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壊れたおもちゃたち
殺人と殺戮
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「その顔、キライ。」
「そりゃどーも生まれつきでな。」
彼女は同期の黒澄千代だ。
武家の出であったが、権力争いを危惧した父により、家を追い出され、契約者にされられたのが彼女だ。
訓練兵の時に同じ隊に配属されて以来、時々話すようになっていた。
最近は俺に対する風当たりが強い。
それは俺も同じだった。
霧島は俺たちのことを「年頃だ」と言った。
霧島というのは、訓練兵時代に、俺たちの教官だった契約者だ。
白髪に引き込まれるような赤い目をした少女のような姿をしているが、歳は二十歳。
「そういうところもキライ、キライキライ。お前が大っ嫌い。」
彼女は目に涙を溜めて、今にも泣き出しそうになっていた。
「そりゃ険しい顔にもなるだろ。だって俺たちは、人を殺しに行くんだぜ。」
ガハハハハ
耳を聾するような笑い声。
「船の中で、博打をしている馬田たちだ。」
また彼が勝ったのであろう。
当然だ。
彼には他人の思考が見える。
心理学? 読心術?
ノンノン。彼をそんなペテン師どもと一緒にしてやるなよ。
彼は本当に人の心を垣間見る事ができる。
そんな趣味の悪い能力が、彼が契約した際に魔具から得た力だ。
「アイツらにも言ってやれよ。もっと緊張感持てってな。」
緊張感?
俺は自分の口からそんな緊張感の無い言葉が出たことに驚いた。
「アンタねぇ!! 」
俺はため息をついた。
「みんな…」
「みんなおかしくなっちまったんだ。人を殺しすぎて。」
ズカズカ足を踏みながら帰っていく彼女の背中を追いながら、俺は自分の武器に話しかけた。
「銃鬼起きてるか?」
ーーどうした坊。良い子は寝る時間じゃぞ。
幼いおなごの声、だか、油断をしてはいけない。
彼女は俺を喰おうとしている。
つま先から、じっくりと引き摺り込み、最後には俺の心まで完全に支配するつもりだ。
凛月と契約してからは、身体の侵食は緩やかになったが、それでも彼女は、着実に俺の体を蝕んで行っている。
「もうすぐ戦闘だ。術式を編む。準備をしておいてくれ。」
ーな~にそんなことか。言っておるじゃろ。『代償』を寄越せば、そんなモノいくらでもとな。
代償。
呪具が宿主に対して求める対価。
俺が彼女に捧げているのは感情。
彼女がまた俺の感情を吸い取った。
人を殺すことに対する恐怖を、人に殺されることに対する恐怖を。
そして、それが無くなりつつある自分に抱く嫌悪感を。
最後に残ったのは、そこ知れぬ恨みだ。
その黒き底なし沼が俺を飲み込む。
――ムハハハハ 実に甘美じゃのぉ。お主の感情は、吸っても吸ってもまだ出てくる。もっともっとじゃあ。
恨んで!! 恨んで!!
殺して!!殺して!!
もっとワシを楽しませてくれ!!
「そりゃどーも生まれつきでな。」
彼女は同期の黒澄千代だ。
武家の出であったが、権力争いを危惧した父により、家を追い出され、契約者にされられたのが彼女だ。
訓練兵の時に同じ隊に配属されて以来、時々話すようになっていた。
最近は俺に対する風当たりが強い。
それは俺も同じだった。
霧島は俺たちのことを「年頃だ」と言った。
霧島というのは、訓練兵時代に、俺たちの教官だった契約者だ。
白髪に引き込まれるような赤い目をした少女のような姿をしているが、歳は二十歳。
「そういうところもキライ、キライキライ。お前が大っ嫌い。」
彼女は目に涙を溜めて、今にも泣き出しそうになっていた。
「そりゃ険しい顔にもなるだろ。だって俺たちは、人を殺しに行くんだぜ。」
ガハハハハ
耳を聾するような笑い声。
「船の中で、博打をしている馬田たちだ。」
また彼が勝ったのであろう。
当然だ。
彼には他人の思考が見える。
心理学? 読心術?
ノンノン。彼をそんなペテン師どもと一緒にしてやるなよ。
彼は本当に人の心を垣間見る事ができる。
そんな趣味の悪い能力が、彼が契約した際に魔具から得た力だ。
「アイツらにも言ってやれよ。もっと緊張感持てってな。」
緊張感?
俺は自分の口からそんな緊張感の無い言葉が出たことに驚いた。
「アンタねぇ!! 」
俺はため息をついた。
「みんな…」
「みんなおかしくなっちまったんだ。人を殺しすぎて。」
ズカズカ足を踏みながら帰っていく彼女の背中を追いながら、俺は自分の武器に話しかけた。
「銃鬼起きてるか?」
ーーどうした坊。良い子は寝る時間じゃぞ。
幼いおなごの声、だか、油断をしてはいけない。
彼女は俺を喰おうとしている。
つま先から、じっくりと引き摺り込み、最後には俺の心まで完全に支配するつもりだ。
凛月と契約してからは、身体の侵食は緩やかになったが、それでも彼女は、着実に俺の体を蝕んで行っている。
「もうすぐ戦闘だ。術式を編む。準備をしておいてくれ。」
ーな~にそんなことか。言っておるじゃろ。『代償』を寄越せば、そんなモノいくらでもとな。
代償。
呪具が宿主に対して求める対価。
俺が彼女に捧げているのは感情。
彼女がまた俺の感情を吸い取った。
人を殺すことに対する恐怖を、人に殺されることに対する恐怖を。
そして、それが無くなりつつある自分に抱く嫌悪感を。
最後に残ったのは、そこ知れぬ恨みだ。
その黒き底なし沼が俺を飲み込む。
――ムハハハハ 実に甘美じゃのぉ。お主の感情は、吸っても吸ってもまだ出てくる。もっともっとじゃあ。
恨んで!! 恨んで!!
殺して!!殺して!!
もっとワシを楽しませてくれ!!
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