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90話 囮
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9月2日 0300 山中
我々は道中をひたすらに
進んだ。
雨と風が弱まりドローンの
動きを妨げる事は
なくなっていた。
中国兵とロボットウルフが
先程からその姿で我々を
確実にとらえる様に
なっていた。
我々を探し出そうとする包囲網は、
確実に狭まっていた。
夜陰に紛れ木の陰に
隠れながら我々は
国境へと着実に
近づいている。
紀伊3尉を失った事での
精神的損失は大きかった。
何時間も
敵から隠れつつ
山中を歩き続けた為、
全員の疲労は
ピークに達しようと
していた。
国境線の近くには
中国兵が歩哨に立っていた。
数は8人程だが
今の人数では安全に突破は難しい。
もし、紀伊3尉の遺体が見つかれば
我々が国境線を突破しようと
している事は明白だ。
銃声も向こうには気づかれて
いる事だろう。
時間が経てばもっと
中国兵は増える可能性があった。
「佐藤さん、アンタあの歩哨
何とかできないのか?」
霞2曹が言った。
「完全に警戒態勢のあの人数を
相手にするのはリスクが高すぎる
女子供を連れているしな」
ここにきて家族の存在が
重くのしかかっていた。
しかし、だからと言って
突破しなければならない。
道はなかった。
もし突破できなければ
敵に隠れながら
山中を彷徨う事になる
それでも我々は耐えられるかもしれない。
だが家族は
持たないだろう。
兵士達をかいくぐり
家族達を安全に国境線を
突破させる方法。
簡単ではない。
だとしたらどうするのか?
私は小銃をグッと握り締める。
そして皆の前に一歩踏み出した。
「俺が囮になる。
ここで決断しなければ、全員死ぬ」
もっとも最初に反応したのは
霞2曹だった。
「おい、長門!!
皆で国境を超えるんだろ?
最後の最後になって何言ってんだ!!!」
私は霞2曹の言葉に
首を横に振った。
「時間が経てば状況は悪くなるだろう。
なら、私が敵を引き付けるのが
一番効率的だ。」
「霞はレンジャー隊員で私よりも強い。
佐藤さんは素性が分からないが明らかに
私よりも判断能力も身体能力も優れている。」
「もし、家族と共に国境線を超える事が
できる可能性が高いとしたら
私が囮になり二人が家族を連れて
国境線を突破する事が一番いい」
「証言者は一人でいい
霞が生きて東京に辿りつけば
それで事態は変わる」
「そんな考え自体が馬鹿な事だと
わかんねえのか!!!」
霞2曹は納得しかねている様子で
拳を握り私の顔を思いっきり
殴った。
「もう、同僚が死ぬのを見るのはご免だ!!
いいか!!俺達なら何とかできる!!」
私は地面に倒れ込む。
精神論で何とかできる状況ではない事は
自明の理なのに感情がそれを受け付けない。
佐藤が私と霞2曹の間に割って入った。
「やめろ、長門さんの案でいこう。
現実的だ。生存率が跳ね上がる」
佐藤が静かにそういった。
我々は道中をひたすらに
進んだ。
雨と風が弱まりドローンの
動きを妨げる事は
なくなっていた。
中国兵とロボットウルフが
先程からその姿で我々を
確実にとらえる様に
なっていた。
我々を探し出そうとする包囲網は、
確実に狭まっていた。
夜陰に紛れ木の陰に
隠れながら我々は
国境へと着実に
近づいている。
紀伊3尉を失った事での
精神的損失は大きかった。
何時間も
敵から隠れつつ
山中を歩き続けた為、
全員の疲労は
ピークに達しようと
していた。
国境線の近くには
中国兵が歩哨に立っていた。
数は8人程だが
今の人数では安全に突破は難しい。
もし、紀伊3尉の遺体が見つかれば
我々が国境線を突破しようと
している事は明白だ。
銃声も向こうには気づかれて
いる事だろう。
時間が経てばもっと
中国兵は増える可能性があった。
「佐藤さん、アンタあの歩哨
何とかできないのか?」
霞2曹が言った。
「完全に警戒態勢のあの人数を
相手にするのはリスクが高すぎる
女子供を連れているしな」
ここにきて家族の存在が
重くのしかかっていた。
しかし、だからと言って
突破しなければならない。
道はなかった。
もし突破できなければ
敵に隠れながら
山中を彷徨う事になる
それでも我々は耐えられるかもしれない。
だが家族は
持たないだろう。
兵士達をかいくぐり
家族達を安全に国境線を
突破させる方法。
簡単ではない。
だとしたらどうするのか?
私は小銃をグッと握り締める。
そして皆の前に一歩踏み出した。
「俺が囮になる。
ここで決断しなければ、全員死ぬ」
もっとも最初に反応したのは
霞2曹だった。
「おい、長門!!
皆で国境を超えるんだろ?
最後の最後になって何言ってんだ!!!」
私は霞2曹の言葉に
首を横に振った。
「時間が経てば状況は悪くなるだろう。
なら、私が敵を引き付けるのが
一番効率的だ。」
「霞はレンジャー隊員で私よりも強い。
佐藤さんは素性が分からないが明らかに
私よりも判断能力も身体能力も優れている。」
「もし、家族と共に国境線を超える事が
できる可能性が高いとしたら
私が囮になり二人が家族を連れて
国境線を突破する事が一番いい」
「証言者は一人でいい
霞が生きて東京に辿りつけば
それで事態は変わる」
「そんな考え自体が馬鹿な事だと
わかんねえのか!!!」
霞2曹は納得しかねている様子で
拳を握り私の顔を思いっきり
殴った。
「もう、同僚が死ぬのを見るのはご免だ!!
いいか!!俺達なら何とかできる!!」
私は地面に倒れ込む。
精神論で何とかできる状況ではない事は
自明の理なのに感情がそれを受け付けない。
佐藤が私と霞2曹の間に割って入った。
「やめろ、長門さんの案でいこう。
現実的だ。生存率が跳ね上がる」
佐藤が静かにそういった。
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