神の壜(カミのフラスコ)

ぼっち・ちぇりー

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大陸遠征

面談

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 猫探しを終え、暮れ六つになったので、ひとまず夕飯にしようと、家に戻った。
 俺たちの寮は都の外側だ。
 任務は夜四つまでの仕事。
 宵五つといえば、夜の街が活動し始める時間である。
 顔に傷をつけたイカツイ兄ちゃんや、違法カジノにのっぷりハマりこむブルジョワ、白粉をつけた女が、辺境の七条などで見られるようになる。
 五年前のカジノ建設で、人が外京に流れ、カジノでの収入は減ってきたというものの、七条は、多量の負債を抱えた人間が、身売りをしたり、カジノでさらに多くの負債を抱えたり、ドラックに逃げ、心身共に壊したりと、そういう人間の受け皿になっていたので、そう簡単に無くなることは無かった。
 それに極東運営のカジノは、所得によって掛け金を制限するので、一攫千金を夢見るチャレンジャーは刺激を求めて、違法カジノへと足を踏み入れるのだ。
 そういった問題が、さらに違法地帯を大きくし、極東を蝕んでいく。
 そして金という問題には、必ず暴力が絡んでくる。
 そういった人間の仲介に入るのも俺たちの仕事であった。
 俺がテーブルで魚をつついていると、ドアが「コンコン」と音を立てる。
 スコープは覗いてはならない。相手が武器を構えている可能性があるからだ。
 俺がドアの前に来ると、「コン」と一回、さらに「コンコン」と音を立てる。
 そのノック方法は七宝隊長であった。
"こんな時間になぜ? "
とか
"任務サボってたのバレたか?"
とか
 考えながら、扉を静かに開けた。
「慎二? 今良いか? 」
「はい大丈夫です。すみませんでした。大番役だけは勘弁してください。」
「何を言っているだお前は。」
 どうやら話が食い違っていたらしい。
 七宝を家に招き入れた俺は、彼の話を聞いて声を上げる。
「え? メリゴ大陸へ遠征? 」
「声がデカい!! 」
 俺は溝うちに一発拳を食う。
「コレは極秘任務だ。契約者が極東からゴッソリいなくなったことが、七条の人間にバレたらどうする? 奴らはグランディルにその情報をバラ撒くぞ。」
「そんなリスキーなことしますかねぇ。」
「で? メンバーはもう決まったんですか? 」
 七宝は首を横に振った。
「まだ決まっていない。だからこうやって、一人一人捕まえては、話を聞いて回っている。」
「つまり今ここに来たのは、俺の面接のためってことですか。」
「そういうことになるな。」
 七宝は息を大きく吸い込んだ。
「単刀直入に言う。お前は開拓者になる意思があるか? 」
 答えは決まっていた。
「聖は出ますか? 」
 七宝は考えるそぶりも見せずに答えた。
「可能性はゼロではない。あの土地はどこの領地でもない、未開の土地だ。場合によってはグランディルと奪い合いになるだろう。」
「やりますよ俺は、遠征が、奴らに復讐する手段の一つであると言うのなら。」
「その言葉を聞きたかった。言葉を一語たりとも濁さなかったのは、お前が初めてだ。槍馬も美奈も、その言葉を聞いて、しばらく唖然していたからな。決まりだ。お前の覚悟受け取った。」
 そう言って彼は俺の部屋から出て行った。
「ありがとう、食事の邪魔をしたな慎二。引き続き、治安維持の任を頼んだ。」
 
 
 俺は、皿の魚を頭と骨だけにすると、それをゴミ箱に放り投げ、食器を洗う。
 食器でパンパンの水切りに、それを放り込むと、再び任務へと赴いた。
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