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最強の魔法使い
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してやられた。
光の能力の役目は、大麻から意識を逸らすため。
ご丁寧にも、光の屈折で自身の隠蔽までしていたようだ。
「よっと。」
光明がスイっと立ち上がる。
「最強の魔法使いさんが、こうも簡単に洗脳されちまうとはねえ。」
「貴方!! なぜ立てるの? 」
彼はめんどくさそうに、種明かしをする。
「んなもん、雇い主の身体を隠したやり方とおんなじ。幻覚だよ。光の屈折で、どうとでもなんだろ? 相手にぶっ倒れた俺を見せれば、それで解決よ。」
小子さんは足がすくんでいる。
「して……やられた。」
「北条、公安の排除。頼んだぞ。」
「……まかせろ。」
大麻が北条に命令する。
「北条さん!!やめて!! 」
彼はその声を聞くと、不敵に笑った。
「やめて? だ? アンタらは能力者から何度、その言葉を聞いた? 数え切れないぐらいだろう? 」
しゃがんでいた光明は立ち上がり、ゆっくりとこちらに歩いて来る。
「大麻め。本当にお前は面白くない奴だよ。」
「仕事だろ? 私情は挟むなよ光明。」
目の前の巨躯に対して、私は一歩、また一歩と後ずさる。
鵞利場さんだけでも助けないと。
北条さんの表情は、いつもの穏やかな表情ではない。
寡黙で冷徹な彼の眼は、鵞利場さんをキッチリと捉えている。
「鵞利場って言ったな。」
「チッ。公安御用達の一族かよ。俺の嫌いな人種だぜ。」
「おおっと。北条。彼女には傷一つつけるなよ。」
「チッ。好いた女を手に入れるために、俺みたいなアウトローを雇うとはな。つくづく反吐の出る野郎だ。」
大麻はその言葉を聞いて冷笑してみせた。
「仕事に私情は挟まないのでは無かったのか? 」
「そのつもりだ。どっちにせよ、この女は腰が抜けて動けまい。」
光明と北条さんの鋭い眼が、私を捉える。
私は本堂家の娘。能力者二人ごとにきに……
やっぱり怖い。
泣きたい。
泣いちゃダメなのに。
「【裏天岩流】」
弱いところは見せちゃダメなのに。
【壱ノ岩】
私はその場に座り込んで、縮こまって頭を抱えて叫んでしまった。
【石火】
「誰か助けて。怖いよ!! 」
痛いのなんてホントは嫌、家に帰って、縁側から育てているマリーゴールド見ながら、祖父から貰った本を読みたい。
だが、私が恐れているそれは、いつまで経っても、やって来ることはなく、代わりに私は、片腕で腹部を担がれて、数メートル離れた場所で静止していた。
「っと危機一髪。」
「黒澄さん!! 」
「大丈夫、倫ちゃん。怪我はない? 」
遅れて、肝心な時に役に立たない魔法使いたちがやって来る。
「ったく。一人で勝手に跳び回るなよなぁ。心配するだろう? 」
「オイ、慎二、強敵登場だぜ。」
「……気をつけて練華。北条力は今、大麻に洗脳されている。」
「フッ。情けねえ奴だ。あんな三下の手籠にされるとはな。俺が叩き起こしてやる。」
黒澄さんが私を優しく下ろした。
「後は私たちに任せて。」
「俺は北条をやる。お前は、あそこのゲンジホタルを頼む。」
「任せろ!! 光の速さには慣れている。」
黒澄さんは、右腰からのホルスターを取り出し、セーフティーを外す。
大麻へ向けて引き金を引いた。
「やれやれ。私も闘うハメになるとはな。」
突然、彼の瞳孔が開き、身体のいたるところノ筋肉が肥大化し、彼女の銃弾を避ける。
「コレをやると身体に負担がかかる。」
彼は筋肉ではち切れんばかりのスーツのホコリを手で払う。
刹那、大麻のふくらはぎを、黒澄さんの銃弾が貫いた。
黒澄さんは、飛んできた銃弾を捕まえると、再び、次元の彼方へ飛ばした。
「奇遇ね。私も。魔法は身体に負担がかかるから、慎二がやめろって。」
「あんまり無茶すんなよな。」
彼の小言が、慎二さんの方から聞こえてくる。
黒澄さんは、再び銃を構えると、二発目を放った。
二つの銃弾が、大麻の周りを駆け巡る。
「放浪者の応用術か。だが、それが何になる? 」
彼はドーピングを施した自分の肉体を頼りに、その攻撃を華麗に回避する。
「攻撃が来ると分かれば、それを意識するだけだ。銃弾は目視で確認した後でも、反応が間に合うぐぁ。」
「私の手数にどこまでついて来れるかしらね。」
瞬間移動した黒澄さんのストレートが、大麻の憎き顔にクリーンヒットする。
ジャイアンパンチで大きく顔を凹ませた大麻は、壁に大きく叩きつけられる。
入れ違うように、私の目の前へと、金川さんが飛び込んできた。
「クソ、中々やるな。オマエ。」
「何ぼーっと突っ立ってやがる。ビック・ファンザーを追え!! 」
私は首を横に振った。
それから、北条さんの前に立つ。
「どけよ。けつの青えガキを殴る趣味なんて俺にはねえ。」
「退きません。」
私は、向こうで万城さんに介抱されている鵞利場さんを見た。
変わり果てた北条さんを見て、パニック状態になっている。
「貴方を愛する人のために。」
一瞬の間
それから彼は冷笑した。
「俺を? 散々悪さをした挙句、両親から勘当されて、アウトローに流れた能力者の俺を誰が愛してくれるっていうんだ? 」
「何が平等だ!! 何が能力者の人権だ。
何が差別の是正だ。」
「俺がオマエらみたいなお堅い人間が嫌いな理由を教えてやるよ。」
「綺麗事ばっかり並べて、泥沼からは目を背けて、知らないフリをして、綺麗なモノばかりを見て、満足して、気持ち良くなっている。そういったところを見ていると、ムシャクシャして、虫唾が走り、怒りを抑え切れなくなるんだよ。」
いつもの北条さんからは絶対に出てこない言葉。
だけど、コレが彼の本音のようにも思えた。
だからこそ私は彼が許せない。
私の中で、プツンと何かがキレた。
隣の金川さんも、多分同じ気持ちなんだろう。
「どうやら忘れちまったみたいだな。木偶の坊。思い出させてやるぜ。オマエが俺に教えてくれたことをな。」
「貴方が、鵞利場さんを傷つけようというのなら…… 私も全力でお相手いたします。」
光の能力の役目は、大麻から意識を逸らすため。
ご丁寧にも、光の屈折で自身の隠蔽までしていたようだ。
「よっと。」
光明がスイっと立ち上がる。
「最強の魔法使いさんが、こうも簡単に洗脳されちまうとはねえ。」
「貴方!! なぜ立てるの? 」
彼はめんどくさそうに、種明かしをする。
「んなもん、雇い主の身体を隠したやり方とおんなじ。幻覚だよ。光の屈折で、どうとでもなんだろ? 相手にぶっ倒れた俺を見せれば、それで解決よ。」
小子さんは足がすくんでいる。
「して……やられた。」
「北条、公安の排除。頼んだぞ。」
「……まかせろ。」
大麻が北条に命令する。
「北条さん!!やめて!! 」
彼はその声を聞くと、不敵に笑った。
「やめて? だ? アンタらは能力者から何度、その言葉を聞いた? 数え切れないぐらいだろう? 」
しゃがんでいた光明は立ち上がり、ゆっくりとこちらに歩いて来る。
「大麻め。本当にお前は面白くない奴だよ。」
「仕事だろ? 私情は挟むなよ光明。」
目の前の巨躯に対して、私は一歩、また一歩と後ずさる。
鵞利場さんだけでも助けないと。
北条さんの表情は、いつもの穏やかな表情ではない。
寡黙で冷徹な彼の眼は、鵞利場さんをキッチリと捉えている。
「鵞利場って言ったな。」
「チッ。公安御用達の一族かよ。俺の嫌いな人種だぜ。」
「おおっと。北条。彼女には傷一つつけるなよ。」
「チッ。好いた女を手に入れるために、俺みたいなアウトローを雇うとはな。つくづく反吐の出る野郎だ。」
大麻はその言葉を聞いて冷笑してみせた。
「仕事に私情は挟まないのでは無かったのか? 」
「そのつもりだ。どっちにせよ、この女は腰が抜けて動けまい。」
光明と北条さんの鋭い眼が、私を捉える。
私は本堂家の娘。能力者二人ごとにきに……
やっぱり怖い。
泣きたい。
泣いちゃダメなのに。
「【裏天岩流】」
弱いところは見せちゃダメなのに。
【壱ノ岩】
私はその場に座り込んで、縮こまって頭を抱えて叫んでしまった。
【石火】
「誰か助けて。怖いよ!! 」
痛いのなんてホントは嫌、家に帰って、縁側から育てているマリーゴールド見ながら、祖父から貰った本を読みたい。
だが、私が恐れているそれは、いつまで経っても、やって来ることはなく、代わりに私は、片腕で腹部を担がれて、数メートル離れた場所で静止していた。
「っと危機一髪。」
「黒澄さん!! 」
「大丈夫、倫ちゃん。怪我はない? 」
遅れて、肝心な時に役に立たない魔法使いたちがやって来る。
「ったく。一人で勝手に跳び回るなよなぁ。心配するだろう? 」
「オイ、慎二、強敵登場だぜ。」
「……気をつけて練華。北条力は今、大麻に洗脳されている。」
「フッ。情けねえ奴だ。あんな三下の手籠にされるとはな。俺が叩き起こしてやる。」
黒澄さんが私を優しく下ろした。
「後は私たちに任せて。」
「俺は北条をやる。お前は、あそこのゲンジホタルを頼む。」
「任せろ!! 光の速さには慣れている。」
黒澄さんは、右腰からのホルスターを取り出し、セーフティーを外す。
大麻へ向けて引き金を引いた。
「やれやれ。私も闘うハメになるとはな。」
突然、彼の瞳孔が開き、身体のいたるところノ筋肉が肥大化し、彼女の銃弾を避ける。
「コレをやると身体に負担がかかる。」
彼は筋肉ではち切れんばかりのスーツのホコリを手で払う。
刹那、大麻のふくらはぎを、黒澄さんの銃弾が貫いた。
黒澄さんは、飛んできた銃弾を捕まえると、再び、次元の彼方へ飛ばした。
「奇遇ね。私も。魔法は身体に負担がかかるから、慎二がやめろって。」
「あんまり無茶すんなよな。」
彼の小言が、慎二さんの方から聞こえてくる。
黒澄さんは、再び銃を構えると、二発目を放った。
二つの銃弾が、大麻の周りを駆け巡る。
「放浪者の応用術か。だが、それが何になる? 」
彼はドーピングを施した自分の肉体を頼りに、その攻撃を華麗に回避する。
「攻撃が来ると分かれば、それを意識するだけだ。銃弾は目視で確認した後でも、反応が間に合うぐぁ。」
「私の手数にどこまでついて来れるかしらね。」
瞬間移動した黒澄さんのストレートが、大麻の憎き顔にクリーンヒットする。
ジャイアンパンチで大きく顔を凹ませた大麻は、壁に大きく叩きつけられる。
入れ違うように、私の目の前へと、金川さんが飛び込んできた。
「クソ、中々やるな。オマエ。」
「何ぼーっと突っ立ってやがる。ビック・ファンザーを追え!! 」
私は首を横に振った。
それから、北条さんの前に立つ。
「どけよ。けつの青えガキを殴る趣味なんて俺にはねえ。」
「退きません。」
私は、向こうで万城さんに介抱されている鵞利場さんを見た。
変わり果てた北条さんを見て、パニック状態になっている。
「貴方を愛する人のために。」
一瞬の間
それから彼は冷笑した。
「俺を? 散々悪さをした挙句、両親から勘当されて、アウトローに流れた能力者の俺を誰が愛してくれるっていうんだ? 」
「何が平等だ!! 何が能力者の人権だ。
何が差別の是正だ。」
「俺がオマエらみたいなお堅い人間が嫌いな理由を教えてやるよ。」
「綺麗事ばっかり並べて、泥沼からは目を背けて、知らないフリをして、綺麗なモノばかりを見て、満足して、気持ち良くなっている。そういったところを見ていると、ムシャクシャして、虫唾が走り、怒りを抑え切れなくなるんだよ。」
いつもの北条さんからは絶対に出てこない言葉。
だけど、コレが彼の本音のようにも思えた。
だからこそ私は彼が許せない。
私の中で、プツンと何かがキレた。
隣の金川さんも、多分同じ気持ちなんだろう。
「どうやら忘れちまったみたいだな。木偶の坊。思い出させてやるぜ。オマエが俺に教えてくれたことをな。」
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