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ファイル:4火星の叛逆者
オマエは昔から変わっていないな
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「いててて…… 」
「女は顔が命だ。絶対に殴るなって私、教えたはずだが。嫌われちまうぞ。」
俺は彼女の元へとゆっくり歩き出した。
「ああ、覚えているよ。髪は触るな、服は汚してやるな。あと…… 時間に寛大であれだったっけな。」
「私はオマエのことが嫌いになった。」
「俺も今の姉さんは嫌いだよ。時間に寛大じゃなくてね。何か生き急いでいるみたいだ。」
「オマエは男だろ? 」
「鵞利場と同じことを言うんだな。」
「オマエ、わざとやっているだろ。そうやって私に見せつけているんだな。」
不意に宇宙で何かが光った。
「人工衛星? 」
俺はそれがなんの光かを今理解した。
「おい!!やめろ!! 」
おそらくリベリオンが用意させた衛星型のレーザー砲だ。
それが起動して、エネルギーを溜め、平等社会へと熱線を落とさんとしている。
「始まったな。」
俺は彼女と自分とを隔てる五メートルの次元を切り取り、彼女の胸ぐらを掴んだ。
「やったなクソ野郎。もう戻れないぞ。」
俺の右手は、無理な動きで、ギシギシと音を立てている。
「だったら。私を殺せば良い。そうすれば、平等社会も無能力者たちも救われる。」
地球から、溢れんばかりの光源が消えた。
さっき人工衛星が狙っていたのは、平等社会の発電所か。
確かテロ対策として、発電所は分散されて建設されていたはず。
それらを全て、あの人工衛星一つで無力化させたのだ。
が俺にはそこまで考えることに頭が回らなかった。
「そんなことできるわけないだろ!! 」
鵞利場は『場合によっては殺せ。』と言った。
「本当はオマエに止めて欲しかった。だって私はオマエを無視して地球に戻ることだって出来たんだからな。この能力を使えば。」
俺は彼女から手を離してしまった。
「そうか……彼女はゆっくり立ち上がる。」
「そうかキミは……聞いた通りの甘ちゃんだな。」
そうやってコトコト歩いてきたのは……
「鯣雑さん!! 」
なぜ彼が……
いや、鵞利場に言われたことを思い出した。
「……アナタもそっち側に付くんですね。」
そうだ。彼の元々の目的は、国家を転覆させること。
そして今は、元長官の本堂守もいない。
俺は当たりを見回した。
彼の護衛は? 爆弾は、停電中でも使えるのか?
「キミが探しているのは……これかしら? 」
「ベルフェさん!! 」
彼女は手に、壊れ血濡れたマイクロボムを持っている。
鯣雑さんの心臓に取り付けられていた彼の枷。
「キミは優しいね。忠告しとくよ。敵に情けをかけるとこうなるってこと。」
九条は二人を引き連れると、ワームホールを開く。
「やっぱり昔から何も変わっていないな。オマエは。」
俺は最後の力を振り絞り、足元で時空に圧力を、加えて、反発力で突進する。
【止まれ】
鯣雑さんの命令に、身体が勝手に反応する。
だが、俺は止まらない。
「邪魔をするな!! 」
「ガツン。」
後頭部をベルフェさんに殴られて、身体がふらつく。
「悪いな北条君。私はもう行くよ。鵞利場ちゃんにもよろしく頼む。」
そう言って彼らは虫食い穴の奥へと消えていった。
電気供給の低下で火星内の酸素が薄くなり始めている。
俺は冷や汗をかきながら、気を失っている鵞利場へと足を引き摺る。
脈はまだある……が、苦しそうだ。
俺は彼女のバックから携帯も用酸素ボンベを取り出して、彼女に取り付ける。
"早くここから出ないと!! "
俺は彼女をおぶると、そのまま宇宙ステーションを目指す。
少し行くと、鯣雑さんの護衛をしていた看守が胸から血を出して倒れていた。
俺はさらに進み、また一歩また一歩と踏み出す。
ここには非常用電源があり、まだ酸素の供給が続いていた。
しかし。
「ここから出してくれ!! 」
「緊急自体だ!! 早く船を出せ。」
脱獄した囚人や、そこで働く人たちでいっぱいになっており、お世辞にも酸素が十二分とは言えない。と言うか、喚き立てる人々のせいで、余計に酸素が消費されている様な気がする。
船が出ない理由。
それは分かった。
「電力が足りないんだ。」
俺はステーションから出た。
息苦しい。
俺もやむおえず携帯用の酸素ボンベを使う。
「ごめんな鵞利場、一つ借りるぞ。」
身体に冷たい風が吹き込む。
暖房が切れたせいだ。
彼女の身体が冷たくなっていく。
「北条ぅ~あったかーい。」
まずい。この状況は
何か手は?
俺は農園の話を思い出し、火星の農園へと足を踏み入れた。
「少しの間だ。」
能力を使い。作物たちを、俺の力で密閉する。
コレで体温低下と、酸素の供給はしばらくは……
宇宙で何かが光った。
救援用のスターシップだ!!
俺が手を振ると、それはゆっくりとこちらに降下し、俺の能力の中で、ハッチを開いた。
「安田さん!! 」
「最悪の事態ね。」
彼女は俺を睨んだ。
「いえ、不幸中の幸いです。早く鵞利場さんを連れて中に。」
宜野座さんが珍しく取り乱している。
そりゃーそうだ。
俺が彼女を殺していれば、こんなことにはならなかったんだから。
「女は顔が命だ。絶対に殴るなって私、教えたはずだが。嫌われちまうぞ。」
俺は彼女の元へとゆっくり歩き出した。
「ああ、覚えているよ。髪は触るな、服は汚してやるな。あと…… 時間に寛大であれだったっけな。」
「私はオマエのことが嫌いになった。」
「俺も今の姉さんは嫌いだよ。時間に寛大じゃなくてね。何か生き急いでいるみたいだ。」
「オマエは男だろ? 」
「鵞利場と同じことを言うんだな。」
「オマエ、わざとやっているだろ。そうやって私に見せつけているんだな。」
不意に宇宙で何かが光った。
「人工衛星? 」
俺はそれがなんの光かを今理解した。
「おい!!やめろ!! 」
おそらくリベリオンが用意させた衛星型のレーザー砲だ。
それが起動して、エネルギーを溜め、平等社会へと熱線を落とさんとしている。
「始まったな。」
俺は彼女と自分とを隔てる五メートルの次元を切り取り、彼女の胸ぐらを掴んだ。
「やったなクソ野郎。もう戻れないぞ。」
俺の右手は、無理な動きで、ギシギシと音を立てている。
「だったら。私を殺せば良い。そうすれば、平等社会も無能力者たちも救われる。」
地球から、溢れんばかりの光源が消えた。
さっき人工衛星が狙っていたのは、平等社会の発電所か。
確かテロ対策として、発電所は分散されて建設されていたはず。
それらを全て、あの人工衛星一つで無力化させたのだ。
が俺にはそこまで考えることに頭が回らなかった。
「そんなことできるわけないだろ!! 」
鵞利場は『場合によっては殺せ。』と言った。
「本当はオマエに止めて欲しかった。だって私はオマエを無視して地球に戻ることだって出来たんだからな。この能力を使えば。」
俺は彼女から手を離してしまった。
「そうか……彼女はゆっくり立ち上がる。」
「そうかキミは……聞いた通りの甘ちゃんだな。」
そうやってコトコト歩いてきたのは……
「鯣雑さん!! 」
なぜ彼が……
いや、鵞利場に言われたことを思い出した。
「……アナタもそっち側に付くんですね。」
そうだ。彼の元々の目的は、国家を転覆させること。
そして今は、元長官の本堂守もいない。
俺は当たりを見回した。
彼の護衛は? 爆弾は、停電中でも使えるのか?
「キミが探しているのは……これかしら? 」
「ベルフェさん!! 」
彼女は手に、壊れ血濡れたマイクロボムを持っている。
鯣雑さんの心臓に取り付けられていた彼の枷。
「キミは優しいね。忠告しとくよ。敵に情けをかけるとこうなるってこと。」
九条は二人を引き連れると、ワームホールを開く。
「やっぱり昔から何も変わっていないな。オマエは。」
俺は最後の力を振り絞り、足元で時空に圧力を、加えて、反発力で突進する。
【止まれ】
鯣雑さんの命令に、身体が勝手に反応する。
だが、俺は止まらない。
「邪魔をするな!! 」
「ガツン。」
後頭部をベルフェさんに殴られて、身体がふらつく。
「悪いな北条君。私はもう行くよ。鵞利場ちゃんにもよろしく頼む。」
そう言って彼らは虫食い穴の奥へと消えていった。
電気供給の低下で火星内の酸素が薄くなり始めている。
俺は冷や汗をかきながら、気を失っている鵞利場へと足を引き摺る。
脈はまだある……が、苦しそうだ。
俺は彼女のバックから携帯も用酸素ボンベを取り出して、彼女に取り付ける。
"早くここから出ないと!! "
俺は彼女をおぶると、そのまま宇宙ステーションを目指す。
少し行くと、鯣雑さんの護衛をしていた看守が胸から血を出して倒れていた。
俺はさらに進み、また一歩また一歩と踏み出す。
ここには非常用電源があり、まだ酸素の供給が続いていた。
しかし。
「ここから出してくれ!! 」
「緊急自体だ!! 早く船を出せ。」
脱獄した囚人や、そこで働く人たちでいっぱいになっており、お世辞にも酸素が十二分とは言えない。と言うか、喚き立てる人々のせいで、余計に酸素が消費されている様な気がする。
船が出ない理由。
それは分かった。
「電力が足りないんだ。」
俺はステーションから出た。
息苦しい。
俺もやむおえず携帯用の酸素ボンベを使う。
「ごめんな鵞利場、一つ借りるぞ。」
身体に冷たい風が吹き込む。
暖房が切れたせいだ。
彼女の身体が冷たくなっていく。
「北条ぅ~あったかーい。」
まずい。この状況は
何か手は?
俺は農園の話を思い出し、火星の農園へと足を踏み入れた。
「少しの間だ。」
能力を使い。作物たちを、俺の力で密閉する。
コレで体温低下と、酸素の供給はしばらくは……
宇宙で何かが光った。
救援用のスターシップだ!!
俺が手を振ると、それはゆっくりとこちらに降下し、俺の能力の中で、ハッチを開いた。
「安田さん!! 」
「最悪の事態ね。」
彼女は俺を睨んだ。
「いえ、不幸中の幸いです。早く鵞利場さんを連れて中に。」
宜野座さんが珍しく取り乱している。
そりゃーそうだ。
俺が彼女を殺していれば、こんなことにはならなかったんだから。
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