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ディアストリーナ
修行
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拝啓リワン・スペース様
私は今、仕事をこなしながら、第二の師匠の元で強くなるための修行をしています
なぜ、また修行を始めたかというと、長年探していた兄弟子の消息をつかめたからです
なので当分帰って来ることは出来ないかもしれません
ですが、教会の人たちは僕らに親切で、護衛の術師を何人かそちらに寄越してくれるらしいです
あと、稼ぎの分のお金、20万ゴットを教会のモノに渡しておきます
どうかこの不良少年をお許しください
アスィール
「太刀筋が分かりすぎている。」
神父は、十字架型のナイフで俺の攻撃を弾き返すと、バックステップして、俺にそう指摘した。
彼は俺の珪眼流を半時間で見切ると、すぐに反応して来るようになった。
「と、言われても、俺は剣士じゃ無いしな。」
「そういう意味では無い。お前がやっているソレは、能力を使用する上で、一番してはいけない使い方だ。理由は二つある。分かるか? 」
分からない。俺の魔法とは、別世界にある自分の分身から力を得るソレなのでは無いのか?
「まず一つ。その使い方では、能力の侵食が早くなる。『取り入れた自分』はあくまでも第三者として扱え。」
「さらにもう一つ。私のような強敵には、パターン化された攻撃はすぐに見切られてしまう。どういう意味か分かるか? 」
「すみません。分かりません。」
神父の姿が消える。
背後から迫り来る冷たい殺意に身の毛もよだち、慌てて攻撃を回避した。
「今の感覚? 分かったか? 」
「あくまでも、この流派は自分の武器、刀みたいなもんだ。刀は構造を理解して初めて武器として扱える。」
「90点だ。」
身体を左に大きくそらして、後ろの十字架を避ける。
彼はそのまま宙を舞い、俺の正面へと着地した。
そこからは彼の斬撃のラッシュを防ぐことで精一杯だ。
「見ろ、これが白兵戦だ。お前のスマブラとの違いだ。どちらかというと、格闘ゲームに近い。技は出すモノでは無い、入力するモノだ。」
俺は神父のわずかな隙を付き、攻撃を加える。
「遅い!! 」
十字架の柄で攻撃を弾き返される。
「お前の、その能力に任せた攻撃にも、実はメリットがある。」
「私は今、わざと隙を作った。なぜだか分かるか? 」
「能力を使うのと、自分で流派を使うのでは、僅かなタイムラグが生じる。それを俺に教えるためだ。」
「100点だ。」
「ならお前がやるべきことは分かっているか? 」
「無意識のうちに、この武術が使えるようにすることだ。」
そうだ。この流派も自分に取り込んで、自分のモノにしてしまえば、その分、戦闘に割く思考領域も多く取れる。
再び、神父の猛攻。
彼の動きを見ながら、攻撃を受けているうちに、俺にも彼の癖が分かってきた。
だんだん、二手先、三手先が読めるようになって来る。
「青二歳め。」
姿勢を低くし、踏み込んだ俺の頭上に、拳が振り下ろされる。
脳震盪と共に地面に仰向けに倒れ込む。
そこへ、彼の刃が振り下ろされ、俺の敗北が確定する。
「戦闘で一番重要なのは、相手に情報を与えないことだ。」
「白兵戦は読み合い。相手の二歩・三歩先を読むのは良かった。しかし、相手に情報を与えないということで、一番有効な手は、偽の情報を与えるという方法だということを忘れるな。」
「相手は、自分を欺くために、自分に合わせてきているかも知れない。常に相手の言動を疑え。洞察力を働かせろ。情報の真偽を取捨選択しろ。」
「……分かりました。」
立ち上がる。
「ちょっとシャワー浴びて来ます。」
神父は立ち上がり、短剣をコートの裏側にしまった。
「風呂の後は座学だ。サードにみっちりしごいてもらえ。」
「分かりました。」
その後、風呂から上がった俺は、外で出待ちしていたサードに、自習室へと連れて行かれた。
「この世界には水・火・風の他に、土・雷、光と闇、毒と呪いがある。」
「センセー質問です。」
「はい何かな? 迷える子羊くん? 」
「俺が能力で獲得した術は、この9つの属性のいずれかに属することになるのでしょうか? 」
「君の能力 多元憑依自体、理解不可解な能力でね。とりあえず、王宮では『虚無』という十個めの属性として処理されている。」
「他にも、現代の魔術史では到底、言い表すことのできないような、いわば『奇跡』には、神という属性を付ける学者だっている。これはソースがあまりにも不確定なので、一部でそう呼ばれているだけだが。」
彼女の授業が終わると、今度は、ファーストという爺さん乗る元に呼ばれた。
「集中力を高めることは、魔力を上げることに直結する。」
今、俺は滝に打たれている。
最初はなんでこんなことを?と思っていたが、やってみると……ナルホド。
自分の臍に存在する術の源が、渦を巻きながら、だんだん大きくなっていくのを感じた。
人は集中すればするほど、より多くの魔力を練ることが出来る。
これなら、魔術の構造を理解した暁には、異なる魔術を二つ、いや三つ同時に放つことだって夢では無いかも知れない。
ギルドに帰ってきた俺は、彼らの雑用をこなしてから、自分の部屋のベットに倒れ込み、そのまま眠ってしまう。
翌朝支度をしてから、また教会へと走っていってしまうのであった。
私は今、仕事をこなしながら、第二の師匠の元で強くなるための修行をしています
なぜ、また修行を始めたかというと、長年探していた兄弟子の消息をつかめたからです
なので当分帰って来ることは出来ないかもしれません
ですが、教会の人たちは僕らに親切で、護衛の術師を何人かそちらに寄越してくれるらしいです
あと、稼ぎの分のお金、20万ゴットを教会のモノに渡しておきます
どうかこの不良少年をお許しください
アスィール
「太刀筋が分かりすぎている。」
神父は、十字架型のナイフで俺の攻撃を弾き返すと、バックステップして、俺にそう指摘した。
彼は俺の珪眼流を半時間で見切ると、すぐに反応して来るようになった。
「と、言われても、俺は剣士じゃ無いしな。」
「そういう意味では無い。お前がやっているソレは、能力を使用する上で、一番してはいけない使い方だ。理由は二つある。分かるか? 」
分からない。俺の魔法とは、別世界にある自分の分身から力を得るソレなのでは無いのか?
「まず一つ。その使い方では、能力の侵食が早くなる。『取り入れた自分』はあくまでも第三者として扱え。」
「さらにもう一つ。私のような強敵には、パターン化された攻撃はすぐに見切られてしまう。どういう意味か分かるか? 」
「すみません。分かりません。」
神父の姿が消える。
背後から迫り来る冷たい殺意に身の毛もよだち、慌てて攻撃を回避した。
「今の感覚? 分かったか? 」
「あくまでも、この流派は自分の武器、刀みたいなもんだ。刀は構造を理解して初めて武器として扱える。」
「90点だ。」
身体を左に大きくそらして、後ろの十字架を避ける。
彼はそのまま宙を舞い、俺の正面へと着地した。
そこからは彼の斬撃のラッシュを防ぐことで精一杯だ。
「見ろ、これが白兵戦だ。お前のスマブラとの違いだ。どちらかというと、格闘ゲームに近い。技は出すモノでは無い、入力するモノだ。」
俺は神父のわずかな隙を付き、攻撃を加える。
「遅い!! 」
十字架の柄で攻撃を弾き返される。
「お前の、その能力に任せた攻撃にも、実はメリットがある。」
「私は今、わざと隙を作った。なぜだか分かるか? 」
「能力を使うのと、自分で流派を使うのでは、僅かなタイムラグが生じる。それを俺に教えるためだ。」
「100点だ。」
「ならお前がやるべきことは分かっているか? 」
「無意識のうちに、この武術が使えるようにすることだ。」
そうだ。この流派も自分に取り込んで、自分のモノにしてしまえば、その分、戦闘に割く思考領域も多く取れる。
再び、神父の猛攻。
彼の動きを見ながら、攻撃を受けているうちに、俺にも彼の癖が分かってきた。
だんだん、二手先、三手先が読めるようになって来る。
「青二歳め。」
姿勢を低くし、踏み込んだ俺の頭上に、拳が振り下ろされる。
脳震盪と共に地面に仰向けに倒れ込む。
そこへ、彼の刃が振り下ろされ、俺の敗北が確定する。
「戦闘で一番重要なのは、相手に情報を与えないことだ。」
「白兵戦は読み合い。相手の二歩・三歩先を読むのは良かった。しかし、相手に情報を与えないということで、一番有効な手は、偽の情報を与えるという方法だということを忘れるな。」
「相手は、自分を欺くために、自分に合わせてきているかも知れない。常に相手の言動を疑え。洞察力を働かせろ。情報の真偽を取捨選択しろ。」
「……分かりました。」
立ち上がる。
「ちょっとシャワー浴びて来ます。」
神父は立ち上がり、短剣をコートの裏側にしまった。
「風呂の後は座学だ。サードにみっちりしごいてもらえ。」
「分かりました。」
その後、風呂から上がった俺は、外で出待ちしていたサードに、自習室へと連れて行かれた。
「この世界には水・火・風の他に、土・雷、光と闇、毒と呪いがある。」
「センセー質問です。」
「はい何かな? 迷える子羊くん? 」
「俺が能力で獲得した術は、この9つの属性のいずれかに属することになるのでしょうか? 」
「君の能力 多元憑依自体、理解不可解な能力でね。とりあえず、王宮では『虚無』という十個めの属性として処理されている。」
「他にも、現代の魔術史では到底、言い表すことのできないような、いわば『奇跡』には、神という属性を付ける学者だっている。これはソースがあまりにも不確定なので、一部でそう呼ばれているだけだが。」
彼女の授業が終わると、今度は、ファーストという爺さん乗る元に呼ばれた。
「集中力を高めることは、魔力を上げることに直結する。」
今、俺は滝に打たれている。
最初はなんでこんなことを?と思っていたが、やってみると……ナルホド。
自分の臍に存在する術の源が、渦を巻きながら、だんだん大きくなっていくのを感じた。
人は集中すればするほど、より多くの魔力を練ることが出来る。
これなら、魔術の構造を理解した暁には、異なる魔術を二つ、いや三つ同時に放つことだって夢では無いかも知れない。
ギルドに帰ってきた俺は、彼らの雑用をこなしてから、自分の部屋のベットに倒れ込み、そのまま眠ってしまう。
翌朝支度をしてから、また教会へと走っていってしまうのであった。
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