上 下
16 / 35

15話 【遅刻!?】

しおりを挟む
最悪。

目を覚ました瞬間に私は確信した。

寝坊したな って。

慌てて身体を起こして壁に掛けられた時計を見ると針は7時半を指していた。

ヤバイヤバイヤバイ!

昨日の夜、私は全く眠れなかった。

サヤとの会話を思い出したり

オーディションのことを考えたりしてて……

ようやく眠くなったのは朝の4時くらいだったから。


いや、そんなん今はどうでもいい。

とにかく急ごう!

私は歯磨きと着替えを猛ダッシュで済ませて家を飛び出した。

でも自転車に飛び乗った瞬間、

私はもう一度青ざめた。

パンクしてるじゃん……

えっ?

いつ!?

とにかく考えてもしょうがない。

私は家の前の坂道をダッシュで下った。

お願い!

間に合って!


そして

通学路途中にあるT字路に差し掛かったその時だった。

「おーい! 七瀬!」

この声はケンタ。

私は走りながら叫ぶ。

「ケンタごめん! 今急いでるから!」

「わかってる! だから一旦止まれ!」

どういうこと?

思わず立ち止まって振り返るとケンタが私の前で自転車を止めた。

「後ろ乗れよ。」

「えっ?」

「いいから乗れって! 大事なオーディションがあるんだろ?」

なんでケンタがそれを知ってるの?

でも助かります!

私は頷いてケンタの自転車の荷台に腰掛けた。

「よし。 掴まってろよ……!」


ケンタの自転車は走り出した。
しおりを挟む

処理中です...