平等社会(ユートピア)

ぼっち・ちぇりー

文字の大きさ
93 / 107
ファイル:6 悪夢再び

降臨

しおりを挟む
 慎二からの手紙が、一週間前に届き。
 天子とアスィールと会議を開いてから、兄さんたちと、話し合い、この地ローランド大陸に、民衆たちの目を盗んで野営地を建てた。
 そして生唾を飲んで待っていた『災厄』は、一閃の雷と共にこの地に舞い降りたわけだ。
『災厄』は地上に飛び降りるなり、その大樹へ向けて右手を掲げ、握り潰す。
 そう。彼が求めるモノ……
 慎二郎さんが作り上げた永久機関、インフィニティーだ。
「クククックククククッ。」
「待っていたぞ!! 慎ぅん二じぃ郎ぉぉぉぉぉぉぉう。」
 咆哮により、あたりの鳥たちが飛び立つ。
 自体を察した極東の人間が、民衆の誘導を始める。
 僕は腰のエクスカリバーを抜くと構えた。
「セイ!! 頼む。」
 吸血鬼の呪いが消えてしまった僕は、彼女の力を借りて、神器の力を解放する。
「任せてといて!! 」
「「---インフィニット・レイअमिताभ---」」
 溢れんばかりの光明が、彼の身体を貫いた。
 こんな、あっさり終わるはずがない。
 なら慎二は僕らに警告しなかっただろう。
「なんだ? お前は? 」
 認識した頃には、僕は厄災に首根っこをつかまれていた。
 九条念??
 そうだ。
 かつてこの世界を混乱させたテロリストが、今は、厄災の下僕と成り下がっている。
「すまんな九条。世の力も万全でないゆえ、このような芸道をさせてしまって。」
 災厄は横目で彼女を見る。
「いえいえ、さま。何卒お申し付けください。」
 首はさらに締め上げられる。
 意識が無くなるその刹那。
--- enchantment legionエンチャント・レギオン---
 インフィニティへと、自身の代行者の力を使い、潜伏していた兄さんたちに繋いだ。
 突如現れた四つの魔術反応。
 大兄弟助も、流石にあわわてて、僕から手を離すと、バックステップで下がった。
「させるかよぉ!! 」
 プラウド兄さんが、自身の能力で、水をムチのように扱うと、彼を捕える。
「へっ、ナイスアニキィ!! 」
 カインズ兄さんは、両手に気砲をためると、彼の胸目掛けて打ち出す。
 九条は……流石にこの状況にも慣れていた。
「なかなか反応が良いですね。」
 ブレイブ兄さんが魔法を発動させようとしている九条に、光を凝縮して放った。
 彼女の意識が掻き乱され、魔法が中断され、同時に彼女の視界を奪う。
 大兄弟助は自分を庇おうとする九条を弾き飛ばすと、気砲を全身で受け止めた。
 胸に大きな穴が穿つ。
 彼は涼しい顔をしながら地上に飛び降りると、身体をさせながら……
 どうやら僕らにようだった。
「お前だな。割田優が力を与えたという人物は。」
 僕はエクスカリバーを鞘にしまうと、軽くお辞儀をした。
「父……シド・ブレイクの子で代行者のカーミラ・ブレイクです。私に貴方と戦う理由はありません。引いていただけませんか? 」
 彼は嘲笑した。
「レプリカント風情が何を言い出すかと思いきや。」
「お前になくても世にはある。」
「それに、よ。なぜ下等生物に協力する? 」
「カーミラは、人間でありながら、神族の私に見下すこともなく、遜ることもなく、ただ平等に接してくれたただ一人の
 同胞? 
 僕はやっとのことでレンのことを言っているのだと確信した。
 神族……
 薄々気がついていた。
 なら彼にも魔法が?
「まぁ良い。それより返せ。を。」
 世が作った?
 考えるより先にジゲンキリが答える。
---断る。私はアドナイのパートナーだから。だから貴方の元には戻れない---
「剣がw 剣が意志を持つか!! 面白いな。ちょっと興味が湧いてきた。世が慎二郎を手に入れる前に、少し遊んでやる。」
「弟助さま!! 」
 九条が彼を止めた。
 彼女は、ことが長引くことで、事態が悪化することに気づいている。
「まぁそうせくな。お前も、世の介護ばかりで疲れただろう? 憂さ晴らしに遊んでみたらどうか? 」
良いんですけどね!! 」
 九条は、兄さんたちの元へとワープし、彼らを殴り始めた。
 大兄弟助はというと、右腕みぎかいなに真紅の剣を取り出し、僕に突きつけてくる。そしてそれから、彼は胸をさすると、もどかしそうにした。
「やはり、ゲイボルグにつけられた傷がまだ癒えぬな。」
 彼は大樹の根に触れた。
「やめろ!! それはみんなが生きるための力だ。慎二郎さんの世界に対する愛だ。」
「そんなこと誰が決めた? 力が全てじゃ。だからお前は今、皇帝として君臨しているのだろう? 」
「くだらない『ままごと』のためにな。」
 僕は…….僕は……「僕は、誰かを支配するために、力を使ったことなどありません。」
「ですが……貴方が、誰かを力で捩じ伏せようとするモノなら。」
「見過ごすわけには行けません。僕は代行者ですから。」
 そうだ。僕は神の代理。
 誰に対しても公平でなければならない。
 たとえ、この剣で誰かを傷つけるようになろうとも。
「そのような甘い考えでは身を滅ぼすぞ。世がそれを教えてやる。」
 平原に風が吹く。
 僕を撫でて、彼を撫でる。
 まるでそれは、ことの結末を待ち侘びるかのように。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...