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ディアストリーナ
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俺はこの数ヶ月。
学んで・稼いで、学んで・深い眠りに付き、学んでは実戦でアウトプットした。
「今日まで、へばらずによく頑張って来たな。」
神父が、細長い一振りの箱を投げて来る。
俺は両手で重量を確認して、呪符が貼り付けられていないか十二分に確認してから、布切れで、箱を開けた。
中には十字架を模ったナイフが収められている。
ヘブンズのモノたちで愛用されている短剣だ。
「……ありがとよ。」
「今回の敵は私一人では手に負えない。それに私は女神の加護を受けていないしな。」
「聖職者なのに? 」
「ああ、我らが仕えるべき存在は、創造主ただ一人、それに冒険者は魔族を倒す上で、色々と都合が悪い。」
「つまり、アンタは死んだら生き返らないわけだ。」
「そのためにお前を鍛えた。」
その禍々しい気配が近づくと共に、心拍数が早くなっていく。
身体を落ち着かせるために呼吸を何度も整える。
手が届きそうなほど大きな月
その衛星の陰に重なるように、それはどっしり構えていた。
魔族は、俺のことを見て、少し驚いた素ぶりを見せてから。
ゆっくりと、その重々しい唇を開く。
「アスィールか。久しぶりだな。」
右手と左目は魔族に侵食され、頭にはツノを生やしている。
だが、間違いない。
この男こそ俺の兄弟子のエシールだ。
俺と同じく、王宮に集められ、師匠の『魔法』・ 多元憑依を受け継いだ魔法使い。
「アンタは……本当にエシール兄さんか? もしそうなら。なぜこんなことを。」
「聞かれて答えると思うか? 」
エシール兄さんは、月を背に、悪魔の翼を開いた。
「俺たちはなぁ。使い捨ての駒だったんだよ。だから、自分から魔族に魂を売った。良いぜ、魔王軍は。お前ら人間様みたいに孤児をモルモットにする奴はいなけりゃ。誰にも命令されることもねえ。魔王は寛大なお方だ。これじゃあどっちが悪魔か分かんねえ。」
神父が十字架を構えた。
「その口ぶりじゃ。やはり勇者も、そちら側に? 」
「おりゃ今、兄弟と話してんだ。お前はお呼びじゃねえよバーカ。」
エシール兄さんは、翼を翼を羽ばたかせると、ゆっくり地面に降りて来た。
「で? アスィール。お前は何をしに来た? 」
答えは決まっている。
「……師匠の仇を取りに来た。」
「 多元憑依の伝承者、エシール・アースガルズ師範。お命頂戴致す。」
エシールは、異空間から、斬馬頭を抜き去ると、少しつまらなそうな顔をして来る。
「そういう堅苦しいのはやめにしようぜ。兄弟で殺し合うなんて、おりゃ気が引けるなぁ。せめて今は魔族と人間で……さぁ。」
「だったらッ!! 」
俺は熱くなって、居合で彼を斬りつけようとする。
【 虚気平心】
「っとあぶねえ。」
エシールは、俺の下段水平斬りをバックステップで避けた。
そこへ、神父がすかさずナイフの追撃を行う。
「二対一ってのはちょっと感心できねえな。っと。」
俺の投げナイフも、涼しい顔をして避けやがった。
「今度は俺の番だな!! 」
彼は空中で斬罵倒を、薙ぎ払う。
神父はとっそさにそれを防いだが、対、悪魔用の藍色のロングコートが、衝撃波で破れる。
彼は吹っ飛ばされ、そのまま木の幹へと激突した。
「フォース!! 」
「人のことを気にしている場合ではないぞ。」
神父は両手をパンパン払うと、敵の位置を追いながら、大声で叫んだ。
そうだ。エシールから目を離した瞬間。彼の姿が消えた。
どこだ。
落ち着いて、奴の気を探す。
背後だ。
背後で大きく振りかぶって、俺を一刀両断する気だ。
生前の彼とは戦い方が、まるで違った。
別人と相手をしているみたいな……
【明鏡止水】
俺のオールレンジ水平斬りが、奴のハラワタにクリーヒットする。
彼は錆緑の体液を撒き散らしながら、止まることなく俺に斬りつけてくる。
「流石だな。腐っても俺の弟だということか。」
「キンッ。」
両手に巨大な十字架を抱えた神父が、ガッチリそれを受け止める。
「ヌんッ。」
持ち前の怪力で、それを弾き返した。
両腕でソレをクルクル回すと、俺に忠告する。
「言ったはずだ。常識に囚われるなと。」
神父は、十字架の足をエシールに向けると、装甲をパージする。
中から鈍色に輝く銃口が現れた。
本能的に危険を感じ取ったエシールは、ケラケラ笑いながら、回避行動に出る。
「神父のくせに物騒なもんぶら下げていやがんなw 」
「私は神の意志だ。キサマのような俗物を排除するために私は存在している。」
俺は曲刀を杖代わりにしてゆっくり立ち上がる。
「すまねえ。油断した。」
「口を動かす前に、手を動かせ。思考しろ。お前なら次にどうする? 」
「視界外からの不意打ち。」
---煉獄炎---
俺の両手から、灼熱の大蛇がズルズルと伸びていき、その身体を畝らせながら、周囲の木々を焼き払った。
おまけで、エシールを巻き込む。
彼は炎を斬り割きながら、俺に飛びかかって来る。
煉獄炎はまだ終わっていない。
俺は身体を回転させると、鞭のようにそれを使った。
神父が俺の肩を踏み台に、大蛇を避ける。
彼はエシールを踵落としで、はたき落とした。
そこにすかさず、炎の鞭を押し込む。
「アチチチチっ……なんてなぁ!! 」
エシールの皮膚がみるみる回復していく。
明鏡止水の時も分かっていたが、彼はとてつもない治癒能力を有している。
神父は着地すると、珍しく悪態をつく。
「今度はこっちの番だぜ。」
--- 妄劔ー紅---
エシールは別世界の術式にアクセスし、クリムゾン色の刀を取り出す。
俺の視界から、彼が消える。
物陰に……隠れた訳ではない。
そもそも、それを封じるために、俺は木々を焼き払った。
二対一なら、見通しのいい空間の方がこちらに分があるからだ。
なら……
俺は目で彼の攻撃を追えていないということになる。
---疾風---
一足遅かった。
俺が、彼の早さに応答する前に、神父の脇腹へと、真っ赤な刃がプスリと突き刺さる。
ひ臓の辺りか? 出血量も尋常じゃない。
俺はかろうじて彼の攻撃を防いでいる。
神父を気にかけている暇など無かった。
「よそ見していると、オマエも殺されるぞぉ。なぁアスィールヨォ。」
俺の心臓に、彼の刃が突きつけられる。
兄弟子は、本気で俺を殺すつもりでいた。
「へへ、待ってろよ。リワンの野郎もすぐそっちに送ってやるからよ。」
俺は仰向けに倒れた。
まだ意識はある。
そしてじっと……血振りをするエシールを見続けた。
多元憑依を、エシールの前で使うことは禁じられている。
俺の暴走を誘発させるからだ。
今の状況で、このピンチを脱する方法は一つしかない。
俺が……俺たちが死ねば、リワン姉ちゃんは、確実にやられる。
ヘブンズだって魔王に目をつけられるはずだ。
俺は覚悟を決めた。
ずっと彼の足取りを追っていて、今、真相に辿り着いた。
もう思い残すことはない……だろう。
ないと思う。
キュリオス姉さんが、孤児院を守ってくれる……と思う。
俺は集中して、イメージした。
異世界のどこかに存在する最強の自分。
奴に打ち勝つ力を。
刹那、俺に禍々しい紫電が降り注ぐ。
学んで・稼いで、学んで・深い眠りに付き、学んでは実戦でアウトプットした。
「今日まで、へばらずによく頑張って来たな。」
神父が、細長い一振りの箱を投げて来る。
俺は両手で重量を確認して、呪符が貼り付けられていないか十二分に確認してから、布切れで、箱を開けた。
中には十字架を模ったナイフが収められている。
ヘブンズのモノたちで愛用されている短剣だ。
「……ありがとよ。」
「今回の敵は私一人では手に負えない。それに私は女神の加護を受けていないしな。」
「聖職者なのに? 」
「ああ、我らが仕えるべき存在は、創造主ただ一人、それに冒険者は魔族を倒す上で、色々と都合が悪い。」
「つまり、アンタは死んだら生き返らないわけだ。」
「そのためにお前を鍛えた。」
その禍々しい気配が近づくと共に、心拍数が早くなっていく。
身体を落ち着かせるために呼吸を何度も整える。
手が届きそうなほど大きな月
その衛星の陰に重なるように、それはどっしり構えていた。
魔族は、俺のことを見て、少し驚いた素ぶりを見せてから。
ゆっくりと、その重々しい唇を開く。
「アスィールか。久しぶりだな。」
右手と左目は魔族に侵食され、頭にはツノを生やしている。
だが、間違いない。
この男こそ俺の兄弟子のエシールだ。
俺と同じく、王宮に集められ、師匠の『魔法』・ 多元憑依を受け継いだ魔法使い。
「アンタは……本当にエシール兄さんか? もしそうなら。なぜこんなことを。」
「聞かれて答えると思うか? 」
エシール兄さんは、月を背に、悪魔の翼を開いた。
「俺たちはなぁ。使い捨ての駒だったんだよ。だから、自分から魔族に魂を売った。良いぜ、魔王軍は。お前ら人間様みたいに孤児をモルモットにする奴はいなけりゃ。誰にも命令されることもねえ。魔王は寛大なお方だ。これじゃあどっちが悪魔か分かんねえ。」
神父が十字架を構えた。
「その口ぶりじゃ。やはり勇者も、そちら側に? 」
「おりゃ今、兄弟と話してんだ。お前はお呼びじゃねえよバーカ。」
エシール兄さんは、翼を翼を羽ばたかせると、ゆっくり地面に降りて来た。
「で? アスィール。お前は何をしに来た? 」
答えは決まっている。
「……師匠の仇を取りに来た。」
「 多元憑依の伝承者、エシール・アースガルズ師範。お命頂戴致す。」
エシールは、異空間から、斬馬頭を抜き去ると、少しつまらなそうな顔をして来る。
「そういう堅苦しいのはやめにしようぜ。兄弟で殺し合うなんて、おりゃ気が引けるなぁ。せめて今は魔族と人間で……さぁ。」
「だったらッ!! 」
俺は熱くなって、居合で彼を斬りつけようとする。
【 虚気平心】
「っとあぶねえ。」
エシールは、俺の下段水平斬りをバックステップで避けた。
そこへ、神父がすかさずナイフの追撃を行う。
「二対一ってのはちょっと感心できねえな。っと。」
俺の投げナイフも、涼しい顔をして避けやがった。
「今度は俺の番だな!! 」
彼は空中で斬罵倒を、薙ぎ払う。
神父はとっそさにそれを防いだが、対、悪魔用の藍色のロングコートが、衝撃波で破れる。
彼は吹っ飛ばされ、そのまま木の幹へと激突した。
「フォース!! 」
「人のことを気にしている場合ではないぞ。」
神父は両手をパンパン払うと、敵の位置を追いながら、大声で叫んだ。
そうだ。エシールから目を離した瞬間。彼の姿が消えた。
どこだ。
落ち着いて、奴の気を探す。
背後だ。
背後で大きく振りかぶって、俺を一刀両断する気だ。
生前の彼とは戦い方が、まるで違った。
別人と相手をしているみたいな……
【明鏡止水】
俺のオールレンジ水平斬りが、奴のハラワタにクリーヒットする。
彼は錆緑の体液を撒き散らしながら、止まることなく俺に斬りつけてくる。
「流石だな。腐っても俺の弟だということか。」
「キンッ。」
両手に巨大な十字架を抱えた神父が、ガッチリそれを受け止める。
「ヌんッ。」
持ち前の怪力で、それを弾き返した。
両腕でソレをクルクル回すと、俺に忠告する。
「言ったはずだ。常識に囚われるなと。」
神父は、十字架の足をエシールに向けると、装甲をパージする。
中から鈍色に輝く銃口が現れた。
本能的に危険を感じ取ったエシールは、ケラケラ笑いながら、回避行動に出る。
「神父のくせに物騒なもんぶら下げていやがんなw 」
「私は神の意志だ。キサマのような俗物を排除するために私は存在している。」
俺は曲刀を杖代わりにしてゆっくり立ち上がる。
「すまねえ。油断した。」
「口を動かす前に、手を動かせ。思考しろ。お前なら次にどうする? 」
「視界外からの不意打ち。」
---煉獄炎---
俺の両手から、灼熱の大蛇がズルズルと伸びていき、その身体を畝らせながら、周囲の木々を焼き払った。
おまけで、エシールを巻き込む。
彼は炎を斬り割きながら、俺に飛びかかって来る。
煉獄炎はまだ終わっていない。
俺は身体を回転させると、鞭のようにそれを使った。
神父が俺の肩を踏み台に、大蛇を避ける。
彼はエシールを踵落としで、はたき落とした。
そこにすかさず、炎の鞭を押し込む。
「アチチチチっ……なんてなぁ!! 」
エシールの皮膚がみるみる回復していく。
明鏡止水の時も分かっていたが、彼はとてつもない治癒能力を有している。
神父は着地すると、珍しく悪態をつく。
「今度はこっちの番だぜ。」
--- 妄劔ー紅---
エシールは別世界の術式にアクセスし、クリムゾン色の刀を取り出す。
俺の視界から、彼が消える。
物陰に……隠れた訳ではない。
そもそも、それを封じるために、俺は木々を焼き払った。
二対一なら、見通しのいい空間の方がこちらに分があるからだ。
なら……
俺は目で彼の攻撃を追えていないということになる。
---疾風---
一足遅かった。
俺が、彼の早さに応答する前に、神父の脇腹へと、真っ赤な刃がプスリと突き刺さる。
ひ臓の辺りか? 出血量も尋常じゃない。
俺はかろうじて彼の攻撃を防いでいる。
神父を気にかけている暇など無かった。
「よそ見していると、オマエも殺されるぞぉ。なぁアスィールヨォ。」
俺の心臓に、彼の刃が突きつけられる。
兄弟子は、本気で俺を殺すつもりでいた。
「へへ、待ってろよ。リワンの野郎もすぐそっちに送ってやるからよ。」
俺は仰向けに倒れた。
まだ意識はある。
そしてじっと……血振りをするエシールを見続けた。
多元憑依を、エシールの前で使うことは禁じられている。
俺の暴走を誘発させるからだ。
今の状況で、このピンチを脱する方法は一つしかない。
俺が……俺たちが死ねば、リワン姉ちゃんは、確実にやられる。
ヘブンズだって魔王に目をつけられるはずだ。
俺は覚悟を決めた。
ずっと彼の足取りを追っていて、今、真相に辿り着いた。
もう思い残すことはない……だろう。
ないと思う。
キュリオス姉さんが、孤児院を守ってくれる……と思う。
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