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突入許可が出た途端、フリーランスの賞金稼ぎや、公安に雇われた能力者たちが、我先にと傾れ込む。
後から、ソロソロとスキルホルダーが入っていく。
俺たちもぼーっとしているわけには行かない。
特に大麻好大はまだ殴り足りていないので。
「行きますよ、お二人とも。」
倫が俺たちを急かす。
「言われなくとも。」
意気込む小子の後を追い、電波塔の内部へと侵入する。
「【森羅万象流】」---時空壊---
【陰陽太極双龍】---堕雷---
二つの大きなエネルギーが、フリーランス諸共テロリストを吹き飛ばす。
どうやら別の闘いが始まっていたようだ。
「俺が勝ったら、テメェが俺に平等焼肉を奢れよな。」
「良いぜ。男に二言はないからな。さっさと財布用意しとけよ。」
金川と慎二の小競り合いが起きている。
「【珪眼流】」
「炎よ!! 」
「【蛇腹流】」
他の能力者たちも、日頃の鬱憤を晴らすかのような活躍ぶりだ。
「そりぁぁぁぁぁ。っグアっ。」
能力者の頬に、傘を大き口振り上げたベルフェさんの右跳び膝蹴りがクリーンヒットする。
「二人とも、上に行って。ここは私たちが抑えるから。」
抑える?
既に壊滅状態にある惨状を背景に、涼しい顔で、ベルフェさんはお決まりの言葉を俺に吐いた。
「みんな。ありがとう。」
俺たちは奥の螺旋階段から頂上を目指した。
そして、いつ終わるか分からないスパイラルの先に。
「ついた? 」
「いや、まだ中継地点だ。」
物陰から、一つのシルエットがぬるりと出現する。
「大麻好大ッ!! 」
「いや、北条君。いつぞやの時は本当に世話になったね。」
小子が彼の姿を見て縮こまる。
倫は本能で、この男の本性を見破ると、俺の後ろに隠れた。
俺は彼女が隠れられるように、出来るだけ身体を大きくする。
「ほう? 本堂の孫娘か。ソイツを洗脳して、社会を乗っ取っってやるのも良いが…… 」
彼は舌舐めずをする。
「まだ君の答えを聞いていなかったね小子。誓いの言葉を。」
「ごめんなさい。私、力と婚約しているので。」
「チッ。」
彼は顔を歪めて、地面に唾を吐く。
「まぁ良い。手に入らないのなら、弱らせて、また強引に薬を飲ませれば良い。」
「やれ!! 光明照輝!! 」
物陰から、もう一人、無精髭の便りなさそうなおじさんが、頭をポリポリ掻きながら出てくる。
彼のタダの能力者なら俺たちの敵ではない。
「またそのせこい能力で、他人を操っているのね。可哀想な人。」
「俺は操られてなんか居ねえぜ。」
後ろから強烈な殺気を感じ、二人を脇に抱えて、その場を離れる。
少し遅れて、正拳突きが俺たちの居た場所に叩きつけられる。
「おっ。俺の光速を躱すとは、流石、北条家の坊ちゃんだね。」
俺は思わず彼に訊いた。
「アンタ…… 何もんだ? 」
「さっき、ご紹介に預かっただろう? 光明照輝。見ての通り、光の能力者だよ。」
「そんな。貴方の名前は、公安のデータベースにもありません。」
速攻で、端末を操作してた倫が、データベースの表示する『NO DATA』に驚愕している。
「そりゃ。俺は何人にも観測出来ないし、誰も俺の正体を暴くことも出来ない。なんたっておりゃ『光』だからな。」
「ずっと見てたぜ。アンタの活躍を。」
「アンタの目指す理想を。」
「だけどなぁあんちゃん。甘くて薄っぺらいんだよ。アンタの理想は。」
「オーバーロードの言う能力者移住計画の方がよっぽど合理的だ。」
「俺たちは大兄弟助のせいで、こんな身体で生まれて来ちゃったわけだけどさ。この星にいるべきではないのよ。」
見えなかった。
倫がぶたれているのを見て、ようやく彼の攻撃を受けたのだと確信する。
倫が触れられた途端に、能力を発動させたので、加速度はさほど乗っていない。
「どうした? 嬢ちゃん。絶対領域は使わないのかい? そんで俺を無力化すれば良いだろ。」
「貴方に言われて使うまでもありません。」
額に汗が滲み出ている。
倫は感情が表に出やすい。
俺でも彼女が絶対領域を使わない理由が分かる。
「使わないんじゃなくて、使えないんだろう? 」
「グガァ。」
奴に脊髄を膝でどつかれて、背骨が明後日の方向に曲がる。
「まぁ良いけど。用があるのはテメェの方だ。なぜだか分かるな。」
「分からねえな。あいにく裏社会やら公安やらで敵を作りすぎちまったせいで、身に覚えがあることが多すぎんのよ。」
絶対物質で、背中の損傷に備え、世界境界で次の攻撃に構える。
「お前の全てだ。その力を持っておきながら、北条家を動かす訳でもなく、能力者と無能力者の関係に一石投じる訳でもなく、奴隷根性の惰性でタラタラと生きて、お前の人生は至極つまらなかったよ。」
馬乗りにされて、顔を何度も殴られる。
「大兄弟助がッ。言ったッ。通りだ。」
「お前がぁ。望めばッ。お前はッ。王の使いにすらなれた。その可能性がお前にはあった。だからお前のための席、世界境界は存在した。それがなんだ!! 新たに魔法使いを発現させてまで、未来決定の修正能力で、事象を捻じ曲げてまでッ。お前が公安の味方をした理由はなんだ? 」
なんだ。
黙ってりゃ厄介オタクみたいなこと言いやがって。
ファンはファンでもこう言うのは、お断りだね。
「力ッ!! 」「北条さん!! 」
彼は、小子の首に手を回すと、物凄い形相になり、俺に向けて叫んだ。
「お前は本当に面白くない。今回の移民の件だってそうだ。ここまでして、平等社会に執着する理由はなんだ。」
「お前が今、人質に取っているソイツだよ。」
「しっかり、捕まえとけよ。小子。」
彼女は光明の整体電気を操作し、彼が能力を使えない状態にする。
拳で、彼の頬を殴り返す。
手応えがあった。
「ぐかぁ。」
「彼女のように、能力者であっても、缶のプルタブ一つすら開けられない非力な人間だっている。」
「倫は能力者であり、無能力でもある。」
もう一度殴る。
「俺はアイツらの孤独なんて知らねえけどなぁ。」
「アイツらを苦しめる奴を俺は許さねえ。」
最後にアッパーを喰らわせる。
「人間は0か100かじゃねえんだよ。」
朦朧とした意識の中で、なんとか彼に勝利する。
「力っ!! 小子がこちらに走ってきて、俺を受け止めた。」
魔法でまた身体を補完する。
「ククク。」
コンマ一秒で、大麻好大の目論見を理解し、小子の身体を庇った。
そこから俺の意識は無い。
後から、ソロソロとスキルホルダーが入っていく。
俺たちもぼーっとしているわけには行かない。
特に大麻好大はまだ殴り足りていないので。
「行きますよ、お二人とも。」
倫が俺たちを急かす。
「言われなくとも。」
意気込む小子の後を追い、電波塔の内部へと侵入する。
「【森羅万象流】」---時空壊---
【陰陽太極双龍】---堕雷---
二つの大きなエネルギーが、フリーランス諸共テロリストを吹き飛ばす。
どうやら別の闘いが始まっていたようだ。
「俺が勝ったら、テメェが俺に平等焼肉を奢れよな。」
「良いぜ。男に二言はないからな。さっさと財布用意しとけよ。」
金川と慎二の小競り合いが起きている。
「【珪眼流】」
「炎よ!! 」
「【蛇腹流】」
他の能力者たちも、日頃の鬱憤を晴らすかのような活躍ぶりだ。
「そりぁぁぁぁぁ。っグアっ。」
能力者の頬に、傘を大き口振り上げたベルフェさんの右跳び膝蹴りがクリーンヒットする。
「二人とも、上に行って。ここは私たちが抑えるから。」
抑える?
既に壊滅状態にある惨状を背景に、涼しい顔で、ベルフェさんはお決まりの言葉を俺に吐いた。
「みんな。ありがとう。」
俺たちは奥の螺旋階段から頂上を目指した。
そして、いつ終わるか分からないスパイラルの先に。
「ついた? 」
「いや、まだ中継地点だ。」
物陰から、一つのシルエットがぬるりと出現する。
「大麻好大ッ!! 」
「いや、北条君。いつぞやの時は本当に世話になったね。」
小子が彼の姿を見て縮こまる。
倫は本能で、この男の本性を見破ると、俺の後ろに隠れた。
俺は彼女が隠れられるように、出来るだけ身体を大きくする。
「ほう? 本堂の孫娘か。ソイツを洗脳して、社会を乗っ取っってやるのも良いが…… 」
彼は舌舐めずをする。
「まだ君の答えを聞いていなかったね小子。誓いの言葉を。」
「ごめんなさい。私、力と婚約しているので。」
「チッ。」
彼は顔を歪めて、地面に唾を吐く。
「まぁ良い。手に入らないのなら、弱らせて、また強引に薬を飲ませれば良い。」
「やれ!! 光明照輝!! 」
物陰から、もう一人、無精髭の便りなさそうなおじさんが、頭をポリポリ掻きながら出てくる。
彼のタダの能力者なら俺たちの敵ではない。
「またそのせこい能力で、他人を操っているのね。可哀想な人。」
「俺は操られてなんか居ねえぜ。」
後ろから強烈な殺気を感じ、二人を脇に抱えて、その場を離れる。
少し遅れて、正拳突きが俺たちの居た場所に叩きつけられる。
「おっ。俺の光速を躱すとは、流石、北条家の坊ちゃんだね。」
俺は思わず彼に訊いた。
「アンタ…… 何もんだ? 」
「さっき、ご紹介に預かっただろう? 光明照輝。見ての通り、光の能力者だよ。」
「そんな。貴方の名前は、公安のデータベースにもありません。」
速攻で、端末を操作してた倫が、データベースの表示する『NO DATA』に驚愕している。
「そりゃ。俺は何人にも観測出来ないし、誰も俺の正体を暴くことも出来ない。なんたっておりゃ『光』だからな。」
「ずっと見てたぜ。アンタの活躍を。」
「アンタの目指す理想を。」
「だけどなぁあんちゃん。甘くて薄っぺらいんだよ。アンタの理想は。」
「オーバーロードの言う能力者移住計画の方がよっぽど合理的だ。」
「俺たちは大兄弟助のせいで、こんな身体で生まれて来ちゃったわけだけどさ。この星にいるべきではないのよ。」
見えなかった。
倫がぶたれているのを見て、ようやく彼の攻撃を受けたのだと確信する。
倫が触れられた途端に、能力を発動させたので、加速度はさほど乗っていない。
「どうした? 嬢ちゃん。絶対領域は使わないのかい? そんで俺を無力化すれば良いだろ。」
「貴方に言われて使うまでもありません。」
額に汗が滲み出ている。
倫は感情が表に出やすい。
俺でも彼女が絶対領域を使わない理由が分かる。
「使わないんじゃなくて、使えないんだろう? 」
「グガァ。」
奴に脊髄を膝でどつかれて、背骨が明後日の方向に曲がる。
「まぁ良いけど。用があるのはテメェの方だ。なぜだか分かるな。」
「分からねえな。あいにく裏社会やら公安やらで敵を作りすぎちまったせいで、身に覚えがあることが多すぎんのよ。」
絶対物質で、背中の損傷に備え、世界境界で次の攻撃に構える。
「お前の全てだ。その力を持っておきながら、北条家を動かす訳でもなく、能力者と無能力者の関係に一石投じる訳でもなく、奴隷根性の惰性でタラタラと生きて、お前の人生は至極つまらなかったよ。」
馬乗りにされて、顔を何度も殴られる。
「大兄弟助がッ。言ったッ。通りだ。」
「お前がぁ。望めばッ。お前はッ。王の使いにすらなれた。その可能性がお前にはあった。だからお前のための席、世界境界は存在した。それがなんだ!! 新たに魔法使いを発現させてまで、未来決定の修正能力で、事象を捻じ曲げてまでッ。お前が公安の味方をした理由はなんだ? 」
なんだ。
黙ってりゃ厄介オタクみたいなこと言いやがって。
ファンはファンでもこう言うのは、お断りだね。
「力ッ!! 」「北条さん!! 」
彼は、小子の首に手を回すと、物凄い形相になり、俺に向けて叫んだ。
「お前は本当に面白くない。今回の移民の件だってそうだ。ここまでして、平等社会に執着する理由はなんだ。」
「お前が今、人質に取っているソイツだよ。」
「しっかり、捕まえとけよ。小子。」
彼女は光明の整体電気を操作し、彼が能力を使えない状態にする。
拳で、彼の頬を殴り返す。
手応えがあった。
「ぐかぁ。」
「彼女のように、能力者であっても、缶のプルタブ一つすら開けられない非力な人間だっている。」
「倫は能力者であり、無能力でもある。」
もう一度殴る。
「俺はアイツらの孤独なんて知らねえけどなぁ。」
「アイツらを苦しめる奴を俺は許さねえ。」
最後にアッパーを喰らわせる。
「人間は0か100かじゃねえんだよ。」
朦朧とした意識の中で、なんとか彼に勝利する。
「力っ!! 小子がこちらに走ってきて、俺を受け止めた。」
魔法でまた身体を補完する。
「ククク。」
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