【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~

永倉伊織

文字の大きさ
243 / 661
第8章 空へ

閑話 ポチ

side:ポチ


俺の名前は

ポメラニーオ・ダニーラッセル・チワーワ・モノセロス

獣人国の犬耳獣人族

ドーベルニーオ・ダニーホワイト・モノセロス男爵の5男

皆は俺の事をポチと呼ぶ


幼い頃は『ポチ』が可愛い名前だって言われて嬉しかった記憶があるが、成長するにしたがって名前に可愛らしさは要らないと気付いた。

既に手後れだけどな(悲)

俺の名前はポチで定着してしまって本名を知らない奴の方が多いからだ。


モノセロス男爵家は

貴族なんて名ばかりのよくいる田舎の貧乏貴族、まあ獣人国そのものが貧乏だから嘆いても仕方ない


仕事も領民と一緒に畑を耕し森で狩りをしてその日の糧を得るのが精一杯の暮らしをしている

そんな貧乏貴族の5男なんて悲惨なもので、こんな田舎に嫁ぎに来る貴族の女性が皆無なのは当然として、日々の生活だって行商人の方が良い暮らしをしているだろう。

田舎の貧乏貴族とはいえ貴族としての体裁を整える為に、あらゆる物を節約してそれなりの格好をしなければいけないからだ。

そんな暮らしをしているので兄や姉達の多くは既に家を出ている。今頃は何処かの商家で下働きをしたり冒険者として働いているはずだ。


はっきり言って獣人国の貴族はどこも没落寸前、それは同時に国が消滅する危機でもあるが、いっその事他国に侵略して貰い植民地なりなんなりにしてくれた方が暮らしは楽になるかもしれない

それぐらい獣人国の現状は厳しい

そんな暗い未来しか無さそうな獣人国に居るより、俺は他国に行ってただのポチとして立身出世してみせる!

俺が出て行く事で食い扶持が減れば、弟や妹達も少しは、、、本当に少しだけど暮らしが楽になるだろう。

その事を親父に言ったら、その日のうちに保存食のカッチカチパンを渡されて送り出されてしまった。

いや、あの、父さん、もうちょっと準備期間が欲しいんだけど、、、

あぁ~、畑の収穫前で1番苦しい時期だから、弟や妹達が空腹を我慢するのも限界なんだね

え?

仕送りは要らないから1人で立派に生きていけ?あっ、はい、父さん、母さん、弟に妹もみんな達者で、行って参ります!



◇     ◇     ◇



side:ダックスニーオ・ブルーム・モノセロス


獣人国の王都を出発して数日、俺は隣を歩く妹のコリーに声をかける



「コリー疲れていないか?」

「問題無いわダックス兄さん、それよりキャラバンシティに獣人でも出来る仕事あるかしら?」

「分からないけど、噂じゃ仕事を求めて色んな所から人が集まってるらしい、人が集まるって事はそれなりに仕事もあるんじゃないか?」

「それって人族だからじゃないの?獣人は身体能力は高いけどお世辞にも頭が良いなんて言えないから」

「まぁな、しかし獣人でも出来る力仕事のひとつくらいはあるだろ」


俺とコリーは仕事を求めてバルゴ王国のキャラバンシティを目指している

聞いた噂によると現在のキャラバンシティには、他国の商人や冒険者が仕事を求めて集まっているらしい

なんでも最近街の拡張工事をしたらしく色々と人手不足なのだとか。街の拡張工事なんてそうそうある事ではないけど

本当に拡張工事をしたのなら新しい住人の為の住居を作る職人や、資材を運ぶ人足等、そういう人達が食事をする場所だって新しく必要だろう。

そうすると必然的に雑用だって多くなるから獣人でも出来る事があるはずだ。

そんな事を考えていると前方に立派な石壁が見えて来た。


「あそこに見えるのキャラバンシティに入る為の列じゃないか?」

「そうみたいね、、、ってダックス兄さん!あそこの列に並んでる犬耳ってポチじゃない?」

「ちょっと待てコリー、ポチはまだ13歳だろ、いくらなんでも家を出るには早過ぎるよ」

「じゃあ呼んでみれば分かるわ、おーいポチー!」


◇     ◇     ◇


side:ポチ


ここがバルゴ王国のキャラバンシティか、王都でもないのに立派な石壁だなぁ♪

でも街に入るのに並ばないといけないのは面倒だな、凄く長い列が出来て時間もかかりそうだ。


「おーいポチー!」


あれ?この声って、、、


「コリー姉さん?!それにダックス兄さんも、久しぶりですね2人はどうしてバルゴ王国に?」

「久しぶりポチ、俺とコリーは仕事を求めてだよ、働いていた商家が潰れてしまってな。それよりポチはどうしたんだ、家を出るにしても成人まであと2年あるだろ」

「そうなんですけど、弟や妹達の事を考えれば早い方が良いかと思いまして、まぁその事を父さんに言ったその日に送り出されるとは思いませんでしたけど(笑)」

「ははは、モノセロス家は貧乏なのに親父がどんどん子供を作るからなぁ」


「ダックス兄さんもポチも、ゆっくり話すのは街に入って宿を決めてからにしましょ」




無事に街に入れた俺達3人は大通りを歩きながら宿を探している、それにしても凄い人の数だ。

商人が多いのも驚くけれど武器を持ってる人は冒険者かな?

格好良いなぁ♪


「ポチ!あんまりキョロキョロするなよ、人族の中には目が合っただけで喧嘩を売られたって思う奴がいるらしいぞ」

「えっ?!ダックス兄さん本当ですか?だとしたら人族って凄く野蛮な種族なんじゃ、、、」

「詳しくは分からんがとにかく不用意に目を合わせないようにしろよ」

「はい!」




ズッキューーーーーン♪

「あっ、あの子は・・・」

「ん?おいポチ、キョロキョロするなとは言ったけど一点を見つめるのもやめとけよ」

「ダックス兄さん、あそこ!あそこの犬耳の女の子!」

「犬耳?、、、あぁ、あそこの身なりの良い男が連れてる子か、随分大事にされてるみたいだな。それにダークエルフも連れてるなんて珍しいな、護衛か?」

「ダックス兄さん、俺あの犬耳の女の子に惚れた!」

「ちょっとポチ、惚れたってあの犬耳の子成人までまだ10年以上はあるわよ?!」

「コリー姉さん、俺決めたよ立派な男になってあの子が成人したら迎えに来る!」

「待ちなさいよポチ、言ってる事がめちゃくちゃよ(汗)」



ダックス兄さんとコリー姉さんは凄く驚いてるけど

自分でもどうしてあんな小さな子に惚れたのか分からない、でももう他の女なんか目に入らないんだ

とにかくあの男とあの犬耳の女の子の事を調べないと

確か目の前の立派な建物から出て来たよな、まずはあそこで聞き込みだー!!


◇     ◇     ◇


side:ポチ


キャラバンシティに来てからあっという間に10日が経った。

俺はダックス兄さん、コリー姉さんと共に池田屋商会に見習い配送夫として雇われ働いている。

池田屋商会では人手不足で常に従業員を募集しているのだけど、採用条件は身元がはっきりしていて保証人が居る事と、他はやる気があれば不問

その条件を父さんが解決してくれた、まぁ勝手に保証人にしたんだけど(笑)

男爵家当主が保証人なら文句無しって事であっさり採用されたんだ。

ダックス兄さんもコリー姉さんも最初は勝手に父さんを保証人にする事に反対していたけど、俺がどうしても池田屋商会で働きたいと押しきった。

結果的に採用されたし給金も悪くないから仕送りも出来るだろう。ダックス兄さんもコリー姉さんも今では喜んで働いている。



そしてどうしても池田屋商会で働きたかった理由は

なんと俺が惚れた犬耳の女の子は、池田屋商会の会長が本当の娘のように大切にしている、スミレさんという名前の子だったんだ!

ならば、池田屋商会の会長は将来俺の義父殿になる御方、待ってて下さい義父殿

いずれあなたの娘に相応しい男になって挨拶に参りますから!





俺の名はポチ

惚れた女を幸せにする為

いずれキャラバンシティで1番の配送夫になる男

今はただの見習いだけどな!

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。 そして夢をみた。 日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。 その顔を見て目が覚めた。 なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。 数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。 幼少期、最初はツラい状況が続きます。 作者都合のゆるふわご都合設定です。 日曜日以外、1日1話更新目指してます。 エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。 お楽しみ頂けたら幸いです。 *************** 2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます! 100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!! 2024年9月9日  お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます! 200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!! 2025年1月6日  お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております! ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします! 2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております! こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!! 2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?! なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!! こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。 どうしよう、欲が出て来た? …ショートショートとか書いてみようかな? 2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?! 欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい… 2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?! どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう… 2026年2月12日 お気に入り登録800人達成?!! なんということでしょう!ユーディリア達が愛されてる…!!!

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

寿明結未(ことぶき・あゆみ)
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」