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大陸遠征
未知の世界へ
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翌朝、消した薪の跡を見ながら目覚めた。
ちょっと前に、俺がアジトに開けた切り裂きから、太陽の日が漏れ出す。
すると、七宝は既に起きており、旅の準備をしていた。
よく見ると、目に隈が出来ている。
「隊長、例田も連れてくるべきでしたね。」
「いや、ヤツは極東に居なければならん。いつ聖が襲ってくるか分からんからな。」
「支度は俺がやりますよ。しばらく仮眠をとってて下さい。」
と言って、鞄から地図を取り出すものの……
「貸して、私がやるから。」
黒澄が割り込んできた。
「おい、お前っ。」
「もうっ!!」
彼女は俺から地図をヒュッと掻っ攫うと、正しい向きに直した。
「おい、コンパス無しで方角が解んのかよ。」
「慎二の方が分かると思うけど、そのアンテナは飾りなの? 」
「こりゃアンテナじゃねえ。ツノだ。」
そう言って、左側にだけ生えている小さな突起を撫でる。
「おい、今俺たちが、いるのはここだろ? 」
「見切れてるぞ。」
黒澄は笑顔で答えた。
「そうよ。私たちが今から行くのは、未知の世界。極東人は誰も踏み入れたことのない世界。」
心が少し震えた。黒澄にもバレただろうか?
「いや、コレは遊びじゃない。朝飯取ってくる。」
そう言って、電撃の迸る右手を翳した。
「電気ショック漁は禁止。極東でもそう習ったでしょ。」
黒澄が眉をハの字に曲げている。
「ここはもう極東じゃ無い。未知なる世界だ。」
川のせせらぎに連れられて、俺は川辺までやって来た。
が、そこには先客がいたようだ。
「おはよう慎二、顔でも洗いにきたのか? 」
琵琶だ。
「いや、魚を取りに来たんですよ。退いて下さい。痺れますよ。」
「豪快なヤツだ。まぁ嫌いじゃねえけどよ。」
「まぁまぁそこで見てろよ。先輩様が、クールな魚の取り方ってのを教えてやるからよ。」
俺はここで待っている事にした。
だが、琵琶はどうやって魚を取るのだろうか?
「ピーン」
高い周波数の音が、鼓膜に刺さり。蝸牛を駆け巡る。
やがてそれは、吹っ切れたように消えてしまった。
遅れて気を失った魚たちがプカプカと浮いてくる。
「力を制御できてこそ契約者だ。強い力は周りに大きな影響を及ぼす。高電圧で、プランクトンから昆虫までまとめてやっちまったら、その川が死んじまう。」
俺は唖然としていた。そういえば聞いたことがある。
イルカは超音波で魚を取っているって。
「先輩、俺にも教えて下さい。」
「先ぱ、ガハハハ分かった。お前にも教えてやるよ。エコロジーな漁ってヤツをよ。」
「あいにく時間はたっぷりある。」
「お願いします。」
俺たちが、程よい量の魚を木の棒にくくりつけ、アジトに戻って来ると、熱海が火を起こしていた。
「おっ琵琶、帰ってきたか。オイ、新入り、早く炭を用意しろ。こういうのは、温度管理が大事なんだよ。」
黒澄は森から集めた炭素を懸命に精製していた。
「おっ着いたぜ。サンキューな。」
「ハァっ。」
彼女はその場に倒れ込む。結構な量の炭を精製したようだ。
俺たちは、それぞれ、魚の下処理を行い、木の枝に突き刺すと、火の周りに突き刺す。
すると、隊長が起きてきた。
「すまない。少し仮眠を貰っていた。今日は、地図の外に出よう。」
すると羽々斬がぎこちなさそうに笑った。
「外はどうなってますかねぇ? 」
「奈落が広がっていたりしてな。」
麻川が答えた。
七宝が答える。
「なるほど、地球平面説か。」
斥が答えた。
「隊長、何か隠していませんか? 」
「さぁ、そろそろ行こう。一刻も早くメリゴ大陸に辿り着くぞ。北は春といえども、まだまだ寒さが厳しい。防寒対策はしっかりしておけ。」
そう言われて、俺たちはリュックから毛皮を取り出す。
麻川が昨日と同じく鉄の板を出す。
熱海がそれを、異常が無いか入念にチェックする。
灰弩が手を動力源に翳す。
全員が鉄の板に乗り込む。
鉄の板はカタカタと揺れてから徐々に安定し、飛び上がった。
数時間後、俺たちは地図の外に出て、北を目指す。
しばらくすると、陸地が途切れているのを見た。
俺は思わず声を上げる。
「極東は半島じゃ無かったのか!! 」
極東の学者の中では、極東人が大陸と陸続きなのでは無いかと唱えるものもいた。
しかし、そうとも言えばおかしな話なのだ。
西東に対する知識が開けているのに、北に対する知識がまるで無い。
極東には氷河を渡る船の技術すらあった。
まるで何かを恐れているような。
「今、大陸に入りました!! 」
俺が興奮していると、七宝が指を振る。
「ここはまだ半島じゃ無い。得増地群島。島だ。」
俺は目をかしめ、地平線の向こう側を見ようとした。
「コレが島なわけないでしょ。」
「ハハハ極東だって島だっただろ? 」
俺は悔しくて言い返した。
「メリゴ大陸だって凄く大きな島です!! 」
彼は力なく笑った。
「そうだな。」
数時間ぐらい行くと、陸が途切れているのが見えて来て、俺は惨敗した。
「嘘だろ……あんなに大きな島があるなんて。」
俺たちは小さな島国を頼りに大陸を目指した。
日が落ちて来た頃に、俺たちは半島に上陸する事に成功した。
「みんな疲れただろう。今日は休もう。」
七宝が欠伸をする。
俺たちはついに、ローランド大陸に辿り着いた。
ちょっと前に、俺がアジトに開けた切り裂きから、太陽の日が漏れ出す。
すると、七宝は既に起きており、旅の準備をしていた。
よく見ると、目に隈が出来ている。
「隊長、例田も連れてくるべきでしたね。」
「いや、ヤツは極東に居なければならん。いつ聖が襲ってくるか分からんからな。」
「支度は俺がやりますよ。しばらく仮眠をとってて下さい。」
と言って、鞄から地図を取り出すものの……
「貸して、私がやるから。」
黒澄が割り込んできた。
「おい、お前っ。」
「もうっ!!」
彼女は俺から地図をヒュッと掻っ攫うと、正しい向きに直した。
「おい、コンパス無しで方角が解んのかよ。」
「慎二の方が分かると思うけど、そのアンテナは飾りなの? 」
「こりゃアンテナじゃねえ。ツノだ。」
そう言って、左側にだけ生えている小さな突起を撫でる。
「おい、今俺たちが、いるのはここだろ? 」
「見切れてるぞ。」
黒澄は笑顔で答えた。
「そうよ。私たちが今から行くのは、未知の世界。極東人は誰も踏み入れたことのない世界。」
心が少し震えた。黒澄にもバレただろうか?
「いや、コレは遊びじゃない。朝飯取ってくる。」
そう言って、電撃の迸る右手を翳した。
「電気ショック漁は禁止。極東でもそう習ったでしょ。」
黒澄が眉をハの字に曲げている。
「ここはもう極東じゃ無い。未知なる世界だ。」
川のせせらぎに連れられて、俺は川辺までやって来た。
が、そこには先客がいたようだ。
「おはよう慎二、顔でも洗いにきたのか? 」
琵琶だ。
「いや、魚を取りに来たんですよ。退いて下さい。痺れますよ。」
「豪快なヤツだ。まぁ嫌いじゃねえけどよ。」
「まぁまぁそこで見てろよ。先輩様が、クールな魚の取り方ってのを教えてやるからよ。」
俺はここで待っている事にした。
だが、琵琶はどうやって魚を取るのだろうか?
「ピーン」
高い周波数の音が、鼓膜に刺さり。蝸牛を駆け巡る。
やがてそれは、吹っ切れたように消えてしまった。
遅れて気を失った魚たちがプカプカと浮いてくる。
「力を制御できてこそ契約者だ。強い力は周りに大きな影響を及ぼす。高電圧で、プランクトンから昆虫までまとめてやっちまったら、その川が死んじまう。」
俺は唖然としていた。そういえば聞いたことがある。
イルカは超音波で魚を取っているって。
「先輩、俺にも教えて下さい。」
「先ぱ、ガハハハ分かった。お前にも教えてやるよ。エコロジーな漁ってヤツをよ。」
「あいにく時間はたっぷりある。」
「お願いします。」
俺たちが、程よい量の魚を木の棒にくくりつけ、アジトに戻って来ると、熱海が火を起こしていた。
「おっ琵琶、帰ってきたか。オイ、新入り、早く炭を用意しろ。こういうのは、温度管理が大事なんだよ。」
黒澄は森から集めた炭素を懸命に精製していた。
「おっ着いたぜ。サンキューな。」
「ハァっ。」
彼女はその場に倒れ込む。結構な量の炭を精製したようだ。
俺たちは、それぞれ、魚の下処理を行い、木の枝に突き刺すと、火の周りに突き刺す。
すると、隊長が起きてきた。
「すまない。少し仮眠を貰っていた。今日は、地図の外に出よう。」
すると羽々斬がぎこちなさそうに笑った。
「外はどうなってますかねぇ? 」
「奈落が広がっていたりしてな。」
麻川が答えた。
七宝が答える。
「なるほど、地球平面説か。」
斥が答えた。
「隊長、何か隠していませんか? 」
「さぁ、そろそろ行こう。一刻も早くメリゴ大陸に辿り着くぞ。北は春といえども、まだまだ寒さが厳しい。防寒対策はしっかりしておけ。」
そう言われて、俺たちはリュックから毛皮を取り出す。
麻川が昨日と同じく鉄の板を出す。
熱海がそれを、異常が無いか入念にチェックする。
灰弩が手を動力源に翳す。
全員が鉄の板に乗り込む。
鉄の板はカタカタと揺れてから徐々に安定し、飛び上がった。
数時間後、俺たちは地図の外に出て、北を目指す。
しばらくすると、陸地が途切れているのを見た。
俺は思わず声を上げる。
「極東は半島じゃ無かったのか!! 」
極東の学者の中では、極東人が大陸と陸続きなのでは無いかと唱えるものもいた。
しかし、そうとも言えばおかしな話なのだ。
西東に対する知識が開けているのに、北に対する知識がまるで無い。
極東には氷河を渡る船の技術すらあった。
まるで何かを恐れているような。
「今、大陸に入りました!! 」
俺が興奮していると、七宝が指を振る。
「ここはまだ半島じゃ無い。得増地群島。島だ。」
俺は目をかしめ、地平線の向こう側を見ようとした。
「コレが島なわけないでしょ。」
「ハハハ極東だって島だっただろ? 」
俺は悔しくて言い返した。
「メリゴ大陸だって凄く大きな島です!! 」
彼は力なく笑った。
「そうだな。」
数時間ぐらい行くと、陸が途切れているのが見えて来て、俺は惨敗した。
「嘘だろ……あんなに大きな島があるなんて。」
俺たちは小さな島国を頼りに大陸を目指した。
日が落ちて来た頃に、俺たちは半島に上陸する事に成功した。
「みんな疲れただろう。今日は休もう。」
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