神の壜(カミのフラスコ)

ぼっち・ちぇりー

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亡霊共

罪滅ぼし

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 Mは何を言っていたのか分からない。
 ただ俺は無意識に肯定を繰り返していた。
 どうやらグランディルとの戦争で、契約者がまた前線に出されるらしい。
 俺は無意識のうちに「彼らの元に赴かなくては。」と言う強迫観念に駆られていた。
 そうコレは自分で巻いた種なのだ。
 なら俺にはこの戦争のケツを拭く義務がある。
「俺がグランディル軍を止めにいく。」
 Mはその言葉を制した。
「私の言葉を聞いていたかな。戦争は起こすべくして起こされた。なら、逃亡した君がそこに現れることも、坂上頼次は想定しているはずだ。消耗させた君を捕獲し、処分するだろう。」
「そんなことをして、奴になんのメリットがあるんだ。」
 椿井は真剣な顔で俺を見た。
「君の凛月には発信機が付けられている。」
「船に乗ってた時、おかしな水をぶっかけたでしょ。アレ、ジャミングだから。」
 ジャミング? なんだそれは? それよりなぜ彼らは極東の技術に干渉できる? なぜ名前が極東式なんだ?
「ここがバレることを危惧して、発信機を妨害させてもらったが、もう奴らには感知されているだろうな。君の反応が無くなったことに。」
「だとしても俺は行く。俺には戦争のトリガーを引いた責任を負う義務がある。」
「君はもう頼次の罠にかかっている。」
 伊桜里が俺の行く手を阻む。
「止まりなさい慎二。」
 俺は彼女を押し退ける。
「極東には大事なモノを置いて来すぎた。」
「その中には斥も含まれている。」
 俺の中で何かが痛んだ。
 彼女が泣き崩れているのが分かる。
「君が極東に囚われれば、救出が困難になる。わかっているかね。」
「俺は元より、お前らに協力するなんて言った覚えはない。」
 Mはため息をついた。
「色々私に聞いておきながら、つくづく図々しい奴だね君は。」
「悪いな。正直まだ実感が湧かないんだ。お前らの見えている世界と、俺の見ている世界は乖離しすぎている。」
 Mは俺に微笑みかけた。
「どうやらまだ信用されていないみたいだね。」
「なら行くといい。自分の目で見て、自分の意思でここに来るといい。」
 俺は長い廊下の先にあるドアノブへと手を伸ばした。
「君は必ずここに来る。いや、こざるおえないだろう。」
 

 

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