ファートゥム・サルウァトル(運命救世主)

ちょちょいのよったろー/羽絶 与鎮果

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第四章 あの【力】を手に入れた過去

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 【吟撫】と【琴花】は自宅に戻った。
 そこで、先に帰っていた【瞳良】と話をする事になった。
 【太郎】と【花子】は共働きなので、まだ帰ってきていない。
 そのため、姉妹だけの時間だった。
 【瞳良】は、
「え?
 【吟撫】姉さん……
 決心ついたの?」
 と聞いた。
 【吟撫】は、
「わかんない。
 【彼】次第かな……?」
 と言った。
 【瞳良】が、
「【彼】って?」
 と聞くと、【琴花】は、
「ほらっ……
 近くの公園の……」
 と言った。
 【瞳良】は、
「あぁ……
 なるほどね。
 あの人が姉さん達の眼鏡に叶ったと……?」
 と納得した。
 【吟撫】は、
「だから、わかんないってば。
 まだね。
 ただ、【ティニディス】の言った条件はクリアしているはずよ」
 と言った。
 【ティニディス】――聞き慣れない単語だ。
 それはある存在を現す【名前】だった。
 神話にあった【七番の界物】――その名前が【ティニディス】と言った。
 神話の時代、神と悪魔の勢力に敗れ去ったとされる【界物】。
 【一番】から【九番】の【界物】が敗れ去り、【十番】から【十三番】の【界物】が誕生していなかったとされているが、もう一つ、【一番】の【界物】と【七番】の【界物】は、強大過ぎたため、同士討ちをさせて倒されたと伝わっていた。
 【一番の界物】は【過去】、
 【七番の界物】は【現在】、
 【十三番の界物】は【未来】、
 ――を司るとされており、【三大界物】とも言われている。
 真の最強である【十三番の界物】が、誕生していなかったため、【界物の覇権】は【一番】か【七番】かと言われていた。
 そんなライバル心を上手く利用して、神と悪魔は【二界】を争わせ、共倒れさせたと言う神話が伝えられている。
 そんな神話の時代に存在していた【界物ティニディス】は、長い時を経て、【核】の状態で地中に埋まっていた。
 それを三姉妹が掘り起こしたのだった。
 地震が相次ぎ、地殻変動により、地中深く埋まっていた【核】が隆起し、少し掘り起こせば出てくる様な所まで出てきていたのだった。
 三姉妹は、当時、かくれんぼをしていた。
 【吟撫】が鬼で、【琴花】と【瞳良】が隠れていた。
 【吟撫】は、
「~……にじゅーしーち、
 にじゅーはーち、
 にじゅーきゅー、
 さんじゅー……
 よーし。
 さんじゅうかぞえたからさがすよぉ~。
 どこかなぁ~?」
 と言って2人を捜し始めた。
 ここでもない。
 あっちでもない。
 そっちかな?
 と言うように、小さな森の中を探していた。
 そこへ――
『おい……』
 と言う声がした。
 【吟撫】は、その声を無視して、
「どこかなぁ~?
 あっちかなぁ~?」
 と言った。
 すると、また、
『おいっと言っている。
 聞こえんのか?』
 と声がした。
 【吟撫】は、
「おいじゃないもん。
 ぎんなだもん。
 あしなが ぎんな。
 おいなんていわないでよ。
 しつれいよ」
 と言った。
 その声は、
『あぁ。
 わかった小娘。
 とりあえず我の声を聞け』
 と言った。
 【吟撫】は、
「あ~っ。
 こむすめってばかにしたことばでしょ?
 わたし、わかるもん。
 だから、きいてあげない。
 あっちいって」
 と言った。
 声は、
『わかった、
 わかった。
 では【あしなが ぎんな】よ。
 我の声を聞け』
 と言い直した。
「うん。
 わかった。
 おじさん、だぁれ?」
『我の名は【七番の界物ティニディス】だ。
 聞いた事はあるか?』
「【ティニディス】?
 あ、きいたことあるよ。
 ばっちゃのはなしにでてた。
 いちばんのかいぶつとけんかしたやつだ」
『【レグイス】のバカの事だな。
 あいつはくたばったのか?』
「くたばったってなぁに?」
『死んだって事だよ。
 我は生きている。
 今もな。
 だから、勝負は我の勝ちだ』
「しんだかどうかはわからないよ。
 【ティニディス】もいきてたじゃん。
 【レグイス】もいきているかもしれないよ」
『ふんっ。
 我は無敵だ。
 我に勝てる者など存在しない。
 存在する訳がないのだ』
「え?
 でも、しんわだとさいきょーなのは13ばんの【クォンティーティ】だっていっていたよ。
 【ティニディス】も【レグイス】も13ばんをこわがっているって……」
『う、うるさい。
 その双子は別格だ。
 比べる方がおかしい』
「じゃあ、むてきじゃないじゃん」
『う、うるさい。
 黙れ』
「うん。
 じゃあ、だまる」
『そんな事より【ぎんな】よ。
 我を掘り起こせ』
「………」
『どうした?
 何故黙っておる?』
「だって、だまれって……」
『あ~
 融通のきかん奴だ。
 わかったしゃべって良い。
 話せ』
「うん。
 【ティニディス】をだせばいいの?
 でもさ、ほんとはかいぶつはふっかつさせちゃだめっていわれてるんだよね。
 だけど、わたしのおねがいきいてくれるならだしてあげてもいいよ」
『なんだ?
 言ってみろ。
 我の名前において願いくらい叶えてやっても良いぞ』
「そう?
 じゃあ、いうねぇ~
 わたしのねがいはねぇ。
 【トゥエルフス・ワールド(第十二の世界)】か【ファイナル・ワールド(最終の世界)】でぼうけんがしたいの。
 てつだって。
 【ティニディス】の【セヴンス・ワールド(第七の世界)】のちからがあれば、かんたんでしょ?」
『なんだと?
 正気か貴様?』
「なによ、もぉ~
 やるの?
 やらないの?」
『う……
 貴様は我の声が聞こえる数少なき存在。
 貴様に見放されたら我の声を聞き取れる者はこの先、いつ現れるとも知れん。
 仕方がない。
 背に腹は代えられぬ。
 条件をのもうじゃないか。
 ただし、我は【雄】。
 つまりは【男】だ。
 だが、貴様は【女】だ。
 要するに性別が合わん。
 だから、【男】の【よりしろ】を見つけろ。
 我を受け入れる【勇気】を持った【男】をな。
 ならば、お前の冒険の手助けをしてやろう』
「おとこのこをみつければいいの?
 わたしじゃだめなのぉ?」
『誰でも良いという訳ではない。
 我が貴様に真理を見極める【目】をやろう。
 その【目】に叶った【男】を我の【よりしろ】とする。
 その【男】の身体を通して貴様に協力してやろう』
「うん。
 わかんないけどわかった」
『契約成立だな。
 では我を掘り起こせ。
 我は【核】の状態。
 わかりやすく言えば【ボール】の様な状態で埋まっておる。
 場所はお前に与えた【目】が教えてくれる。
 ではやれっ』
「うん。
 わかった」
 と言う話をしていたら、【琴花】と【瞳良】がやってきた。
 【琴花】が、
「もうっ。
 なにやってんの?
 さがしてくれないとだめじゃない」
 と言った。
 【瞳良】も、
「そうだよ。
 まじめにさがしてよ」
 と言った。
 【吟撫】は、
「あ、おねーちゃんたち。
 じつはねぇ、【ティニディス】をみつけることになったの。
 いっしょにさがそ。
 みつけたらいいことあるって」
 と言った。
 【ティニディス】は、
『あ……こらっ、
 勝手に……』
 と言った。
 【吟撫】は、
「いいじゃない。
 わたしたちはさんにんでいっしょなんだもん。
 おねーちゃんといもうとにもちからかしてよ~」
 と言った。
 【琴花】は、
「え?
 なに?
 だれとはなしてるの【ぎんな】?」
 と言った。
 が、すぐに、【ティニディス】が、
『ほれっ……
 波長を合わせてやった。
 【ぎんな】。
 姉と妹に触るが良い。
 我の声が聞こえるはずだ』
 と言った。
 【吟撫】は、
「あ、そうなんだ。
 じゃあ……」
 と言って、【琴花】と【瞳良】に触れた。
 【ティニディス】は、
『お前達、聞こえるか?』
 と聞いた。
 【琴花】は、
「あ……
 なんか、きこえたぁ~」
 と言い、【瞳良】も、
「わたしもぉ~
 なんかきこえたぁ~」
 と言った。
 【ティニディス】は、
『聞こえたか。
 どうやら波長が合ったようだな』
 と言った。
 そして、【ティニディス】がまた、一から説明を始めたのだった。
 その後、三姉妹は、埋まっていた【ティニディス】の核を掘り起こした。
 【ティニディス】の【核】は、【仔ネコ】の様な姿になった。
 【吟撫】は、
「あ、かわいー、にゃんこぉ~。
 にゃんにゃんにゃんっ」
 と言った。
 【ティニディス】は、
「これはかりそめの姿だ。
 小動物くらいであれば、今の我でも姿を変えられる。
 【力】が戻るまではしばらくなんらかの動物の姿でいるとするか。
 さて……我は約束は違えぬ。
 約束をしたからには、必ず守る。
 まずは、我が宿るべく【男】を探せ。
 話はそれからだ」
 と言った。
 【吟撫】は、
「うん。
 わかったぁ~
 さがすよぉ~」
 と答えたのだった。
 ――という過去があったのだ。
 【吟撫】は、
「そう言う訳よ、【ティニディス】。
 私と一緒に来てちょうだい。
 彼にその資質があるか見てみたいの」
 と言った。
 その視線の先には、【小猿】の姿があった。
 【ティニディス】は手も使えるから便利だと言うことで、今は【小猿】に化けていた。
 【ティニディス】は、
『もぐもぐもぐ……
 ほぉ~う。
 ようやく見つけたか?
 思ったよりもかかったな。
 じゃあ、この【エビ煎餅】を食い終わるまで待っておれ』
 と言った。
 【琴花】は、
「まさか、伝説の【界物】がお菓子好きだなんて夢にも思わないわよね……」
 と言って呆れた。
 【ティニディス】は、
『もにゅもにゅもにゅ……
 仕方なかろう。
 我が居た時代にはこの様なものは無かったのだ。
 人間など下らぬ生き物だと思っておるが、この【お菓子】という発明だけは褒めてやろう。
 我が人間を滅ぼさぬのはこの【お菓子】のおかげだと思え。
 人間を滅ぼしたら【お菓子】も滅びるからな。
 【お菓子】を守るために、我は【人間】を守ってやっても良いと思っている。
 それだけの【供物】だ。
 わかったら、ありがたく、我にどんどん【お菓子】を捧げるが良い』
 と言った。
 【瞳良】は、
「あんたこそ、飼い主の言うことを聞きなさいよ。
 私達は【お菓子】であんたを養っているのよ。
 あんたは【ペット】としてうちにいるんだからね。
 刃向かうなら【お菓子】の量、減らすわよ」
 と言った。
 【ティニディス】は、
『それは許さぬ。
 許さぬぞ、【瞳良】』
 と言った。
 【瞳良】は、
「はいはい。
 わかりました。
 私も虐待するつもりはないわよ」
 と言った。
 【ティニディス】は、
『虐待だと?
 ふざけるな。
 我を愚弄するなよ』
 と怒りをあらわにする。
 【瞳良】は、
「はいはい。
 この麩菓子あげるから少しだまっててね」
 と言うと、【ティニディス】は、
『もにゅもにゅもにゅ……
 うむ、旨い……』
 と言って黙ったのだった。
 すっかり、仲良し家族と化していた。
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