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印の国で
再戦
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ミシマッシュのアジトを出ると、船に乗り、カタルゴ大陸を横断する。
カタルゴの街で、掲示板を確認すると……
馬田に言われた通り、端末に電源を入れると、カメラ機能で翻訳する。
『グランディル軍と極東軍、印の国にて激突。』と書いてあった。
「クソ、もうはじまっていやがるか。」
ここから印の国まで、時空壊で加速しても2日はかかる。
俺は戦場へと急いだ。
* * *
「彼は来ますかね? 」
「大丈夫、台与鬼子様は必ず来るよ。真実を知ってなお、ノコノコとね。」
「馬鹿だねぇミシマッシュの連中も、あんな子供騙し程度で、凛月の痕跡を消せるわけがないじゃないか。」
「極東……慎二は…… 」
「決まってるじゃないか極刑だよ。極東の真実を知って生きていられるわけないだろ。」
「まぁ真実を知ったまま極東にいても気まずいだけだし、彼には退場してもらおうかな。」
「……慎二を殺せば、慎二郎の協力は得られなくなりますよ。」
坂上は少しだけ悩んだ。
「凛月の次の契約者か。それは困ったなぁ。」
「オリジナルを洗脳するか、クローンを作るか? 」
「そうだ。君の弟を作ってソイツの感情を抜き取るって言うのはどうかな? 」
「坂上ッ。」
坂上は七宝を睨むと、低い声で答えた。
「何を被害者ヅラしているんだ? 君も僕の共犯者だろ? 」
「確かに俺は極東を守るため、弱きモノを守るために、七英雄と対話した。」
「何が目的だ。何のために人間を苦しめる。」
「君と同じだよ。私も極東を守るために尽くしている。誰かが苦しまなくてはならない。だから慎二郎たちを代わりにくるしめているんだろ? 」
七宝は後ずさった。
「寝言は寝て言え!! ただお前は人が苦しむのを見たいだけだろ。だから契約者システムなんて作って、年端も行かない子供たちを少年兵に仕立て上げ、若人から青春を取り上げているんだろう? 」
「言わせておけば!! 君に何ができると言うのだね。君一人で聖全員を相手できるのかね? 今回の一五万なんて屁じゃない。奴らが総力を持って極東を叩けば、この島国は暗礁すら残らないぞ。」
「その原因を作ったのはお前だろ。洲崎美奈がグランディルの人間であるから、まだ和平の道はあった。それをあなたは断ち切った。」
「少年兵の次は和平か? どうやら慎二郎の情が移ったようだなこのフヌケ。」
「お前も知っているだろ人間の残虐性を、力を手に入れた人間が何をするかを。」
「代行者なぞ所詮飾りよ。各地で弱者を踏み躙っているのは、その力を譲り受けた一般人だ。彼らがこの世界の癌で、彼らが歴史を動かしている。そこに支配者の入る場所なぞ無かろう。和平がどうした。それで女子供老人が笑って暮らせるってわけか? 否だ。アイツらは和平が成立しても、平然と狼藉を働くぞ。何の解決にもならない。」
「この世は力のみが唯一の正しさだ。」
「極長……」
「アイツらに私が力を与え、私が手綱を握る。」
「そして私がこの世全ての悪になる。」
「そのためならどんな犠牲も厭わない。」
坂上はモニターを見ると、何事もなかったかのように七宝へと話しかけた。
「おう。来たみたいだよ。お馬鹿なカモが。」
「七宝、分かっているな? 彼がカーミラとの戦闘で消耗した後に、掻っ攫ってこい。そうすれば今日の無礼は許すし、デリートも取り消そう。」
「悪魔め。」
「悪魔だよ僕は、この世全ての悪になる男だ。」
* * *
俺は気がつくと、砂の海の中でカーミラの前に立っていた。
数回山賊に襲われて、その度に撃退したような気がするが、記憶が朧げでよく分からない。
周りでは水崎や変幻、羽々斬、麻川や槍馬が戦っている。
「やっぱり来たな台与鬼子。」
「八つ当たりか? 派手にやってくれたモンだな。」
「慎二ィ。」
「俺を名前で呼んだのは、お前が二人目だ。」
俺はきっと、ウボクであった時の彼と同じ顔をしているだろう。
ただの偶然か、いや、そうであって欲しかった。
聖が俺の母を殺し、俺が奴の兄を殺す。
そして今度は奴が俺を……
---気をしっかり持て慎二、死ぬぞ---
---慎二……私……---
液体の効力が消え始め、凛月の声が聞こえ始める。
「良い、何も言うな。俺は誰も責めていない。凛月も鬼影も。」
「感謝すらしているさ。銃鬼も凛月も、鬼影も。」
---なんじゃ、その死にに行くようなセリフは? ---
「死ぬ気で戦うさ。そのために帰ってきたからな。」
カーミラが俺を睨んだ。
「なんだその顔は、俺を憐れんだような顔は。」
「カーミラ、お前もかつて俺にこんな顔をしていたんだ。覚えてないか? 」
「人を殺した人間が、そんな顔するわけないだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
カタルゴの街で、掲示板を確認すると……
馬田に言われた通り、端末に電源を入れると、カメラ機能で翻訳する。
『グランディル軍と極東軍、印の国にて激突。』と書いてあった。
「クソ、もうはじまっていやがるか。」
ここから印の国まで、時空壊で加速しても2日はかかる。
俺は戦場へと急いだ。
* * *
「彼は来ますかね? 」
「大丈夫、台与鬼子様は必ず来るよ。真実を知ってなお、ノコノコとね。」
「馬鹿だねぇミシマッシュの連中も、あんな子供騙し程度で、凛月の痕跡を消せるわけがないじゃないか。」
「極東……慎二は…… 」
「決まってるじゃないか極刑だよ。極東の真実を知って生きていられるわけないだろ。」
「まぁ真実を知ったまま極東にいても気まずいだけだし、彼には退場してもらおうかな。」
「……慎二を殺せば、慎二郎の協力は得られなくなりますよ。」
坂上は少しだけ悩んだ。
「凛月の次の契約者か。それは困ったなぁ。」
「オリジナルを洗脳するか、クローンを作るか? 」
「そうだ。君の弟を作ってソイツの感情を抜き取るって言うのはどうかな? 」
「坂上ッ。」
坂上は七宝を睨むと、低い声で答えた。
「何を被害者ヅラしているんだ? 君も僕の共犯者だろ? 」
「確かに俺は極東を守るため、弱きモノを守るために、七英雄と対話した。」
「何が目的だ。何のために人間を苦しめる。」
「君と同じだよ。私も極東を守るために尽くしている。誰かが苦しまなくてはならない。だから慎二郎たちを代わりにくるしめているんだろ? 」
七宝は後ずさった。
「寝言は寝て言え!! ただお前は人が苦しむのを見たいだけだろ。だから契約者システムなんて作って、年端も行かない子供たちを少年兵に仕立て上げ、若人から青春を取り上げているんだろう? 」
「言わせておけば!! 君に何ができると言うのだね。君一人で聖全員を相手できるのかね? 今回の一五万なんて屁じゃない。奴らが総力を持って極東を叩けば、この島国は暗礁すら残らないぞ。」
「その原因を作ったのはお前だろ。洲崎美奈がグランディルの人間であるから、まだ和平の道はあった。それをあなたは断ち切った。」
「少年兵の次は和平か? どうやら慎二郎の情が移ったようだなこのフヌケ。」
「お前も知っているだろ人間の残虐性を、力を手に入れた人間が何をするかを。」
「代行者なぞ所詮飾りよ。各地で弱者を踏み躙っているのは、その力を譲り受けた一般人だ。彼らがこの世界の癌で、彼らが歴史を動かしている。そこに支配者の入る場所なぞ無かろう。和平がどうした。それで女子供老人が笑って暮らせるってわけか? 否だ。アイツらは和平が成立しても、平然と狼藉を働くぞ。何の解決にもならない。」
「この世は力のみが唯一の正しさだ。」
「極長……」
「アイツらに私が力を与え、私が手綱を握る。」
「そして私がこの世全ての悪になる。」
「そのためならどんな犠牲も厭わない。」
坂上はモニターを見ると、何事もなかったかのように七宝へと話しかけた。
「おう。来たみたいだよ。お馬鹿なカモが。」
「七宝、分かっているな? 彼がカーミラとの戦闘で消耗した後に、掻っ攫ってこい。そうすれば今日の無礼は許すし、デリートも取り消そう。」
「悪魔め。」
「悪魔だよ僕は、この世全ての悪になる男だ。」
* * *
俺は気がつくと、砂の海の中でカーミラの前に立っていた。
数回山賊に襲われて、その度に撃退したような気がするが、記憶が朧げでよく分からない。
周りでは水崎や変幻、羽々斬、麻川や槍馬が戦っている。
「やっぱり来たな台与鬼子。」
「八つ当たりか? 派手にやってくれたモンだな。」
「慎二ィ。」
「俺を名前で呼んだのは、お前が二人目だ。」
俺はきっと、ウボクであった時の彼と同じ顔をしているだろう。
ただの偶然か、いや、そうであって欲しかった。
聖が俺の母を殺し、俺が奴の兄を殺す。
そして今度は奴が俺を……
---気をしっかり持て慎二、死ぬぞ---
---慎二……私……---
液体の効力が消え始め、凛月の声が聞こえ始める。
「良い、何も言うな。俺は誰も責めていない。凛月も鬼影も。」
「感謝すらしているさ。銃鬼も凛月も、鬼影も。」
---なんじゃ、その死にに行くようなセリフは? ---
「死ぬ気で戦うさ。そのために帰ってきたからな。」
カーミラが俺を睨んだ。
「なんだその顔は、俺を憐れんだような顔は。」
「カーミラ、お前もかつて俺にこんな顔をしていたんだ。覚えてないか? 」
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