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平等社会へ
決戦
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宜野座によって車に乗せられた俺たちは、電話ボックスのような箱からから千鳥足で出てきた泥酔野郎を横切り、無能力者に殴られている能力者を横目に、スタジアムへと案内された。
スタジアムの入り口へは赤いカーペットが敷かれており、両脇には、野次馬がギュウギュウに敷き詰められている。
カーペットは靴の跡があったり、何の液体がばら撒かれ、揚げ蛤や、卵などが散乱していた。
「私の業務はここまでです。それでは。」
彼女は俺たちを下ろすと、ドアを閉め、逃げるように帰っていった。
野次馬たちは俺たちを奇異の目でマジマジと見てから、俺たちの持っている魔具や神器を馬鹿にすると、やがてそれは憎悪に変わっていき、石を投げつけるものまで現れてきた。
最初の一人に釣られて、一人、また一人と憎悪を増幅させていく。
やがて、スタジアムの周りで憎悪が飽和した。
溢れんばかりの理不尽な悪意が俺たちに襲い掛かる。
俺たちはカーペットに散乱した生ゴミを足で避けながら、飛んでくる靴や鞄を掻い潜り、スタジアムに入る。
スタジアムは入り口からコートまでが一本線まで繋がっていた。
俺たちはそのままコートへと入る。
「時間通り、ドンピシャだ。僕も良い秘書を持ったものだよ。」
俺を仁王立ちして待っていたのは、もちろん本堂守。
そして、彼の部下らしき女が、二人がかりで千代の身体を抑えていた。
「慎二!! みんなッ!! 」
彼女は後ろに回された腕を必死に動かすと、安堵に似た悲鳴をあげた。
「千代、もう少しだけ待っていてくれ。すぐに助ける。」
俺は彼女にそう告げると、再び大男に向き直る。
「さっさと始めようぜ。」
本堂は俺のその言葉に少し驚いたようであったが、嗜虐的になり、構え直すと、好戦的な顔を俺に向ける。
俺も彼も分かっている。
俺たちには言葉なんて必要ない。
むしろ不純物だ。
能力者である俺たちと、それを忌み嫌う彼ら、そこに対話などと言う生ぬるい言葉は存在しない。
ギャラリーではすでに悪意が伝染しきっており、群衆が刺せや殺せなどと言う物騒な言葉を吐いている。
「さぁ、死にたい奴からかかってくると良い、こちらも、それに応えよう。」
「俺が行く。」
その言葉を放ったのは槍馬だ。
彼は迷うことなく先鋒を引き受けた。
「なら某が相手をしよう。」
玉鉄、彼は不意に本堂の後ろから現れると、槍馬の正面に出た。
きっとどこかから転送されたのだろう。
リベリオンにいた時とは服装が違う。
そして今は能力者の証である手錠が施されている。
本堂が十字を切ると、手錠が機械音を鳴らして解除された。
腕が自由になった彼は、肩を回すと、腰から抜刀のような構えをし、超能力で刀を抜き出す。
「なるほどな。その手錠はお前の能力から来ているわけか。」
「そうだ。この発明品は私の能力をもとに考案されたモノ。これで能力者を顎で使うことが出来る。」
槍馬が慈しむ顔で玉鉄を見た。
「お前は反政府組織の人間では無かったのか? なぜ、そこまでして俺たちと戦うんだ? 」
玉鉄はエモノを中段に構える。
「お前ともう一度戦いたかったのでな。一対一で。汝のその素晴らしい拳闘術と某の拳闘術を本気で。」
その言葉を聞いて、彼は憐れみも、遠慮も、彼にとっては侮辱にしかならないことを察したのだろう。
右手で背中の天沼矛を引き抜き、クルクル回すと、左手で右の腰に納刀されている布津御魂を引き抜く。
その剣の軌跡に、斬影が残る。
「これは拳術ではない。剣術だ。お前に嫌と言うほど叩き込んでやるよ。」
「臨むところ。」
俺は槍馬に向けて叫んだ。
「槍馬、気をつけろよ。」
「ああ、だが俺たちの邪魔をするんじゃねえ。俺たちの世界の人々にも泥を塗るな。必ず勝つ。」
槍馬はああ言っているが、万が一のことがあったときは、俺たちが介入せざるおえない。
俺は腰から凛月を取り出すと、密かに構えた。
本堂の眉が少し動く。
俺はその仕草を見逃さなかった。
俺は槍馬を疑っている。
だが命は信頼よりも重い。
たとえ奴に嫌われようとも、彼が死ぬようであるのなら、俺が止めに入る。
そのとき。
俺たちは六人に光の柱が降り注ぐ。
電解され、気がついた時には、俺たちは控え室らしき場所へと転送されていた。
見渡す限り、扉はトイレのそれしか見当たらない。
俺たちは閉じ込められたのだ。
持ってきた端末も持ってきたが、ここは圏外。
当然だ。
ここは俺たちはのいた世界とは違う。
異世界の電波を、俺の世界の端末が拾ってくれるわけがない。
「ここで指を加えて見ていろと言うことか。」
<はーい慎二クン。どうだね待機室の居心地は。>
「最悪だクソ野郎。」
<邪魔をしようなんて考えたらイケナイよ。>
本堂守だ。
そうやっている間にも、カウンドダウンが始まった。
数字が進むごとに、両者の体勢は低くなる。
「カチ。」
「カチャン。」
乾いた金属音が、静寂にこだまする。
周波数の高いブザーと共に、両者はほぼ同時に地面を蹴った。
スタジアムの入り口へは赤いカーペットが敷かれており、両脇には、野次馬がギュウギュウに敷き詰められている。
カーペットは靴の跡があったり、何の液体がばら撒かれ、揚げ蛤や、卵などが散乱していた。
「私の業務はここまでです。それでは。」
彼女は俺たちを下ろすと、ドアを閉め、逃げるように帰っていった。
野次馬たちは俺たちを奇異の目でマジマジと見てから、俺たちの持っている魔具や神器を馬鹿にすると、やがてそれは憎悪に変わっていき、石を投げつけるものまで現れてきた。
最初の一人に釣られて、一人、また一人と憎悪を増幅させていく。
やがて、スタジアムの周りで憎悪が飽和した。
溢れんばかりの理不尽な悪意が俺たちに襲い掛かる。
俺たちはカーペットに散乱した生ゴミを足で避けながら、飛んでくる靴や鞄を掻い潜り、スタジアムに入る。
スタジアムは入り口からコートまでが一本線まで繋がっていた。
俺たちはそのままコートへと入る。
「時間通り、ドンピシャだ。僕も良い秘書を持ったものだよ。」
俺を仁王立ちして待っていたのは、もちろん本堂守。
そして、彼の部下らしき女が、二人がかりで千代の身体を抑えていた。
「慎二!! みんなッ!! 」
彼女は後ろに回された腕を必死に動かすと、安堵に似た悲鳴をあげた。
「千代、もう少しだけ待っていてくれ。すぐに助ける。」
俺は彼女にそう告げると、再び大男に向き直る。
「さっさと始めようぜ。」
本堂は俺のその言葉に少し驚いたようであったが、嗜虐的になり、構え直すと、好戦的な顔を俺に向ける。
俺も彼も分かっている。
俺たちには言葉なんて必要ない。
むしろ不純物だ。
能力者である俺たちと、それを忌み嫌う彼ら、そこに対話などと言う生ぬるい言葉は存在しない。
ギャラリーではすでに悪意が伝染しきっており、群衆が刺せや殺せなどと言う物騒な言葉を吐いている。
「さぁ、死にたい奴からかかってくると良い、こちらも、それに応えよう。」
「俺が行く。」
その言葉を放ったのは槍馬だ。
彼は迷うことなく先鋒を引き受けた。
「なら某が相手をしよう。」
玉鉄、彼は不意に本堂の後ろから現れると、槍馬の正面に出た。
きっとどこかから転送されたのだろう。
リベリオンにいた時とは服装が違う。
そして今は能力者の証である手錠が施されている。
本堂が十字を切ると、手錠が機械音を鳴らして解除された。
腕が自由になった彼は、肩を回すと、腰から抜刀のような構えをし、超能力で刀を抜き出す。
「なるほどな。その手錠はお前の能力から来ているわけか。」
「そうだ。この発明品は私の能力をもとに考案されたモノ。これで能力者を顎で使うことが出来る。」
槍馬が慈しむ顔で玉鉄を見た。
「お前は反政府組織の人間では無かったのか? なぜ、そこまでして俺たちと戦うんだ? 」
玉鉄はエモノを中段に構える。
「お前ともう一度戦いたかったのでな。一対一で。汝のその素晴らしい拳闘術と某の拳闘術を本気で。」
その言葉を聞いて、彼は憐れみも、遠慮も、彼にとっては侮辱にしかならないことを察したのだろう。
右手で背中の天沼矛を引き抜き、クルクル回すと、左手で右の腰に納刀されている布津御魂を引き抜く。
その剣の軌跡に、斬影が残る。
「これは拳術ではない。剣術だ。お前に嫌と言うほど叩き込んでやるよ。」
「臨むところ。」
俺は槍馬に向けて叫んだ。
「槍馬、気をつけろよ。」
「ああ、だが俺たちの邪魔をするんじゃねえ。俺たちの世界の人々にも泥を塗るな。必ず勝つ。」
槍馬はああ言っているが、万が一のことがあったときは、俺たちが介入せざるおえない。
俺は腰から凛月を取り出すと、密かに構えた。
本堂の眉が少し動く。
俺はその仕草を見逃さなかった。
俺は槍馬を疑っている。
だが命は信頼よりも重い。
たとえ奴に嫌われようとも、彼が死ぬようであるのなら、俺が止めに入る。
そのとき。
俺たちは六人に光の柱が降り注ぐ。
電解され、気がついた時には、俺たちは控え室らしき場所へと転送されていた。
見渡す限り、扉はトイレのそれしか見当たらない。
俺たちは閉じ込められたのだ。
持ってきた端末も持ってきたが、ここは圏外。
当然だ。
ここは俺たちはのいた世界とは違う。
異世界の電波を、俺の世界の端末が拾ってくれるわけがない。
「ここで指を加えて見ていろと言うことか。」
<はーい慎二クン。どうだね待機室の居心地は。>
「最悪だクソ野郎。」
<邪魔をしようなんて考えたらイケナイよ。>
本堂守だ。
そうやっている間にも、カウンドダウンが始まった。
数字が進むごとに、両者の体勢は低くなる。
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