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ファイル:6 悪夢再び
青天の霹靂
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雲一つない快晴
world221の空に一筋の雷が降り注いだ
馬鹿野郎の警告通り、俺たちの世界の空に、災厄が落ちてきた。
俺たちは地域住民の要請を元に、身辺調査に赴くことになる。
風見と共に、必要な鉄塊を確認し、レーション、未知力回復薬、毒使い相手や、いざという時のために、腸呼吸酸素薬……
まるで戦争に行くみたいだって?
そりゃそうだ。
一般的には「身辺調査」として処理されているが、真の目的は、創造主大兄弟助を倒すこと。
平等社会人がくるまで、皇帝カーミラと共に、彼を、彼らを抑えることだ。
その役に俺たちが選ばれた。
「鉄司さん? 準備は出来ましたか? 」
風見の言葉でふと我に返る。
「そろそろ転送装置に乗るか。」
俺たちは転送装置に乗り、ローランド大陸の大樹を目指した。
港を後にし、パスポートを見せてから、滑走路に出る。
「良かった。現地の住民は混乱していないみたいです。」
ローランド大陸にエネルギーを無限に放出し続ける大樹が出現してから、ここもずいぶん賑やかになった。
情報規制で災厄を知らない、彼らはいつも通りの日常を送っている。
俺たちはバリケードで閉鎖されている大樹を見た。
「行こう。ここの住民たちを守るために。」
俺は自身の未知術で、空飛ぶ鉄塊を思い浮かべた。
持ってきた鉄塊の一部が、たちまち鋼鉄の鳥へと姿を変える。
ジュラルミンというらしい。
Feしか操ってこなかった俺としては、この物質は軽くて、本当に空を飛ぶのか心配になる。
コレも極東が行った、叢雲の力を引き出す研究の副産物だ。
「鉄司さんは、器用ですね。もうこんなに他金属を使いこなすなんて。」
目を輝かせた猫のようになっている。
もうこの女は20を超えているというのに、身長も、精神性もまるで10代前半の少女みたいだ。
「ほら、俺の仕事は終わったぞ。」
この飛翔体には、動力源が用意されていない。
そんなことをしなくても
「いいえ、圧縮した空気を押し込めるためにも、常に動力のメンテナンスをお願いします。」
彼女が扉を開け、前の座席に座る。
俺は左手を使うと、後部座席に飛び乗った。
「行儀が悪い。」
「うるせえ早く出せ。モタモタしていると、カーミラ陛下が死んでしまうぞ。」
彼女が鉄の筒に力を込めると、圧縮された空気が推進力に変わり、勢いよく前に飛び出した。
「ほう、うまく行くもんだな。極東の開発部もたまには役に立つもんだぜ。」
彼女はムスッとした。
自我のない女だと思っていた彼女も、最近は、気に入らないことがあると、頬を膨らませて怒る。
「コレも私の未知術コントロール能力があっての産物です。」
「ハイハイ嬢さん。君は最高のパイロットだよ。」
押し寄せる気流で、目が乾き、痛くなる。
俺はゴーグルをつけた。
心なしか、推進力がいつもより強い?
彼女は怒っているのか?
___嫌な予感がする。
鉄塊が空中でスナップロールする。
近くに敵の反応はない。
彼女が俺を虐めるために、わざとやっているのだ。
「おいやめろ!! 」
「まざか、鉄司さんにこんな弱点があったなんて。」
そうだ。
俺は自律神経や三半規管が弱い。
彼女と一緒にこの飛翔体に乗っているのも、俺の能力がないと、このスクラップを動かせないからだ。
脳が誤作動を起こし、衝動から苦い液体が噴き上げてくる。
「吐いたら窒息死しますよ。」
「んなら、安全運転で頼む。マヌケな死に方をしたくなければな。」
「アハハ。」
彼女は風を斬る喜びからか、俺をからかっている悦びからか、無邪気に笑い始めた。
「鉄司さん。最近は和やかになりましたね。昔はもっと厳格な人だと思っていました。」
「失礼な奴だな。俺は昔からこうだよ。誰でも苦手なもん一つや二つぐらいあるもんだ。そうだろ? 」
「私、正直怖いんです。」
「でもね? 」
「鉄司さんがいれば、今回のミッションも乗り越えられそうです。」
全くこの女は……
「そういう死亡フラグみたいなのやめろよ。」
「今回の任務は陽動だ。二人とも生きて変えるのが絶対。坂之上極長もそう言っていただろ? 」
「ハイ、二人で生きて帰りましょう。」
風見が、未知術の出力をさらに上げる。
エンジンに強い圧力がかかり、動力が割れそうになる。
俺はそれを能力で押さえつける。
押し出された空気が、飛翔体の速度をさらに上げる。
俺たちは大樹へと姿を消した。
world221の空に一筋の雷が降り注いだ
馬鹿野郎の警告通り、俺たちの世界の空に、災厄が落ちてきた。
俺たちは地域住民の要請を元に、身辺調査に赴くことになる。
風見と共に、必要な鉄塊を確認し、レーション、未知力回復薬、毒使い相手や、いざという時のために、腸呼吸酸素薬……
まるで戦争に行くみたいだって?
そりゃそうだ。
一般的には「身辺調査」として処理されているが、真の目的は、創造主大兄弟助を倒すこと。
平等社会人がくるまで、皇帝カーミラと共に、彼を、彼らを抑えることだ。
その役に俺たちが選ばれた。
「鉄司さん? 準備は出来ましたか? 」
風見の言葉でふと我に返る。
「そろそろ転送装置に乗るか。」
俺たちは転送装置に乗り、ローランド大陸の大樹を目指した。
港を後にし、パスポートを見せてから、滑走路に出る。
「良かった。現地の住民は混乱していないみたいです。」
ローランド大陸にエネルギーを無限に放出し続ける大樹が出現してから、ここもずいぶん賑やかになった。
情報規制で災厄を知らない、彼らはいつも通りの日常を送っている。
俺たちはバリケードで閉鎖されている大樹を見た。
「行こう。ここの住民たちを守るために。」
俺は自身の未知術で、空飛ぶ鉄塊を思い浮かべた。
持ってきた鉄塊の一部が、たちまち鋼鉄の鳥へと姿を変える。
ジュラルミンというらしい。
Feしか操ってこなかった俺としては、この物質は軽くて、本当に空を飛ぶのか心配になる。
コレも極東が行った、叢雲の力を引き出す研究の副産物だ。
「鉄司さんは、器用ですね。もうこんなに他金属を使いこなすなんて。」
目を輝かせた猫のようになっている。
もうこの女は20を超えているというのに、身長も、精神性もまるで10代前半の少女みたいだ。
「ほら、俺の仕事は終わったぞ。」
この飛翔体には、動力源が用意されていない。
そんなことをしなくても
「いいえ、圧縮した空気を押し込めるためにも、常に動力のメンテナンスをお願いします。」
彼女が扉を開け、前の座席に座る。
俺は左手を使うと、後部座席に飛び乗った。
「行儀が悪い。」
「うるせえ早く出せ。モタモタしていると、カーミラ陛下が死んでしまうぞ。」
彼女が鉄の筒に力を込めると、圧縮された空気が推進力に変わり、勢いよく前に飛び出した。
「ほう、うまく行くもんだな。極東の開発部もたまには役に立つもんだぜ。」
彼女はムスッとした。
自我のない女だと思っていた彼女も、最近は、気に入らないことがあると、頬を膨らませて怒る。
「コレも私の未知術コントロール能力があっての産物です。」
「ハイハイ嬢さん。君は最高のパイロットだよ。」
押し寄せる気流で、目が乾き、痛くなる。
俺はゴーグルをつけた。
心なしか、推進力がいつもより強い?
彼女は怒っているのか?
___嫌な予感がする。
鉄塊が空中でスナップロールする。
近くに敵の反応はない。
彼女が俺を虐めるために、わざとやっているのだ。
「おいやめろ!! 」
「まざか、鉄司さんにこんな弱点があったなんて。」
そうだ。
俺は自律神経や三半規管が弱い。
彼女と一緒にこの飛翔体に乗っているのも、俺の能力がないと、このスクラップを動かせないからだ。
脳が誤作動を起こし、衝動から苦い液体が噴き上げてくる。
「吐いたら窒息死しますよ。」
「んなら、安全運転で頼む。マヌケな死に方をしたくなければな。」
「アハハ。」
彼女は風を斬る喜びからか、俺をからかっている悦びからか、無邪気に笑い始めた。
「鉄司さん。最近は和やかになりましたね。昔はもっと厳格な人だと思っていました。」
「失礼な奴だな。俺は昔からこうだよ。誰でも苦手なもん一つや二つぐらいあるもんだ。そうだろ? 」
「私、正直怖いんです。」
「でもね? 」
「鉄司さんがいれば、今回のミッションも乗り越えられそうです。」
全くこの女は……
「そういう死亡フラグみたいなのやめろよ。」
「今回の任務は陽動だ。二人とも生きて変えるのが絶対。坂之上極長もそう言っていただろ? 」
「ハイ、二人で生きて帰りましょう。」
風見が、未知術の出力をさらに上げる。
エンジンに強い圧力がかかり、動力が割れそうになる。
俺はそれを能力で押さえつける。
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俺たちは大樹へと姿を消した。
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