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転界を目指す者たち
王の器
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俺たちは、乱戦状態の兵士たちの渦の中に落ちた。
幸い下に兵士は居なかったが、衝撃で煉瓦が周囲に飛び散る。
その豪快な登場に、反応しないものは居なかった。
「みんな。止まってくれ。」
「おい動くな。オメエらの王様のおふれだぞ。」
星詠みは窓から唖然としていた。
セイは驚愕のあまりに神格化が解けている。
ドミートリィは、俺を見て軽く舌打ちをすると、斥はニタニタと笑っている。
伊桜里は真剣な目で俺を見ていた。
周りの敵味方、全ての人間が俺たちを見ている。
そこに反乱軍のリーダーらしき人物が出てきた。
身体は仮面に覆われていて見えない。
彼が面を外すと、あべこべに繋がった顔が露わになった。
彼はその喋りにくそうな顔で、
「久しぶりだな。極東のガキ。」
とだけ言った。
そうだ、思い出した。
極秘任務の時に、カタルゴを仕切っていた呪術使いのラレオ。
カーミラが一歩前に出る。
「お前がリーダーだな。お前に一騎討ちを所望する。」
「……良いぜ。そのかし、俺が勝ったら、冠を俺に譲れよ。アスィールにはアンタを殺したら後は好きにして良いって言われてっからよ。」
もはや隠す気も無しか。
「カラカラン。」
カーミラはジゲンキリと吸血牙を捨てた。
「オイ、お前!! 」
俺は慌ててカーミラを止める。
「なら、慎二なら? どうする。」
分からない。
この場を収める方法なんて武力行使以外に。
「僕は一国の王だ。ただいたずらにこの力を行使するだけでは誰もついてこない。」
「コレは僕自身の戦いだ。代行者の力なんて必要ない。」
それから地面に落ちていたブロードソードを握った。
「僕が勝ったら、君は僕の配下になる。良いね。」
そういうと、今度はラレオが呪具を投げ捨てた。
「ふん、生身のお前を呪具でぶっ飛ばしたところで、子分たちは俺についてこねえ。」
「その賭け、乗ってやるよ。」
「後悔するんじゃねえぞ。小僧。」
ラレオが地面を蹴った。
カーミラに急接近し、クレイモアで水平斬りを放つ。
カーミラは、身体をそらし、左に避けると、その体勢のまま、両手に握られた剣の刃先で地面を抉ると、そのまま切り上げた。
ラレオはクレイモアを両手で引き込むと、そのまま攻撃をガードする。
そしてそのまま地面にはたき落とした。
カーミラは地面に刺さった自分の剣を引き抜くと、そのままラレオの斬り下ろしをブロードソードで受け止める。
「頑張れ、カーミラ様。」
「アニキ!! アニキ!! 」
気がつけば、辺りからは殺伐とした空気が消えていて、敵も味方も、必死に我が主人を応援していた。
瞬く二つの軌道が、ぶつかっては離れ、ぶつかっては離れ、そしてぶつかるたびに火花を散らしている。
そして……
カーミラのブロードソードが、ラレオのクレイモアを弾き飛ばしていた。
「カーミラの勝ちだ。」
だがラレオの野郎は止まらなかった。
「オレは…オレはこんなところで止まれないッ。」
地面の呪具を拾い上げると、鋭い金剛をカーミラに向けて飛ばす。
「カーミラ!! 」
「くるな!! 」
「コレは僕とラレオとの戦いだ。」
なおもカーミラは吸血牙すら使おうとする気配は無い。
彼の左肩に握り拳ぐらいの金剛が刺さる。
「グッ。」
彼はブロードソードで金剛を弾き返しただが、たった二回で、そのブロードソードは破損してしまった。
彼はブロードソードの柄を投げ捨てると、他の兵士からロングソードを取り出した。
「借りるぞ。」
そして兵士のポーチから火打ち魔硝石を取り出す。
「カンッ。」
乾いた爽快な音と共にロングソードに日が灯る。
彼はラレオに向けて突撃した。
迫り来る金剛石を、魔硝石の炎で薙ぎ払う。
そしておそらく驚愕しているであろうラレオの懐に潜り込む。
カーミラは彼を薙ぎ払う……
のではなく、肘で突き飛ばした。
ラレオは腰が抜ける。
そのまま尻をついた。
彼の喉笛に炎の剣が突きつけられる。
「分かった降参だ。降参。」
「お前らもう手ェ出すんじゃねえぞ。この王様は本物だ。」
「うおおおお!! 」
「カーミラ様万歳!! 」
剣を降ろし、倒れそうになるカーミラを、セイとアイシャが支える。
「「大丈夫? カーミラ。」」
「問題ないよ。やめてくれ。みんなに見られているんだ。」
俺も彼の元へと駆け寄った。
「全部、終わったみたいだな。」
すると彼は地面に落ちていたジゲンキリを拾い上げると、俺に向けて投げつけてきた。
それを俺は片手でキャッチする。
「神を殺しに行くんだろ? 」
「神がいなくなれば、代行者は…… 」
「カーミラは首を振った。」
「そんなもの無くても良い。」
「だけどね。僕の力はちっぽけだ。また二人の力を借りることになるかも知れない。」
「お前の力も無駄にはしない。」
そういうと俺は三人の元に帰って行った。
「全部、揃ったのね。」
「ああ、全部まるーくな。」
「行こう、慎二。ローランド大陸の台座に神器エクスカリバーを嵌め込むんだ。」
皆が盛りあがる中、俺たちは静かにバックドアを抜けた。
幸い下に兵士は居なかったが、衝撃で煉瓦が周囲に飛び散る。
その豪快な登場に、反応しないものは居なかった。
「みんな。止まってくれ。」
「おい動くな。オメエらの王様のおふれだぞ。」
星詠みは窓から唖然としていた。
セイは驚愕のあまりに神格化が解けている。
ドミートリィは、俺を見て軽く舌打ちをすると、斥はニタニタと笑っている。
伊桜里は真剣な目で俺を見ていた。
周りの敵味方、全ての人間が俺たちを見ている。
そこに反乱軍のリーダーらしき人物が出てきた。
身体は仮面に覆われていて見えない。
彼が面を外すと、あべこべに繋がった顔が露わになった。
彼はその喋りにくそうな顔で、
「久しぶりだな。極東のガキ。」
とだけ言った。
そうだ、思い出した。
極秘任務の時に、カタルゴを仕切っていた呪術使いのラレオ。
カーミラが一歩前に出る。
「お前がリーダーだな。お前に一騎討ちを所望する。」
「……良いぜ。そのかし、俺が勝ったら、冠を俺に譲れよ。アスィールにはアンタを殺したら後は好きにして良いって言われてっからよ。」
もはや隠す気も無しか。
「カラカラン。」
カーミラはジゲンキリと吸血牙を捨てた。
「オイ、お前!! 」
俺は慌ててカーミラを止める。
「なら、慎二なら? どうする。」
分からない。
この場を収める方法なんて武力行使以外に。
「僕は一国の王だ。ただいたずらにこの力を行使するだけでは誰もついてこない。」
「コレは僕自身の戦いだ。代行者の力なんて必要ない。」
それから地面に落ちていたブロードソードを握った。
「僕が勝ったら、君は僕の配下になる。良いね。」
そういうと、今度はラレオが呪具を投げ捨てた。
「ふん、生身のお前を呪具でぶっ飛ばしたところで、子分たちは俺についてこねえ。」
「その賭け、乗ってやるよ。」
「後悔するんじゃねえぞ。小僧。」
ラレオが地面を蹴った。
カーミラに急接近し、クレイモアで水平斬りを放つ。
カーミラは、身体をそらし、左に避けると、その体勢のまま、両手に握られた剣の刃先で地面を抉ると、そのまま切り上げた。
ラレオはクレイモアを両手で引き込むと、そのまま攻撃をガードする。
そしてそのまま地面にはたき落とした。
カーミラは地面に刺さった自分の剣を引き抜くと、そのままラレオの斬り下ろしをブロードソードで受け止める。
「頑張れ、カーミラ様。」
「アニキ!! アニキ!! 」
気がつけば、辺りからは殺伐とした空気が消えていて、敵も味方も、必死に我が主人を応援していた。
瞬く二つの軌道が、ぶつかっては離れ、ぶつかっては離れ、そしてぶつかるたびに火花を散らしている。
そして……
カーミラのブロードソードが、ラレオのクレイモアを弾き飛ばしていた。
「カーミラの勝ちだ。」
だがラレオの野郎は止まらなかった。
「オレは…オレはこんなところで止まれないッ。」
地面の呪具を拾い上げると、鋭い金剛をカーミラに向けて飛ばす。
「カーミラ!! 」
「くるな!! 」
「コレは僕とラレオとの戦いだ。」
なおもカーミラは吸血牙すら使おうとする気配は無い。
彼の左肩に握り拳ぐらいの金剛が刺さる。
「グッ。」
彼はブロードソードで金剛を弾き返しただが、たった二回で、そのブロードソードは破損してしまった。
彼はブロードソードの柄を投げ捨てると、他の兵士からロングソードを取り出した。
「借りるぞ。」
そして兵士のポーチから火打ち魔硝石を取り出す。
「カンッ。」
乾いた爽快な音と共にロングソードに日が灯る。
彼はラレオに向けて突撃した。
迫り来る金剛石を、魔硝石の炎で薙ぎ払う。
そしておそらく驚愕しているであろうラレオの懐に潜り込む。
カーミラは彼を薙ぎ払う……
のではなく、肘で突き飛ばした。
ラレオは腰が抜ける。
そのまま尻をついた。
彼の喉笛に炎の剣が突きつけられる。
「分かった降参だ。降参。」
「お前らもう手ェ出すんじゃねえぞ。この王様は本物だ。」
「うおおおお!! 」
「カーミラ様万歳!! 」
剣を降ろし、倒れそうになるカーミラを、セイとアイシャが支える。
「「大丈夫? カーミラ。」」
「問題ないよ。やめてくれ。みんなに見られているんだ。」
俺も彼の元へと駆け寄った。
「全部、終わったみたいだな。」
すると彼は地面に落ちていたジゲンキリを拾い上げると、俺に向けて投げつけてきた。
それを俺は片手でキャッチする。
「神を殺しに行くんだろ? 」
「神がいなくなれば、代行者は…… 」
「カーミラは首を振った。」
「そんなもの無くても良い。」
「だけどね。僕の力はちっぽけだ。また二人の力を借りることになるかも知れない。」
「お前の力も無駄にはしない。」
そういうと俺は三人の元に帰って行った。
「全部、揃ったのね。」
「ああ、全部まるーくな。」
「行こう、慎二。ローランド大陸の台座に神器エクスカリバーを嵌め込むんだ。」
皆が盛りあがる中、俺たちは静かにバックドアを抜けた。
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