女神同棲 〜転生に失敗しましたが、美人で清楚な”女神様を拾った”ので、甘々な新築生活を目指します!〜

杜田夕都

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第2話 転生失敗

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 次に目を覚ますと、俺は森の中にいた。
 足元には草が生い茂っていて一面緑色。空は快晴。

 女神様に作って貰った新しい体にまだ慣れていないようで、視界がぼやけていて自分の足元しか把握できない。
 その上獲得したスキル、賢者の目の効果も全く感じられなかった。
 俺は重い体に鞭を打ち、新しい世界を把握するべく歩みを進めた。

 しばらく緑土が続くと予想していたが、案外早く舗装された道に出ることができた。この調子なら、すぐにでも村に到着できそうだ。
    まずは冒険者ギルドへ向かおう。父さんと母さんに合流できるかもしれない。

 水音が聞こえてきたので、音を頼りに進むと湖のある広場が見えた。水が湧き出ている。
 舗装された道も含め、この広場はかなり手入れが行き届いているようだ。

 さらに先へ進むと看板があった。それも1つではなくあちこちに点在している。視力が戻ってきたら何と書いてあるか確認してみよう。

 ずっと、近くにあるのは村だと思っていたが、これだけ人の手が加わっているのだから街かもしれない。
 街の方が手に入る情報やアイテムが多くなるだろうから、幸先の良いスタートと言えるだろう。
 2人と合流した後はどうするべきか、やはりお約束の王都へ向かうのが最善なのだろうか。

 そうこう考えているうちに、森の出口が見えてきた。地面には白い補助線が引かれている。この線を辿っていけば森を出られそうだ。

 最後、斜面に差し掛かかったが手すりがあったので難なく斜面を降りられた。体が思うように動かせないのでこの配慮に救われた。しかもこの手すり、鉄のように硬くかなり丈夫だ。この世界の技術力に感心する。

 ようやく森を抜けることができた。ここらで少し休憩としよう。

 俺はあのとき笑顔で送り出してくれた女神様のことを思い出す。
 もう一度、女神様に会いたい。外の世界を見せてあげたい。でも女神様が外に出てくることはない。
 だから、俺がこの世界を冒険して見たもの、体験したこと、成し遂げたことをいつか伝えよう。

 数分休むと体がだいぶ動くようになった。視力も生前並みまで回復したので、そろそろ行動を再開しよう。
 俺は立ち上がって空を見上げた。青空が広がっている。雲の形もはっきりとこの目で捉えられる。

「よし、行こう」

 前を見据えてはじめの一歩を踏み出そうとしたその時、全身が硬直した。
 血の気が引いていく、愕然とした。
 俺は自分の視界に入ってきたものを受け入れられず、膝から崩れ落ちてしまった。猿映画のパッケージのように。

 ビルだ、高層ビルが見えるのだ。

 異世界に存在するはずのないものだ。ありえない、ファンタジーの世界が俺の元いた世界にここまで酷似するはずがない。俺は女神様に異世界転生させて貰ったはずだ。
 視界の端に駐車場が見える。止まっているのは馬車ではない。俺がよく知る自動車だ。

 俺はバリアフリーのスロープを駆けて、今きた道を引き返す。
 看板には、日本語でドッグラン禁止の文字。
 息が乱れる。俺は異世界転生したんじゃなかったのか? 街は? 冒険は? 

 俺を嘲笑うかのようにロードバイクが走り抜ける。

 ここは紛れもない現代だった。

 転生に失敗したんだ………。

 確かに元いた世界でやり直したいと言いはしたが、今は無一文だ。
家もなければ頼れる親戚や友人もいない。つまりこのままだと公園でホームレスということだ。

 大きな看板に東京、佐々木公園と書いてある。残念ながら俺は地方生まれなので、都会にあまり詳しくない。というか東京なんて高校の修学旅行の一度きりだ。


 結局、湖に戻ってきてしまった。
 無論、噴水つきのただの大きめの池なのだが……。

 池のほとりに人影があった。

 ––––––俺は息を呑む。

 腰まで伸びたブロンドの髪。
 美しい横顔。
 澄んだ碧色の瞳。
 コスプレと間違われてしまいそうな変わった布の服。

 間違いない、あの人だ。

 その人は遠くを見つめ、物思いにふけっているようだった。
 その姿は声をかけることを躊躇ってしまうほど、儚げに見えた。

 俺は小さく息を吸い、勇気を出して問い掛ける。
 
 「女神様ですか?」

 その人は振り返り、俺の目を見て一言。

 「はい、水谷様」

 女神様は静かに答えた。


========
【セラフィーラ様の秘密】

 セラフィーラ様は、『この女神がすごい!』で大賞を受賞したことがある。
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