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第2話、カイル・ベイジェッツ公爵
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side:カイル・ベイジェッツ公爵
ふぅ~
ついにマリエールと婚約破棄をしてしまった
彼女の願いとは言え、これで本当に良かったのかは判断に迷う所ではある。
思い返せば15年前、シュヴァイツァー公爵家に女の子が産まれたあの日
ベイジェッツ公爵家、シュヴァイツァー公爵家の両家の間では次に女の子が産まれた時は
互いの家に嫁がせるとの取り決めが成されていた
その時私は10歳、既に婚約者が1人いたのだが、マリエールが私の2人目の妻となる事が決まった瞬間でもあった。
それから10年、マリエールに直接会ったのは2度
それも型通りの挨拶をしただけで、どんな女性かも分からなかったし然程興味も無かった
私は既に1人目の妻と結婚していたし、言い方は悪いが貴族にとって2人目の妻は飾りでしか無い
だから私は公爵家の妻として最低限の役割さえ果たしてくれれば、マリエールには好きにさせるつもりだった
多少の散財や男遊びをしても大きな問題さえ起こさなければそれでも良いと
当時の私はマリエールに対してその程度の認識しか持ち合わせていなかった、5年前のあの時までは、、、
5年前
王国の勇者にして英雄の、ナタリア・ヴァイスハーフェンが歴史にその名を刻んだあの日
マリエールはキラキラした表情で私にこう言った
「わたくしの人生はナタリア様に捧げます♪」
最初は全く意味が、、、
分からなくは無かったな(笑)
絵師にナタリアの肖像画を描かせて部屋に飾りたいという者は
男女問わず大勢居たのだから、だからマリエールもその内の1人だと思った
公爵令嬢として自由な生き方など許されない少女のささやかな楽しみなのだろうと、微笑ましくさえ思った
だが、その考えも直ぐに間違いだと気付く事になった
何故ならその日からマリエールは私に、いかにナタリアが素晴らしいかを話すようになり
自分が陰ながらナタリアを支えなくてはならないと、この世の春が来たかのようにそれはもう嬉しそうに話すのだからな
ナタリアの事を話している時だけは年相応の少女にしか見えないのだが、婚約破棄をしてくれと言われた時には困った
いや、実際には私もベイジェッツ家も困らないのだが
困るのはマリエールでありシュヴァイツァー公爵家だ
マリエールの願いはあくまでも私から婚約破棄をする事だったから
そうなると世間はマリエールに何らかの問題があって、私が婚約破棄をしたと思われる
そうなるとマリエールは傷物扱いされて、結婚相手を探すのは難しくなってしまう
当初は、私と結婚してもナタリアの為に出来る事はあるだろうとマリエールを説得もした
その都度マリエールはキラキラした笑顔でナタリアの素晴らしさについて時間を忘れて語りだすのだ
ときにはひと晩中マリエールの話に付き合ったりもした、いずれナタリアに対する熱も冷めて落ち着くだろうと
だがそれから4年間、ナタリアの功績と人気に比例するかのよう、マリエールの情熱は冷めるどころか激しさを増すばかりだった
ここでようやく私も決心してマリエールの父、デミトリアス・シュヴァイツァー公爵に相談することにした
その結果
私はマリエールの15歳の誕生日に婚約破棄をするに至る
マリエールは既にデミトリアス様を説得済みだったのだ!
どのように説得したのかは分からないが、デミトリアス様から頭を下げられ娘の願い通りに婚約破棄を
と頼まれれば私が断れるはずも無い、マリエール本人も望んでいる事なのだから
婚約破棄をした今だから思う、この5年間私はマリエールと会い話を聞くのが楽しみだったのかもしれないと
まぁ話題のほとんどが、ナタリアがいかに素晴らしい御方かという話だったけれど(笑)
さてさて
元婚約者として、マリエールがこれからどのような人生を歩むのか見守らせて貰おう。
つづく。
ふぅ~
ついにマリエールと婚約破棄をしてしまった
彼女の願いとは言え、これで本当に良かったのかは判断に迷う所ではある。
思い返せば15年前、シュヴァイツァー公爵家に女の子が産まれたあの日
ベイジェッツ公爵家、シュヴァイツァー公爵家の両家の間では次に女の子が産まれた時は
互いの家に嫁がせるとの取り決めが成されていた
その時私は10歳、既に婚約者が1人いたのだが、マリエールが私の2人目の妻となる事が決まった瞬間でもあった。
それから10年、マリエールに直接会ったのは2度
それも型通りの挨拶をしただけで、どんな女性かも分からなかったし然程興味も無かった
私は既に1人目の妻と結婚していたし、言い方は悪いが貴族にとって2人目の妻は飾りでしか無い
だから私は公爵家の妻として最低限の役割さえ果たしてくれれば、マリエールには好きにさせるつもりだった
多少の散財や男遊びをしても大きな問題さえ起こさなければそれでも良いと
当時の私はマリエールに対してその程度の認識しか持ち合わせていなかった、5年前のあの時までは、、、
5年前
王国の勇者にして英雄の、ナタリア・ヴァイスハーフェンが歴史にその名を刻んだあの日
マリエールはキラキラした表情で私にこう言った
「わたくしの人生はナタリア様に捧げます♪」
最初は全く意味が、、、
分からなくは無かったな(笑)
絵師にナタリアの肖像画を描かせて部屋に飾りたいという者は
男女問わず大勢居たのだから、だからマリエールもその内の1人だと思った
公爵令嬢として自由な生き方など許されない少女のささやかな楽しみなのだろうと、微笑ましくさえ思った
だが、その考えも直ぐに間違いだと気付く事になった
何故ならその日からマリエールは私に、いかにナタリアが素晴らしいかを話すようになり
自分が陰ながらナタリアを支えなくてはならないと、この世の春が来たかのようにそれはもう嬉しそうに話すのだからな
ナタリアの事を話している時だけは年相応の少女にしか見えないのだが、婚約破棄をしてくれと言われた時には困った
いや、実際には私もベイジェッツ家も困らないのだが
困るのはマリエールでありシュヴァイツァー公爵家だ
マリエールの願いはあくまでも私から婚約破棄をする事だったから
そうなると世間はマリエールに何らかの問題があって、私が婚約破棄をしたと思われる
そうなるとマリエールは傷物扱いされて、結婚相手を探すのは難しくなってしまう
当初は、私と結婚してもナタリアの為に出来る事はあるだろうとマリエールを説得もした
その都度マリエールはキラキラした笑顔でナタリアの素晴らしさについて時間を忘れて語りだすのだ
ときにはひと晩中マリエールの話に付き合ったりもした、いずれナタリアに対する熱も冷めて落ち着くだろうと
だがそれから4年間、ナタリアの功績と人気に比例するかのよう、マリエールの情熱は冷めるどころか激しさを増すばかりだった
ここでようやく私も決心してマリエールの父、デミトリアス・シュヴァイツァー公爵に相談することにした
その結果
私はマリエールの15歳の誕生日に婚約破棄をするに至る
マリエールは既にデミトリアス様を説得済みだったのだ!
どのように説得したのかは分からないが、デミトリアス様から頭を下げられ娘の願い通りに婚約破棄を
と頼まれれば私が断れるはずも無い、マリエール本人も望んでいる事なのだから
婚約破棄をした今だから思う、この5年間私はマリエールと会い話を聞くのが楽しみだったのかもしれないと
まぁ話題のほとんどが、ナタリアがいかに素晴らしい御方かという話だったけれど(笑)
さてさて
元婚約者として、マリエールがこれからどのような人生を歩むのか見守らせて貰おう。
つづく。
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