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第8章 〝幸せ〟の選択 ─さよならの決意─
110・5時間目 笑顔の花
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「あそこに行こうよ!」
小春が指差して、指定した場所は大小様々の魚が優雅に泳ぐ、大きな水槽だった。
ここは、この水族館最大規模の大きさを誇る水槽で、ここで飼育されている様々の魚たちが見られるという。
館内のBGMだろうオルゴールのゆったりとした曲が流れるその場所は誰もが目を引く。
「うわぁ……! キレイ……!」
「小春の方が綺麗だよ」
俺は言い終えてから口を慌てて塞いだが口からでた言葉が戻ってくることはない。
「敦志君、その、恥ずかしいよぉ……」
「敦志がすごいギザなセリフを言ってる……」
「うん、真剣な顔で言ってたからビックリしたよ。ここまでくると尊敬するよ」
遼太郎と裕太になぜか尊敬される。いや、俺も勝手に口からでたんだって。言わなきゃって思ってよ。
「……でも、そんな素敵なことを言ってくれる敦志君のこと、世界一かっこいいと思ってるよ」
「ありがとうな」
俺は、照れすぎてぶっきらぼうに返してしまった。照れ隠しにのんびりと泳いでいるイワシやエイ、サメ、そして誰も彼もの目を引く巨大なクジラを見ていた。
はぁ……、顔が熱い。
BGM以外の静寂に包まれ、水槽からはどこか神秘的な青い光が見える。本当に綺麗だよな。
「あっ」
小春がなにかに気がついたのか声を漏らした。
「ねぇねぇ、敦志君、あのイワシたち、ハートマークを描いていない? こう、こんな感じで」
俺がその声に振り向いたのに気がついて、小春は空に指でハートマークを描きながら、片方の手で指したところを見た。
イワシたちの習性なのだろうか、少しくずれているがハートの形に見えた。
「おー、確かにハートの形に見えるな」
「説明を見たんだけど、『イワシがハートに見えた方はその人と結ばれるでしょう』……! だって! ロマンチック!」
「へぇ……。縁結びのイワシだな。でも、下の方にまだなにか書いてるぞ?」
「ほんとだ! なになに……?『なお、永遠の幸せを手に入れるイワシでもあります』……だって!」
「永遠の幸せ、か。この時間がずっと続いてくれたらいいな」
「うん! 敦志君、大好きっ!」
「うおっ!」
突然、抱きついてきた小春に驚いたが、俺は、今度こそ抱きしめた。
「敦志、森山さん、静かにしようか」
「結構注目浴びてるよ、ここ」
裕太と遼太郎が暗さのせいか結構怖い顔をしていた。
我に返って辺りを見渡すと、周りのお客さんから微笑ましく見つめる目が飛んでいている。
「た、確かにだな。ちょっと抑える」
「うん、迷惑になっちゃったらダメだからね」
それから、優雅に泳ぐ魚たちを二人手を繋ぎながら見つめた。
小春の手をもう二度と、離さないように悲しませないように、強く優しく。
小春が指差して、指定した場所は大小様々の魚が優雅に泳ぐ、大きな水槽だった。
ここは、この水族館最大規模の大きさを誇る水槽で、ここで飼育されている様々の魚たちが見られるという。
館内のBGMだろうオルゴールのゆったりとした曲が流れるその場所は誰もが目を引く。
「うわぁ……! キレイ……!」
「小春の方が綺麗だよ」
俺は言い終えてから口を慌てて塞いだが口からでた言葉が戻ってくることはない。
「敦志君、その、恥ずかしいよぉ……」
「敦志がすごいギザなセリフを言ってる……」
「うん、真剣な顔で言ってたからビックリしたよ。ここまでくると尊敬するよ」
遼太郎と裕太になぜか尊敬される。いや、俺も勝手に口からでたんだって。言わなきゃって思ってよ。
「……でも、そんな素敵なことを言ってくれる敦志君のこと、世界一かっこいいと思ってるよ」
「ありがとうな」
俺は、照れすぎてぶっきらぼうに返してしまった。照れ隠しにのんびりと泳いでいるイワシやエイ、サメ、そして誰も彼もの目を引く巨大なクジラを見ていた。
はぁ……、顔が熱い。
BGM以外の静寂に包まれ、水槽からはどこか神秘的な青い光が見える。本当に綺麗だよな。
「あっ」
小春がなにかに気がついたのか声を漏らした。
「ねぇねぇ、敦志君、あのイワシたち、ハートマークを描いていない? こう、こんな感じで」
俺がその声に振り向いたのに気がついて、小春は空に指でハートマークを描きながら、片方の手で指したところを見た。
イワシたちの習性なのだろうか、少しくずれているがハートの形に見えた。
「おー、確かにハートの形に見えるな」
「説明を見たんだけど、『イワシがハートに見えた方はその人と結ばれるでしょう』……! だって! ロマンチック!」
「へぇ……。縁結びのイワシだな。でも、下の方にまだなにか書いてるぞ?」
「ほんとだ! なになに……?『なお、永遠の幸せを手に入れるイワシでもあります』……だって!」
「永遠の幸せ、か。この時間がずっと続いてくれたらいいな」
「うん! 敦志君、大好きっ!」
「うおっ!」
突然、抱きついてきた小春に驚いたが、俺は、今度こそ抱きしめた。
「敦志、森山さん、静かにしようか」
「結構注目浴びてるよ、ここ」
裕太と遼太郎が暗さのせいか結構怖い顔をしていた。
我に返って辺りを見渡すと、周りのお客さんから微笑ましく見つめる目が飛んでいている。
「た、確かにだな。ちょっと抑える」
「うん、迷惑になっちゃったらダメだからね」
それから、優雅に泳ぐ魚たちを二人手を繋ぎながら見つめた。
小春の手をもう二度と、離さないように悲しませないように、強く優しく。
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