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亡霊共
復讐の果てに
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呪術を発動させた、カーミラが俺の前で俺の首にジゲンキリを突き立ててくる。
それを半ばカンで予測した俺はジャンプし、空中に飛び上がると、銃鬼で側頭を撃ち抜く。
---時空壊---
"右? 上? 左? 下? "
世界が反転する。
気がつくと俺はカーミラと入れ替わっていた。
「空間転移術式ッ。」
背中に一発ジゲンキリの斬撃を貰う。
背中に激痛が走る。
"影結が発動しない? "
俺の身体はこの世界ごと斬られているようだ。
俺の危険を感知した二匹の幻獣が、カーミラに襲いかかる。
「カーミラに触れるなッ。」
---sacred feather---
目の前に現れた大天使が、影丸と黒龍丸を貫く。
カーミラは俺に一発与えるだけでは止まらなかった。
背中にもう一撃、俺も凛月で彼を牽制するが、それよりも早く、彼の身体が裂けまたもと通りに戻ってしまう。
「よくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくも。」
連戦続きで体力もあまり残っていない。
意識が揺らぐ。
時差ボケか。
彼は空間転移を繰り返しながら、ジゲンキリで俺の身体を裂いていく。
"俺の動きが全部読まれている。加速しているはずの俺の身体が。"
"空間転移、次元切断、未来予知、どれが奴の能力だ。"
徐々に痛みを感じなくなって来ている。
この感覚はマズイ。
逃げるにしても迎撃するにしても、ブレイクポイントを見つけなくては。
---εξουσία---
彼女の両手に、二対の巨大な十字架が現れる。
「セイ、邪魔をしないでくれ!! 」
カーミラはジゲンキリを俺に突き立てると、上空五千メートルから自由落下させる。
俺の身体から血が出ているのが分かる。
"影結が解けたか……"
"意識を…意識を保て!! "
落下するスピードは徐々に上がっていく。
「お前は……お前だけは…この手でッ。」
"舌を噛め。寝るな。"
俺は舌を噛んだ。だが痛みは感じなかった。
徐々に意識が薄れていく。俺は知らぬうちに瞼を閉じていた。
* * *
なんだろう……暖かい香りだ。なぜか懐かしい匂いがする。
「おっ目が覚めたよリーダー。」
気がつくと俺は女に担がれて眠っていた。
「はっ? 」
俺はこの女を知っていた。
メリゴ大陸にいた時に、俺から凛月を引っ張り出した張本人だ。
「お前っ!! 」
「コラ、暴れるなっ。」
<どうどう。>
端末からでは無い、脳に直接話しかけられている。
「あれ? 聞こえてないのかな。やっぱり人間の言葉は理解できてないんじゃ? 」
その必要はない。俺の端末には、馬田や霧島の能力をもとに作成されたプログラムがインストールされているからだ。
<そんなことないでしょ。だって極東で他の契約者と同じように暮らしているって。>
「ねぇリーダー。ホントにコイツが英雄の息子なの? 神族はおろか、未覚醒の代行者にすら勝ててなかったけど。」
「ありがとよ。もう走れる。降ろしてくれ。」
<もー、伊桜里がそんなこと言うから怒っちゃったでしょ。>
「ホラ。」
俺は砂漠に放り出させる。
二本足でうまく立とうとしたが、大勢を崩して、砂の海に顔を埋める。
"身体が動かない。"
「ねぇリーダー。」
<ダメ、彼を連れて帰って来て。神族の攻撃で弱っているなら好都合よ。逃げられても困るし。>
"俺は犬かなんかなのか……"
俺はカタルゴ大陸の西の果てまでおぶられていると、その頃には体力も徐々に回復し、自分で立てるようになった。
その後は、リーダーって奴の命令で、対怪異拘束用のロープで体をがっちり縛られる。
どうやら船に乗るようだ。
行き先はメリゴ大陸。
俺は鬼影を呼んだ。
「オイ、鬼影、起きているか? 」
---なんだ慎二、俺は今最高に機嫌が悪い---
「陰牙烈斬は二度と使うな。」
---またそれかよ。もうそれは聞き飽きた---
「お前を責めているわけじゃない。これは俺に対するけじめだ。」
そうだ、俺はついさっき、アイツと同じになった。奪われる者から、奪った者へと変わったのである。
そこで梓帆手の言葉を思い出す。
そして、俺も聖と同じく奪った人間であることを自覚した。
---ヘッお前らしいな。いいぜ。お前の選択、間違ってないと良いな---
鬼影を縛ったことにより、俺も影の鎖に縛られることになる。
俺は潮風に当たっている夜花伊桜里に話しかけた。
「ところでお前はなんなんだ。俺の邪魔をしたり俺を助けたり。」
「状況が変わったんだ。私たちの目的のために、君を引き入れることになった。」
「カルトの勧誘か? 引き入れるって。明らかに誘拐だろこれ。」
<失敬だな命の恩人に対して。君、伊桜里タンが来なかったら明らかに死んでた。って言うか浄化されてたよ。詳しいことはアジトで話そうじゃないか、君の父のことも、ドミニクとの関係も、極東の秘密も。>
「父さんを知っているのか? 」
伊桜里が俺を止める。
「やめて、一人で勝手に大声上げて、おかしな人と間違えられるでしょ。」
そうだ……リーダーの声は一般人には聞こえない。
俺は一人でに大声で話す、やばい奴だった。
ボロボロの吟遊詩人の衣装も相まって、他の乗客からの視線が痛い。
俺は少し静かにしていることにした。
それを半ばカンで予測した俺はジャンプし、空中に飛び上がると、銃鬼で側頭を撃ち抜く。
---時空壊---
"右? 上? 左? 下? "
世界が反転する。
気がつくと俺はカーミラと入れ替わっていた。
「空間転移術式ッ。」
背中に一発ジゲンキリの斬撃を貰う。
背中に激痛が走る。
"影結が発動しない? "
俺の身体はこの世界ごと斬られているようだ。
俺の危険を感知した二匹の幻獣が、カーミラに襲いかかる。
「カーミラに触れるなッ。」
---sacred feather---
目の前に現れた大天使が、影丸と黒龍丸を貫く。
カーミラは俺に一発与えるだけでは止まらなかった。
背中にもう一撃、俺も凛月で彼を牽制するが、それよりも早く、彼の身体が裂けまたもと通りに戻ってしまう。
「よくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくも。」
連戦続きで体力もあまり残っていない。
意識が揺らぐ。
時差ボケか。
彼は空間転移を繰り返しながら、ジゲンキリで俺の身体を裂いていく。
"俺の動きが全部読まれている。加速しているはずの俺の身体が。"
"空間転移、次元切断、未来予知、どれが奴の能力だ。"
徐々に痛みを感じなくなって来ている。
この感覚はマズイ。
逃げるにしても迎撃するにしても、ブレイクポイントを見つけなくては。
---εξουσία---
彼女の両手に、二対の巨大な十字架が現れる。
「セイ、邪魔をしないでくれ!! 」
カーミラはジゲンキリを俺に突き立てると、上空五千メートルから自由落下させる。
俺の身体から血が出ているのが分かる。
"影結が解けたか……"
"意識を…意識を保て!! "
落下するスピードは徐々に上がっていく。
「お前は……お前だけは…この手でッ。」
"舌を噛め。寝るな。"
俺は舌を噛んだ。だが痛みは感じなかった。
徐々に意識が薄れていく。俺は知らぬうちに瞼を閉じていた。
* * *
なんだろう……暖かい香りだ。なぜか懐かしい匂いがする。
「おっ目が覚めたよリーダー。」
気がつくと俺は女に担がれて眠っていた。
「はっ? 」
俺はこの女を知っていた。
メリゴ大陸にいた時に、俺から凛月を引っ張り出した張本人だ。
「お前っ!! 」
「コラ、暴れるなっ。」
<どうどう。>
端末からでは無い、脳に直接話しかけられている。
「あれ? 聞こえてないのかな。やっぱり人間の言葉は理解できてないんじゃ? 」
その必要はない。俺の端末には、馬田や霧島の能力をもとに作成されたプログラムがインストールされているからだ。
<そんなことないでしょ。だって極東で他の契約者と同じように暮らしているって。>
「ねぇリーダー。ホントにコイツが英雄の息子なの? 神族はおろか、未覚醒の代行者にすら勝ててなかったけど。」
「ありがとよ。もう走れる。降ろしてくれ。」
<もー、伊桜里がそんなこと言うから怒っちゃったでしょ。>
「ホラ。」
俺は砂漠に放り出させる。
二本足でうまく立とうとしたが、大勢を崩して、砂の海に顔を埋める。
"身体が動かない。"
「ねぇリーダー。」
<ダメ、彼を連れて帰って来て。神族の攻撃で弱っているなら好都合よ。逃げられても困るし。>
"俺は犬かなんかなのか……"
俺はカタルゴ大陸の西の果てまでおぶられていると、その頃には体力も徐々に回復し、自分で立てるようになった。
その後は、リーダーって奴の命令で、対怪異拘束用のロープで体をがっちり縛られる。
どうやら船に乗るようだ。
行き先はメリゴ大陸。
俺は鬼影を呼んだ。
「オイ、鬼影、起きているか? 」
---なんだ慎二、俺は今最高に機嫌が悪い---
「陰牙烈斬は二度と使うな。」
---またそれかよ。もうそれは聞き飽きた---
「お前を責めているわけじゃない。これは俺に対するけじめだ。」
そうだ、俺はついさっき、アイツと同じになった。奪われる者から、奪った者へと変わったのである。
そこで梓帆手の言葉を思い出す。
そして、俺も聖と同じく奪った人間であることを自覚した。
---ヘッお前らしいな。いいぜ。お前の選択、間違ってないと良いな---
鬼影を縛ったことにより、俺も影の鎖に縛られることになる。
俺は潮風に当たっている夜花伊桜里に話しかけた。
「ところでお前はなんなんだ。俺の邪魔をしたり俺を助けたり。」
「状況が変わったんだ。私たちの目的のために、君を引き入れることになった。」
「カルトの勧誘か? 引き入れるって。明らかに誘拐だろこれ。」
<失敬だな命の恩人に対して。君、伊桜里タンが来なかったら明らかに死んでた。って言うか浄化されてたよ。詳しいことはアジトで話そうじゃないか、君の父のことも、ドミニクとの関係も、極東の秘密も。>
「父さんを知っているのか? 」
伊桜里が俺を止める。
「やめて、一人で勝手に大声上げて、おかしな人と間違えられるでしょ。」
そうだ……リーダーの声は一般人には聞こえない。
俺は一人でに大声で話す、やばい奴だった。
ボロボロの吟遊詩人の衣装も相まって、他の乗客からの視線が痛い。
俺は少し静かにしていることにした。
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