バリタチ人狼ゲーム

四日目

四日目：朝⑥

「しねッ！　バカッ！　しねッ！」
「ご、ごめんって……」

　りんちゃんは、胸を両手で押さえて顔を真っ赤にしていた。この文章だけ見ると美少女キャラみたいだが、彼はれっきとした成人男性であり、金髪で両耳にピアスをバチバチに開けた元ヤンである。



「起こすんなら、もっとマシな起こし方しやがれ」
　ああ、怒ってるポイントはそこだったんだ。

「いや、そうじゃなくて……お恥ずかしながら、その……だいぶ溜まっておりまして……」
「はぁああ！！？」

　そんなに害獣みたいな顔で僕を見ないでよ……。君にだって性欲はあるだろ。


「キメェ」
　りんちゃんは、そう吐き捨ててぷいとそっぽを向く。ごめん、反省しております。

「俺は、テメェのそういうとこが、ずっと嫌だったんだよ……」

　え……？　それって、もしかして……。

「あの日、喧嘩して、君が出て行ったとき……」
「ああ！　そォだよ！！」

　りんちゃんは、僕を睨みつけた。

「そっか……、なら、よかった。てっきり、君は僕のことが嫌いになって出て行ったんだと……、そう思っていたよ」

　視界が歪んだ。ああ、僕は今、泣いているんだ。りんちゃんの少し不安そうに僕を見つめる顔が、涙で滲む。