「っ……!」
いつのまにか距離を詰めて、僕の前に屑山が立っていた。そして、顔を耳元に近づける。
「これから毎晩、あの椅子に座らせてやるよ。筆川の気が変わらなきゃ、死ぬ前に愛しのダーリンとヤりまくれるぜ。よかったなぁ」
耳に毒を注ぎこまれている感覚だった。僕は体が芯から冷たくなっていくのを感じた。
屑山にとって、僕がバリネコか否かなんてことはどうでもよかったんだ。彼は、僕が殺されるまで、僕に投票するのをやめないだろう。
かすかに、中から二人の話し声がする。何を話しているのか内容までは聞き取れないが、しばらく耳を澄ませて聞いていると耳が慣れてきて、そこそこ鮮明に聞き取れるようになった。
「要件は終わりか? んじゃ、とっととどっか行けや。キメェんだよ」
「やだね。君、もしかして筆川と繋がってるんじゃないかい?」
「だったらどうするンだ?」
さっきまで、屑山はりんちゃんに何かを話していたようだ。要件? 何かの要求か? 取引か?
「今夜、投票で黒崎を吊る。君は、愛しの彼を思う存分襲ったらいい」
「キメェ……。だいたい何で誠一郎がバリネコで俺がバリタチだって決まってんだよ。全部テメェの妄想だろ」
「いいや。君がバリタチで、黒崎がバリネコだ。状況的に考えて、それは間違いない」
やはり、屑山は僕を生贄にしようと画策している……! ここでりんちゃんにそれを言うってことは、よっぽど自信があるのだろう。
林のスマホを持っているのは佐藤だ。そして、屑山と佐藤は繋がっている。つまり、投票先はこうなるのだ。
佐藤→僕
屑山→僕
林(佐藤が所持)→僕
まず間違いなく、僕に三票が入る。鳥頭と筆川は、どちらも自分が生き残ることが最優先という思想だ。屑山陣営が僕に三票入れると言ったら、おそらく僕に票を入れるだろう。
僕は今夜の生贄投票で、確実に最多票を獲得する。それは、変えられようのない未来だ。ならば、今僕がすべきことは……。
「あっ、ちょっと黒崎さん」
共用トイレの前から去ろうとした僕を、宇佐霧が引き留めた。
その声に、中にいた屑山とりんちゃんが気付いた。
「立ち聞きしてるとは、趣味が悪いね」
屑山が、僕らのほうに向かってゆっくりと歩いて来る。
「いやぁ、俺たち、さっき来たばっかりで……。何の話してたんっすか?」
白々しくとぼける宇佐霧に対してりんちゃんが、
「コイツが、俺のチンポが見たいって聞かなくってなァ」
下品に笑って見せた。
屑山は、ピクリとこめかみを引きつらせる。
「君がチンポを見せたいのは、俺じゃなくてここにいるバリネコくんだろ?」
僕を親指で指さした。
「っ……!」
いつのまにか距離を詰めて、僕の前に屑山が立っていた。そして、顔を耳元に近づける。
「これから毎晩、あの椅子に座らせてやるよ。筆川の気が変わらなきゃ、死ぬ前に愛しのダーリンとヤりまくれるぜ。よかったなぁ」
耳に毒を注ぎこまれている感覚だった。僕は体が芯から冷たくなっていくのを感じた。
屑山にとって、僕がバリネコか否かなんてことはどうでもよかったんだ。彼は、僕が殺されるまで、僕に投票するのをやめないだろう。
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