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呪いを解くため
ドレイク
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「ウチはドレイク。アンタは? 」
「僕はアスィール。ただのアスィール。姓も肩書きも無いよ。」
「アスィール。ふふッええ名前やな。このサーベルの錆になったとしても覚えとったろ。」
彼女は自分のエモノの柄に手を当てる。
「姉貴、人の名前は三日で忘れるだろうがよ。」
野次馬たちの間でドワッと笑いが起こる。
「冷静だな。お前。」
「僕の今すべきことは貴方を倒すことだ。」
彼女は目を見開いて不気味に笑い始めた。
「面白い奴やなオマエ。ますます楽しゅうなって来たわ。」
「なぁ。口だけやないことを証明してくれや。」
彼女の沸点は意外にも低いようで、すぐにこちらへと突っ込んできてくれた。
僕は鞘に納め直した乙姫の柄を強く握り、体勢を低くし踏ん張る。
「【珪眼流】」
【参ノ拳】
【 明鏡止水】
左足を大きく踏み出し、オールレンジの水平斬りをドレイクへと叩き込む。
彼女は……
確かに僕は見た。
身体を拗らせて、僕の呪術をゴムのよう受け流した。
というより、衝撃を直接受け取らないように、身体を滑らせたという表現の方がまだ正しかった。
背面跳びで僕の攻撃を受け流すと、そのままサーベルで、百烈斬を放ってくる。
身体の可動域を限界まで使い、彼女の攻撃を避ける。
「ほう、エライ動くもんやねぇ。」
間違いない。
この女は、近接タイプのサーベル使い。
---疾風---
身体強化で、敏捷力を底上げする。
右から回り込むように、ドレイクへと接近した。
ドレイクも右に回り込むように走り出し、僕たちは甲板の上を並走しながら、互いに剣技を交わした。
【踊喰】
斜め斬り下ろし、回転して水平斬り、斜め下からの斬り上げ、逆回転の水平斬り。
疾風でブーストをかけた僕の踊るような剣技を、彼女は涼しい顔をして捌いている。
だが、僕にも奥の手がある。
彼女の水平斬りをパリィせず、屈んで潜り込むと、溜めていたスピードを一気に解放した。
このスピードは疾風の限界値ではない。
いくら敏捷力に分があったとしても、手練ならすぐに目を慣らされてしまう。
不意の緩急の変化で、ドレイクの顔に変化が見られる。
「ヌッ!! 」
乙女らしからぬ低い声を上げると、跳躍し、僕の頭上を通り抜けた。
バク宙しながら、僕と距離を取る。
魔導船の船首の方へと引き下がると、サーベルの鋒を僕の方へ向ける。
[大蛇流水]
ドレイクの背後で、大量水が引き上げられたかと思うと……
それが水龍の顎となり、襲いかかって来た。
僕は背中から盾を取り出すと、甲板へと突き立てた。
「ドゥルガ!! 頼んだ!! 」
僕とアスピを覆うように白い透明な膜が現れた。
[はいはい、頑張ってね]
あの頃のように跳ね返すまでは行かないが、なんとか水龍をやり過ごすことができた。
「ギャァ。」
「ウガァァ。」
海賊たちの断末魔が聞こえる。
「ははは!! アンタらは海賊やろ。泳げんなんていうダサい男はおらんわな。」
「無茶です姉貴ぃ!! 」
だが流石海の男と言ったところだ。
各々、海賊船から飛び散った木片にしがみつき、なんとか生を繋いでいる。
「ウチが育てた子分どもがそう簡単にくたばるっちゅうわけが無いからな。」
水龍は、ドレイクの周りを畝ると、僕を睨んで静止した。
「さぁ、かかってこんかいや、蠅男。」
二対一では部が悪い。
なら僕も魔術を呼び出す必要があった。
--- 次元の腕---
左腕を大きく天に伸ばし……
「ほう…… 」
目を細める彼女から視界を逸らさずに、僕は確かに掴み取った。
その力の鱗片を。
---聖豪炎---
左掌から放り出される光り輝く炎の顎、その龍は、天高く登ると、ドレイクたちを睨みつけた。
「気に入ったでアンタ!! 」
再び僕とドレイクは衝突する。
海と炎が畝り、混じりながら。
塩が焦げる匂いと、炎が凝固する音。
目の前の強敵と剣を交わす僕。
[風神砲]
ドレイクの呪文に、僕も無意識のうちに、この技が脳裏に浮かんでいた。
---雷神砲---
風と雷、二つの大きなエネルギーは、青と赤すら飲み込み、巨大な渦になると、天を貫いた。
霧が晴れ、燦々と降り注ぐお天道様が顔を出すと、海に虹を作った。
衝撃をドゥルガで防いだ僕。
その攻撃をドレイクは、サーベル一つで防いでいた。
「まざか攻撃魔術まで使えたとはなぁアンタ。」
「そっちそこ、魔術師には見えないけど。」
「ウチは海賊やからな。水や風を操ってナンボや。」
彼女は甲板の上をコツコツ歩いてくると、僕の胸を指で弾いた。
「ウチの勝ちや。有り金は全部頂くで。アンタの強さに免じて、船ぇだけは勘弁しとったる。」
僕は彼女のそれに踏ん張ることができず、地に倒れる。
彼女の指の力が強かったとは思わなかった。
たった今、僕には限界が来ていたことに気づく。
僕は補足前進で、彼女を追う。
だが、海賊たちのアスピを見る目を見て、彼女を庇った。
「アンタら、変な気起こさんといてや。放蕩しとるアホから海に突き落としたるから。」
「さっきに海に放り出したのは姉貴ッ。」
「減らず口叩いとる暇があったら、さっさとアイツら助けたらんかい。」
「「へい。」」
「さてと、お宝 お宝 どこにあるのかなぁ。」
僕は階段を降りて船の中へと進む彼女を追った。
「ん? なんやこの棺桶。」
「やめろッ!! その棺桶に触るな!! 」
彼女が僕の忠告を聴き入れるわけがない。
「ンハッ!! 」
ドレイクが、乙女の音色を奏でた。
彼女は顔を覆うと、魔導船から走り去り、自分の船に戻ると、海賊たちを引き上げさせて、渡板を引き上げさせると、そのまま南の方へと逃げていってしまった。
「なんだったんだ。アレ。」
僕は気を失っているアスピを寝床へと運び込むと、魔力ポーションの蓋を弾いてから、再び魔導船を動かし始めた。
「僕はアスィール。ただのアスィール。姓も肩書きも無いよ。」
「アスィール。ふふッええ名前やな。このサーベルの錆になったとしても覚えとったろ。」
彼女は自分のエモノの柄に手を当てる。
「姉貴、人の名前は三日で忘れるだろうがよ。」
野次馬たちの間でドワッと笑いが起こる。
「冷静だな。お前。」
「僕の今すべきことは貴方を倒すことだ。」
彼女は目を見開いて不気味に笑い始めた。
「面白い奴やなオマエ。ますます楽しゅうなって来たわ。」
「なぁ。口だけやないことを証明してくれや。」
彼女の沸点は意外にも低いようで、すぐにこちらへと突っ込んできてくれた。
僕は鞘に納め直した乙姫の柄を強く握り、体勢を低くし踏ん張る。
「【珪眼流】」
【参ノ拳】
【 明鏡止水】
左足を大きく踏み出し、オールレンジの水平斬りをドレイクへと叩き込む。
彼女は……
確かに僕は見た。
身体を拗らせて、僕の呪術をゴムのよう受け流した。
というより、衝撃を直接受け取らないように、身体を滑らせたという表現の方がまだ正しかった。
背面跳びで僕の攻撃を受け流すと、そのままサーベルで、百烈斬を放ってくる。
身体の可動域を限界まで使い、彼女の攻撃を避ける。
「ほう、エライ動くもんやねぇ。」
間違いない。
この女は、近接タイプのサーベル使い。
---疾風---
身体強化で、敏捷力を底上げする。
右から回り込むように、ドレイクへと接近した。
ドレイクも右に回り込むように走り出し、僕たちは甲板の上を並走しながら、互いに剣技を交わした。
【踊喰】
斜め斬り下ろし、回転して水平斬り、斜め下からの斬り上げ、逆回転の水平斬り。
疾風でブーストをかけた僕の踊るような剣技を、彼女は涼しい顔をして捌いている。
だが、僕にも奥の手がある。
彼女の水平斬りをパリィせず、屈んで潜り込むと、溜めていたスピードを一気に解放した。
このスピードは疾風の限界値ではない。
いくら敏捷力に分があったとしても、手練ならすぐに目を慣らされてしまう。
不意の緩急の変化で、ドレイクの顔に変化が見られる。
「ヌッ!! 」
乙女らしからぬ低い声を上げると、跳躍し、僕の頭上を通り抜けた。
バク宙しながら、僕と距離を取る。
魔導船の船首の方へと引き下がると、サーベルの鋒を僕の方へ向ける。
[大蛇流水]
ドレイクの背後で、大量水が引き上げられたかと思うと……
それが水龍の顎となり、襲いかかって来た。
僕は背中から盾を取り出すと、甲板へと突き立てた。
「ドゥルガ!! 頼んだ!! 」
僕とアスピを覆うように白い透明な膜が現れた。
[はいはい、頑張ってね]
あの頃のように跳ね返すまでは行かないが、なんとか水龍をやり過ごすことができた。
「ギャァ。」
「ウガァァ。」
海賊たちの断末魔が聞こえる。
「ははは!! アンタらは海賊やろ。泳げんなんていうダサい男はおらんわな。」
「無茶です姉貴ぃ!! 」
だが流石海の男と言ったところだ。
各々、海賊船から飛び散った木片にしがみつき、なんとか生を繋いでいる。
「ウチが育てた子分どもがそう簡単にくたばるっちゅうわけが無いからな。」
水龍は、ドレイクの周りを畝ると、僕を睨んで静止した。
「さぁ、かかってこんかいや、蠅男。」
二対一では部が悪い。
なら僕も魔術を呼び出す必要があった。
--- 次元の腕---
左腕を大きく天に伸ばし……
「ほう…… 」
目を細める彼女から視界を逸らさずに、僕は確かに掴み取った。
その力の鱗片を。
---聖豪炎---
左掌から放り出される光り輝く炎の顎、その龍は、天高く登ると、ドレイクたちを睨みつけた。
「気に入ったでアンタ!! 」
再び僕とドレイクは衝突する。
海と炎が畝り、混じりながら。
塩が焦げる匂いと、炎が凝固する音。
目の前の強敵と剣を交わす僕。
[風神砲]
ドレイクの呪文に、僕も無意識のうちに、この技が脳裏に浮かんでいた。
---雷神砲---
風と雷、二つの大きなエネルギーは、青と赤すら飲み込み、巨大な渦になると、天を貫いた。
霧が晴れ、燦々と降り注ぐお天道様が顔を出すと、海に虹を作った。
衝撃をドゥルガで防いだ僕。
その攻撃をドレイクは、サーベル一つで防いでいた。
「まざか攻撃魔術まで使えたとはなぁアンタ。」
「そっちそこ、魔術師には見えないけど。」
「ウチは海賊やからな。水や風を操ってナンボや。」
彼女は甲板の上をコツコツ歩いてくると、僕の胸を指で弾いた。
「ウチの勝ちや。有り金は全部頂くで。アンタの強さに免じて、船ぇだけは勘弁しとったる。」
僕は彼女のそれに踏ん張ることができず、地に倒れる。
彼女の指の力が強かったとは思わなかった。
たった今、僕には限界が来ていたことに気づく。
僕は補足前進で、彼女を追う。
だが、海賊たちのアスピを見る目を見て、彼女を庇った。
「アンタら、変な気起こさんといてや。放蕩しとるアホから海に突き落としたるから。」
「さっきに海に放り出したのは姉貴ッ。」
「減らず口叩いとる暇があったら、さっさとアイツら助けたらんかい。」
「「へい。」」
「さてと、お宝 お宝 どこにあるのかなぁ。」
僕は階段を降りて船の中へと進む彼女を追った。
「ん? なんやこの棺桶。」
「やめろッ!! その棺桶に触るな!! 」
彼女が僕の忠告を聴き入れるわけがない。
「ンハッ!! 」
ドレイクが、乙女の音色を奏でた。
彼女は顔を覆うと、魔導船から走り去り、自分の船に戻ると、海賊たちを引き上げさせて、渡板を引き上げさせると、そのまま南の方へと逃げていってしまった。
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