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71話 暗闇
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8月26日 1032 善通寺駐屯地 体育館横
体育館では
惨劇が起き、濃密な血の匂いが
こちらにも伝わってきている
ようだった。
現実に頭を殴られたような気分だ。
吐き気を催しながらも
アドレナリンがそれを
無理矢理押さえつけているのを
感じていた。
心臓がバクバクと激しい音を
たてているが不思議と
頭の中は冷静だった。
紀伊三尉の
言っていた事は正解だった。
もし私も体育館に
いればそのまま
殺されていただろう。
国際法や国際世論など
彼らには関係ない。
独立を守れなかった以上
それがどんなに暴挙であろうと
止めるものはいないだろう。
我々は銃を捨ててはいけない、
それを痛感した。
頬に小さな水滴が落ちた。
曇り空だった空模様は
いつの間にか雨へと
変わっていた。
先ほどの暴挙から
見つかれば死ぬ事を悟り
私は急いで下水道へと
向かった。
巡回している敵に
見つからない様に
慎重に身を隠しながら
遠回りをして進まなければ
ならない。
武器はなく見つかれば
終わりだろう。
夏の熱気で小雨はやがて
霧へと変わり
逃げる私の姿を覆い隠した。
やがて一つの建物が
見えてくる。
四方をフェンスに
囲まれ通常の自衛隊の生活で
あれば一緒に入る事はないであろう
建物の中に入っていく。
鍵は開いており
中には霞2曹と紀伊3尉の
姿が窺えた。
8月26日 1045 善通寺駐屯地 下水管理施設。
私は建物に入りドアに静かに鍵をかける。
「来たか、もう一分遅れてたら
先にいってたぞ」
霞2曹が私の方を見ていった。
みれば、私達3人しかいない
他の小隊のメンバーは結局連れ出せなかった
のだろう。
私はその事を問いかけなかった。
いや、問いかける事はできなかった。
霞2曹はうなだれていた。
「霞、お前は見たのか?
体育館のあれを?」
霞2曹は何を言うでもなく
静かに頷いた。
私も次の言葉を繋げる事はできなかった。
「時間がありません
すぐに脱出しましょう」
紀伊3尉が奥の扉を
開けて前進を促す。
そう、話している暇も
休んでいる暇もないのだ。
我々はまだ事の渦中にいるのだから。
扉の奥には地下への階段があり
人一人が通れるほどの
トンネルがあり
下水が流れていた。
ヒドイ匂いで
思わず顔をしかめる。
紀伊3尉がポケットから
ライトを取り出す。
「雨が降っているので
増水する可能性があります
手頃な所でマンホールから出て
その後は山に一旦身を隠します」
紀伊3尉は静かにそう告げると
トンネルの先頭をきって
歩いていく。
それに私達も続く。
先程まで自分達のいた場所は
闇へと消えていく。
18歳の時から駐屯地で勤務した。
様々な思い出があった。
もしかしたらもう二度と
戻る事はないかもしれない。
私は少しだけ闇を振り返り
「さよなら」と心の中で
呟いた。
体育館では
惨劇が起き、濃密な血の匂いが
こちらにも伝わってきている
ようだった。
現実に頭を殴られたような気分だ。
吐き気を催しながらも
アドレナリンがそれを
無理矢理押さえつけているのを
感じていた。
心臓がバクバクと激しい音を
たてているが不思議と
頭の中は冷静だった。
紀伊三尉の
言っていた事は正解だった。
もし私も体育館に
いればそのまま
殺されていただろう。
国際法や国際世論など
彼らには関係ない。
独立を守れなかった以上
それがどんなに暴挙であろうと
止めるものはいないだろう。
我々は銃を捨ててはいけない、
それを痛感した。
頬に小さな水滴が落ちた。
曇り空だった空模様は
いつの間にか雨へと
変わっていた。
先ほどの暴挙から
見つかれば死ぬ事を悟り
私は急いで下水道へと
向かった。
巡回している敵に
見つからない様に
慎重に身を隠しながら
遠回りをして進まなければ
ならない。
武器はなく見つかれば
終わりだろう。
夏の熱気で小雨はやがて
霧へと変わり
逃げる私の姿を覆い隠した。
やがて一つの建物が
見えてくる。
四方をフェンスに
囲まれ通常の自衛隊の生活で
あれば一緒に入る事はないであろう
建物の中に入っていく。
鍵は開いており
中には霞2曹と紀伊3尉の
姿が窺えた。
8月26日 1045 善通寺駐屯地 下水管理施設。
私は建物に入りドアに静かに鍵をかける。
「来たか、もう一分遅れてたら
先にいってたぞ」
霞2曹が私の方を見ていった。
みれば、私達3人しかいない
他の小隊のメンバーは結局連れ出せなかった
のだろう。
私はその事を問いかけなかった。
いや、問いかける事はできなかった。
霞2曹はうなだれていた。
「霞、お前は見たのか?
体育館のあれを?」
霞2曹は何を言うでもなく
静かに頷いた。
私も次の言葉を繋げる事はできなかった。
「時間がありません
すぐに脱出しましょう」
紀伊3尉が奥の扉を
開けて前進を促す。
そう、話している暇も
休んでいる暇もないのだ。
我々はまだ事の渦中にいるのだから。
扉の奥には地下への階段があり
人一人が通れるほどの
トンネルがあり
下水が流れていた。
ヒドイ匂いで
思わず顔をしかめる。
紀伊3尉がポケットから
ライトを取り出す。
「雨が降っているので
増水する可能性があります
手頃な所でマンホールから出て
その後は山に一旦身を隠します」
紀伊3尉は静かにそう告げると
トンネルの先頭をきって
歩いていく。
それに私達も続く。
先程まで自分達のいた場所は
闇へと消えていく。
18歳の時から駐屯地で勤務した。
様々な思い出があった。
もしかしたらもう二度と
戻る事はないかもしれない。
私は少しだけ闇を振り返り
「さよなら」と心の中で
呟いた。
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