闇堕勇者と偽物勇者

ぼっち・ちぇりー

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共闘2

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 咄嗟に疾風ハヤテを発動して、鉄球の攻撃を避ける。
 飛び散る破片はドゥルガで防いだ。
 僕たちは三方向に散らばり、ディアブロスを囲い込む。
「おい、余計なことはすんなよ。」
 ディアブロスが僕たちに吹き矢を向けていたことを注意する。
「横殴りは俺の隊では御法度だと教えたよなぁ!! 」
「俺は自分の部下をそんなふうに育てた覚えはない!! 」
「お前ら二人とも、講習だ!! この戦いが終わったらなぁ!! 」
 ディアブロスは鉄球を振り回して、僕たち三人を薙ぎ払おうとする。
 僕とフォースは体勢を低くしながら疾走し、ディアブロスの懐に入ろうと試みた。
「そう来ると思ったぜ。」
 右足が、フォースの十字架をフォースごと蹴り飛ばす。
 鉄球を握ってない方の左腕を、僕は乙姫でしっかり受け止めた。
「ぬんっ!! 」
 僕も武器ごと吹き飛ばされる。
 鉄球を握っていない方の手。
 つまり利き手とは反対の腕だ!!
 あの鉄球の大きさからおおよそ察してはいたが、この怪力、並大抵の人間では受け止めきれないだろう。
 だが、解せなかった。
「なぁアンタさぁ、それほどの力があるなら、何で槍やら剣を使わんのや? 」
 ドレイクは曲刀を首の後ろで担ぐと、気怠そうに質問した。
「どっかの武将みたいに、騎兵を馬ごと真っ二つにすることやって可能やろう? 」
 ディアブロスは、鉄球を左腕でキャッチすると、腕を組んで答えた。
「剣やら槍、アリャダメだ。二、三回使えば、使い物にならなくなっちまう。魔王様に作ってもらった魔剣や魔槍でもダメだった。」
「素手で闘うことはまだ良い。」
「だけどよ。もう、魔王様のあんな顔は見たくねえかな。」
 ドレイクに向かって、巨大な鉄塊が伸びる。
「ドレイク!! 」
 彼女は身体でアレを受け止める気なのだ!!
 あんなもの受け流す前に、身体がグチャグチャになってしまう。
 鉄球がドレイクに触れるその刹那……
 光り輝くベールが、ドレイクを守った。
「遅かったやないかジジイ。」
[この俺を呼ぶ為に、ワザと死にに行くとは、偉くなったなお前さんもよ。]
「コイツばかりはウチの力量だけじゃどうにもならん。」
 赤と黒のマントに、頭にはトリコーン、眼帯をして、右手にはフック、そして、右の腰には、ドレイクと同じカットラス。
「来たなぁぁぁアイ・フリード!! 」
 ディアブロスが頭上で鉄球を振り回し、目の前の奇跡に興奮している。
[こい!!俺のジャジャ馬!! ]
 地の底から、激流が溢れ出し、それと共に、巨大な海賊船が姿を現した。
[野郎ども!! 仕事の時間だ!! ]
[[[アイアイサー。]]]
 船首の大砲が黒光し、ディアブロスへと標準を合わせた。
「先代の船に、こんな技術があるなんて。」
 フォースが思わず感嘆を漏らした。
 そうこうしているうちに、ディアブロスへと大砲が直撃する。
 凄い精度だ。
 練度が良いのか、技師の腕が一流なのか?
[どっちもだ。]
 アイ・フリードはいつのまにか僕たちの後ろに回り込んでいた。
[さぁ行け、俺たちとてそう長くは持つまい。]
 彼は僕の背中を押す。
[お嬢を頼んだぞ。]
 防御姿勢をとるディアブロスへ向けて疾走する。
 ドレイクが、疾風を発動している僕と並走していることに気付き、彼女の身体能力の高さに驚愕する。
「おい、もやし、足引っ張るんとちゃうぞ!! 」
「かってるよ。」
 砲撃の破片、地を抉って飛び散った岩の破片を、フォースが、銃弾で弾いてくれる。
「ありがとうフォース。」
「今度こそ俺たちで囲い込むぞ。」
 砲撃を捌いているディアブロスの懐へと潜り込み、今度は攻撃が通った。
「良いね、良いねえお前ら!! もっと俺を楽しませろ!! 」
 僕はドゥルガの盾を構えると、二人の盾になった。
 遅れて咆哮がやって来る。
 巨大な海賊船はそれと共にかき消されるが……
「上出来や、もやし。」
 彼女は僕の右肩を踏み台にして、空高く飛び上がった。
「バカめ、そんなことしたら俺の鉄球を避けることも、受け止めることも出来ねえだろうが。」
 ディアブロスは両手で鉄鎖を引っ張るが、
「なにっ。」
 フォースがそれをガッチリフォールドしていた。
「バカ!! 離せ。」
[エンゼル・フォール]
 彼女の跳躍からの斬り下ろしが、ディアブロスにクリーンヒットする。
 着地すると、彼女はすぐさま走り出した。
「何ボーッとしとるんや、まだおわっちょらん。」
 のだろう。
 僕は乙姫で、ディアブロスの薄筋へと斬りかかる。
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「すまん、少年。」
 負荷に耐えかねたフォースが、ディアブロスに飛ばされる。
 再び自由の身となった鉄球が僕に振り下ろされる。
 僕は身体を捻り、回転させ、そのまま中を舞った。
 僕の頭上を鉄球が通り過ぎる。
 側頭が擦れ、そこから鮮血が溢れ出す。
 だが僕は止まらなかった。
 視界は……
 右目は真紅に染まり、使いモノにならないが、左目だけで、ディアブロスをしっかり捉える。
 そして、今、自分の身体にかかっているすべてのベクトルを、目の前の巨漢へとぶつけた。
竜巻招来タツマキショウライ
 体幹を利用し、無理矢理上向きの力へと変える。
 大砲を受けても、大上段の斬り下ろしを受けても、びくともしなかった巨躯が、ようやく動き始める。
「どけ。一気に落とすからな。」
 ドレイクの声を聞き、僕はディアブロスから離れると、一回転して、地に足をつけた。
[リーサル・エッジ]
 大振りなカトラスの水平斬りが、巨躯を叩き落とす。
 ディアブロスは地を揺るがしながら、地面にめり込んだ。
「上出来や!! 」
「アスィール、ウチに合わせろ!! 」
 彼女の周りに無数の風がビュンビュンと音を立てながら、集まり始める。
 僕は、それに呼応するかのように、迸る雷を、自分の右手に集中させた。
---[風神・雷神砲]---
 かつては対峙した、風の化身と、雷の化身。
 それは今、互いを讃えるかのように混じり合い、共振し、鍛え上げられた鋼の肉体を、骨すら残らぬよう、無数の残撃で切り裂いた。
 

 
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