バリタチ人狼ゲーム

泥人形

文字の大きさ
144 / 181
三日目

三日目:生贄投票③

しおりを挟む
 ~第三回 生贄投票 結果発表~

 第一位 黒崎 誠一郎…… 票
 第二位 屑山 実…………一票




「あは。満場一致みたいだね」
 両手を広げながら、屑山が僕に向かって近づいて来る。そして耳元でささやく。

「無駄な努力、ご苦労様」

 僕は、彼の漆黒の満月のような瞳を睨みつける。
「屑山、覚えてろよ……!」
「いいねぇ。その顔! やっと人間らしくなってきたよ」




 僕は、上着を脱いだ。床に畳んで置いて立ち上がり、ズボンのポケットからカッターナイフを取り出すと、

「おい! バリタチ! この中にいるんだろ!? 今夜、お前が僕を襲うなら、僕も全力で抵抗する。絶対に、お前の体を切りつけて、お前がバリタチだってことをみんなに証明してやるからな……!」

 みんな、一様に僕を見て動揺しているようだった。威嚇はした。だが、これだけでは不十分だ。僕が確実に生き残るためには。

 僕が生き残れるためには、『運』の要素が不可欠なんだ。こればっかりは、普段の行いを信じるしかない。

 ああ、神様――! どうか……どうか……! 僕は思わず、カッターナイフを持った両手を、握りしめていた。どうして人間ってのは、命がかかった場面になるといきなり神を信仰するようになるんだろう?




「僕は今夜、死ぬかもしれない。だからさいごに、一つだけわがまま、いいかな?」
 
 そう言って、僕はりんちゃんの元へと歩いていく。彼は、何も言わずに黙って僕を見つめていた。

 ゆっくりと、僕とりんちゃんの距離は縮まっていく。みんな、誰も何も言わずに僕たちをただ見ていた。

 僕らはゼロ距離になって、お互い見つめあう。僕はりんちゃんの頬に右手を回した。

「りんちゃん、口開けて」
「あ゛?」

 僕は、彼にキスをした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...