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第6章EX 常夏と蒼い海 ─少年のリスタート─

90・4時間目 海の恵み

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「いやー! バレー楽しかったなー! なんか三人でスポーツしたの久しぶりじゃねぇか?」

「確かにそうだね。春に花見に行ったとき、敦志は森山もりやまさんとキャッチボールしたり、フリスピーしたりしてたもんね」

「花見か……。懐かしいな。まだ夏なのに随分と前の出来事のように思えるな」

「だって、そりゃあ、作者が……」

 遼太郎がメタな発言をしようとしたので、俺と裕太は慌ててそれを制した。

 そういや、作者のもち野郎、最近試験勉強とかで執筆時間減ってるからな……。

 オマケに時間が開きすぎて、時系列忘れて中々書けないとか言ってるし……。

 まぁ、アイツには頑張って貰わねぇと。

 俺のメタな考えはさておき、昼ご飯を食べることになり、チケットを買った海の家へと俺たちは足を運んだ。

 そこには、いくつものテラス席が用意されており、ここで食べるご飯は絶対に美味いと俺の勘が言っている。

「わぁ、いい眺めだね。心が落ち着くよ……」

「すごいよな。俺たちさっきまであそこで遊んでたんだな。それがここに来て見るのとじゃ全然雰囲気が違うな」

「早く食べよう! 楽しみ楽しみ! 敦志、何食べる~?」

「んー、そうだなぁ」

 俺はメニュー表を見ながら、考える。

 焼きそばはさっき食べたから、ないとして、たこ焼きや刺身セット、その他にも目を引く食べ物があるが、俺はやっぱり……。

「この海鮮ラーメンセットにしようかな」

 ずっと、メニュー表を見たときからこれは視界にあったのだ。

 それにしても、売り文句とはいえ、【漁師直送の新鮮な魚!】と書いていたら絶対美味いだろって思ってしまう。

 いや、美味いに決まってる。

「あっ、敦志もそれにするんだ。俺もね、海鮮ラーメンセットだね。いや~、絶対美味しいよ!」

「僕はそれに餃子ぎょうざをつけるよ」

「「マジかよ‼」」

 裕太ぁ、それ絶対美味いやつじゃねぇか。

 それ、ちょっとくれや。

 そんな事を思っているうちに、長い行列は俺たちをドンドン前に進ませた。

 そして、俺たちの番になり、それらを注文。

 テラス席で運ばれるのを待っていた。

「海、キレイだなぁ。また、来年来ようぜ」

「もちろんだよ。あ、でも、二人とも大学進学するでしょ? 勉強はしっかりしなきゃね」

「裕太、頼む、勉強見てくれ」

「俺もー!」

「あのねぇ……。そんな笑顔で頼むことじゃないよ……。教えるけど……」

 俺たちはニッコニコの笑顔で裕太に頼んだ。

 ちなみに、俺の笑顔は凶悪な顔をしていたからか、近くを通ったヤンキーみたいなチャラ男に睨まれた。

 なんでだよ。

 心の中で悪態をついていると、ラーメンが到着した。

「美味そう……」

「魚のいい匂い……」

 俺たちは、それから一心不乱に麺をすすった。

 美味すぎる。

 こんなにも魚のいいダシが取れてるなんてな。

 太麺のモチモチとした弾力が箸を止めさせてくれない。

 体にはいつの間にか汗が浮かんでいて、それに気がついたのは食べ終わってからのことだった。

「うまっ……。ごちそうさま」

「餃子もラーメンも美味しかったねー!」

「また食いたいな」

「来年も行こうよ」

「だな。さて、今日は夜通し遊ぶか!」

「明日学校だよ!?」

「んなもんさぼっちまえ!」

 まぁ、それは冗談として。

 本当に楽しい。

 この三人なら、いつだってどんなことがあったって笑いあえるそんな気がした。
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