29 / 77
第2章『聖女王フローラ』
第25話「威風堂々と滅びゆく」
しおりを挟む
この日、フローラの元には見知った人物が訪ねてきていた。
オルビアからの使者と聞いて嫌な予感がしたが、使者の名前を聞くと複雑な気持ちが心に広がっていた。
できればこんな形で再会したくはなかった。
「聖女フローラさまにご挨拶申し上げます」
フローラの元に愚王からの使いとして、フェアラム伯爵がやってきていた。また前回の件だろうと、フローラだけでなく、皆が険しい表情でこの老人を見据えていた。
「お久しぶりですね。フェアラム伯爵さま、お元気そうで何よりです」
笑顔を作ってあげたいと、心ではそう思うも、立場と状況の違いがそれを阻んでしまっている。
「いやははは、痛み入ります。では早速用件に入っても宜しいですかな?」
前回の使者とは違い、フェアラム伯爵は実に堂々としており、冷や汗ひとつかいていない。
爽やかな笑顔と余裕を振り撒いている。
「神殿に戻るつもりはありませんよ」
フローラのほうもいつの間にか、苦笑いではあるが、少しばかり笑みをこぼしていた。
「戻って頂かなくて結構ですぞ。そのような下らない用事で参ったわけではありせんので」
言いながら伯爵は"にこにこ"と笑って笑みを絶やそうとしない。
「では何の用ですか?」
フローラの顔に怪訝と言った色合いの表情が浮かぶ。
「クラウスの非礼をお詫びし、賠償というわけではありませんが、贈り物を持参致しました」
「受け取っても返せるものはありませんし、返すつもりもありませんよ」
「もとより礼など不要ですぞ。詫びのしるしですからな、はっはっは」
この老人の話を聞いている者の中で、クレールだけはその真意を読み解いていた。
当然クレールも老人とは面識がある。だからフェアラム伯爵の人となりも良く知っていた。
最近の愚王の成した事の中では、偶然ではあるが、この老人を使者にしたのは正しい選択だ。その一点のみは評価に値する。
「どういうつもりでしょうか?」
老人を問い質したのはリコ司祭だった。司祭も伯爵とは面識がある。
「どうもこうもありません、司祭さま。クラウスがフローラさまに行った非道は天に唾するものです。ですから、せめてお詫びだけはと、オルビア王家伝来の宝物と、王都の財貨を持参致しました」
伯爵は司祭に対して軽く頭を下げた。
88歳とは思えないしなやかさと、きびきびとした動きを見せて、フローラに従う者たちも、思わず老人に見惚れていた。
「兄上は知っているのですか?」
「いいや、知らぬよ。だがそなたも知っておろう? 王家の宝物と財貨はフェアラム家が管理するのがしきたりじゃ。当主のワシが使い道を定めても問題はないはずじゃよ」
そしてまた『はははは』と笑う。全くもって笑顔が似合う。
「本当に構わないのですか?」
話の流れから判断すると、伯爵は信用しても良さそうだった。
何よりこの老人の人となりを知っているフローラは、それで本当に構わないのかと尋ねてみた。
「ええ、構いません。それにどうせ王都に残しておいても、反乱軍に奪われるか、諸国の軍勢に荒らされるか。そうなるくらいならフローラさま、貴女さまの覇業の礎にして頂きたい」
「分かりました。有難く頂戴致します」
心からの感謝をこの老人にだけは贈りたかった。
だが、この場の皆の心情を考えると、それは適切ではなかった。
だから目だけで伯爵を優しく見つめることにした。
「大叔父さまは、今後はどうなさるのですか?」
「ん? 当然、王都に戻り一族郎党を率いてオルビアの為に戦うわい。最後の一兵になるまで戦うのが王族の務めだが、クレールよ。そなたはここに残れ」
伯爵の口調と視線が鋭さを増した。クレールに言い聞かせようと凄味が備わっている。
「……大叔父さまもここへ―――」
「気遣いは有難いが無用じゃ。それからクレールよ、どうしても心が引かれるのなら、己の身は聖女さまのお傍に残し、心だけで王都に来い。そしてオルビアが滅びゆくさまを、しかと見届けよ。良いな?」
その言葉には決意が溢れていた。
運命の行き先と、自身の死を覚悟している。そんな決意の色がまざまざと表れていた。
説得が無理だと悟ったクレールは、ただ頷くだけしかできなかった。
唇を噛みしめて悔しそうな顔をしている。
「それではフローラさま、その他の皆さま、これにて失礼致します」
そう言うとフェアラム伯爵は、颯爽と踵を返してこの場を立ち去った。
実に愉快そうな笑い声を残して去って行った。
「大叔父さまも王位を嫌って拒まれたことがあります。あの方はオルビア王族で最も優れた才能をお持ちの方です」
クレールは『それだけに残念でなりません』そう付け加えた。
フローラも心の中で同感だと思っていた。
能力云々ではなく、あれほど祖国と王家を愛する人物を、亡くしてしまうのが残念でならなかった。
フェアラム伯爵カール。
カールを一言で表すなら『威風堂々』
王家随一の賢才だが、変わり者としても有名だった。
カールがその気なら斜陽のオルビアを支える事もできたが、それは彼の愛する王国と王家を救う道ではないと考えていた。
腐り切ってしまったからこそ、無に帰してしまおうとカールは考えている。
プリシラも馬鹿なことをしたものだ。
クラウスはプリシラを嫌って、フェアラム伯爵との結婚を命じたわけではない。
カールならプリシラを守ってくれると思い託したのだ。
―――
「……カールはまだか? まだ戻らぬのか?」
すっかり寂しくなった謁見の間に、クラウス王の頼りなさ気な声が響いていた。
ここ数日の状況を考えれば、こんな場所で呑気に伯爵の帰りを待つほうがどうかしている。
籠城をするつもりで物資の調達を指示するも、王宮の兵糧庫はほとんど空の状態だった。シモンが反乱を起こした時点で即座に気付くべきだ。
王都の物資の管理をしていたのが、外ならぬシモンなのだ。敵に利用されるのが分かっていて残しておくはずがない。シモンは籠城の可能性を考えて兵糧庫を空にしておいたのだ。
『兵糧が枯渇している』という重大な事実が広まると、クラウス王の下に残ったおよそ数百の戦力も、これではさすがに勝ち目がないと、多くが四散してしまっていた。
不幸中の幸いだったかもしれない。ほとんどの兵を失った事で、僅かな物資でもあと数日なら耐えられる。
もっとも外門を突破されれば、もう防ぎようはないが。
「陛下! フェアラム伯爵さまが、ご帰還なされました!!」
心なしか報告をしている男も、声が弾んでいるように思える。
それもそのはずだ。カールは愉快そうな笑い声を上げて王都に戻ってきたからだ。
「伯爵! その顔を見るに良い知らせだな?」
伯爵の口上も聞かないうちから結果を催促している。
それだけ愚王クラウスも切羽詰まっていた。
「左様。良い知らせじゃ、何しろこの国が滅んで、無に帰るのじゃからな」
「大叔父上……何を申しておる? 国が滅ぶのだぞ!」
「さあ、クラウス、外門は程なく落ちるぞ。こんな所で油を売ってないで、王らしく戦え。安心せよ、ワシが共に逝ってやろうぞ。はっはっは!」
カールは謁見の間に飾られている長柄の大刀を、ヒョイと持ち上げると凄まじい速さで振り回した。
「わ、私はここで指揮を……」
「たわけ!! 馬鹿な事を抜かすな!」
カールの一喝が謁見の間を激しく震わせた。
「外ではお前を信じて戦う者たちが居るのだぞ? それを盾にしてこんなところで震えておるつもりか! 行かぬと言うなら今すぐ、お前のその空っぽの頭を斬り飛ばしてやるぞ!!!」
「しかし、大叔父上……行けば死にます……」
「じゃから、そなたの死出の旅路は、ワシが付き合ってやると申しておる」
「い、いえ、ほら、娘の事もありますし……」
カールに気圧されて、震えながらぼそぼそと答えている。今にも小便でもちびりそうな情けない顔をしている。
「プリシラの事は心配するな。事前に手は打ってあるから、運が良ければ何とかなるじゃろ」
そう言うとカールは嫌がるクラウスの首根っこを掴んで、無理やり引きずって行った。
そんなカールの雄姿を慕って、僅かに残った者たちがこぞって集まってきた。
どの道もうどうにもならないと皆が理解している。
このまま外門が破壊されるのを待って降伏するか、この88歳の偉丈夫に付き従って討ち死にするか。
多くの者は後者を選んだ。
そして程なく外門が破壊されると、押し寄せる反乱軍との戦いが始まる。
今ではほんの数十人になったオルビア軍は奮戦したが、僅かな時間で全滅した。
フェアラム伯爵カールは一人で数十の敵を倒すも、最後は地面にくず折れて88年の生涯を終えた。
カールの死顔は不思議なほど安らかに見えた。
そして、オルビア王国は滅び去った。
愚王クラウスはもう、己の命以外に何も持ち合わせてはいなかった。
潔く戦って死ねば、せめて名誉は失わずに済んだ。
だが愚王は最後まで愚王だった。
戦闘がはじまると、その混乱に乗じて衣服を脱ぎ去り、下着姿で下水道に飛び込んだ。
戦闘が終わった時にはもう、すっかり姿を消していた。
カールの死が、僅かにオルビアの名誉を守っていた。
*****
国が無くなりました。次は何をしてやりましょうかね?(´ー+`)
*****
オルビアからの使者と聞いて嫌な予感がしたが、使者の名前を聞くと複雑な気持ちが心に広がっていた。
できればこんな形で再会したくはなかった。
「聖女フローラさまにご挨拶申し上げます」
フローラの元に愚王からの使いとして、フェアラム伯爵がやってきていた。また前回の件だろうと、フローラだけでなく、皆が険しい表情でこの老人を見据えていた。
「お久しぶりですね。フェアラム伯爵さま、お元気そうで何よりです」
笑顔を作ってあげたいと、心ではそう思うも、立場と状況の違いがそれを阻んでしまっている。
「いやははは、痛み入ります。では早速用件に入っても宜しいですかな?」
前回の使者とは違い、フェアラム伯爵は実に堂々としており、冷や汗ひとつかいていない。
爽やかな笑顔と余裕を振り撒いている。
「神殿に戻るつもりはありませんよ」
フローラのほうもいつの間にか、苦笑いではあるが、少しばかり笑みをこぼしていた。
「戻って頂かなくて結構ですぞ。そのような下らない用事で参ったわけではありせんので」
言いながら伯爵は"にこにこ"と笑って笑みを絶やそうとしない。
「では何の用ですか?」
フローラの顔に怪訝と言った色合いの表情が浮かぶ。
「クラウスの非礼をお詫びし、賠償というわけではありませんが、贈り物を持参致しました」
「受け取っても返せるものはありませんし、返すつもりもありませんよ」
「もとより礼など不要ですぞ。詫びのしるしですからな、はっはっは」
この老人の話を聞いている者の中で、クレールだけはその真意を読み解いていた。
当然クレールも老人とは面識がある。だからフェアラム伯爵の人となりも良く知っていた。
最近の愚王の成した事の中では、偶然ではあるが、この老人を使者にしたのは正しい選択だ。その一点のみは評価に値する。
「どういうつもりでしょうか?」
老人を問い質したのはリコ司祭だった。司祭も伯爵とは面識がある。
「どうもこうもありません、司祭さま。クラウスがフローラさまに行った非道は天に唾するものです。ですから、せめてお詫びだけはと、オルビア王家伝来の宝物と、王都の財貨を持参致しました」
伯爵は司祭に対して軽く頭を下げた。
88歳とは思えないしなやかさと、きびきびとした動きを見せて、フローラに従う者たちも、思わず老人に見惚れていた。
「兄上は知っているのですか?」
「いいや、知らぬよ。だがそなたも知っておろう? 王家の宝物と財貨はフェアラム家が管理するのがしきたりじゃ。当主のワシが使い道を定めても問題はないはずじゃよ」
そしてまた『はははは』と笑う。全くもって笑顔が似合う。
「本当に構わないのですか?」
話の流れから判断すると、伯爵は信用しても良さそうだった。
何よりこの老人の人となりを知っているフローラは、それで本当に構わないのかと尋ねてみた。
「ええ、構いません。それにどうせ王都に残しておいても、反乱軍に奪われるか、諸国の軍勢に荒らされるか。そうなるくらいならフローラさま、貴女さまの覇業の礎にして頂きたい」
「分かりました。有難く頂戴致します」
心からの感謝をこの老人にだけは贈りたかった。
だが、この場の皆の心情を考えると、それは適切ではなかった。
だから目だけで伯爵を優しく見つめることにした。
「大叔父さまは、今後はどうなさるのですか?」
「ん? 当然、王都に戻り一族郎党を率いてオルビアの為に戦うわい。最後の一兵になるまで戦うのが王族の務めだが、クレールよ。そなたはここに残れ」
伯爵の口調と視線が鋭さを増した。クレールに言い聞かせようと凄味が備わっている。
「……大叔父さまもここへ―――」
「気遣いは有難いが無用じゃ。それからクレールよ、どうしても心が引かれるのなら、己の身は聖女さまのお傍に残し、心だけで王都に来い。そしてオルビアが滅びゆくさまを、しかと見届けよ。良いな?」
その言葉には決意が溢れていた。
運命の行き先と、自身の死を覚悟している。そんな決意の色がまざまざと表れていた。
説得が無理だと悟ったクレールは、ただ頷くだけしかできなかった。
唇を噛みしめて悔しそうな顔をしている。
「それではフローラさま、その他の皆さま、これにて失礼致します」
そう言うとフェアラム伯爵は、颯爽と踵を返してこの場を立ち去った。
実に愉快そうな笑い声を残して去って行った。
「大叔父さまも王位を嫌って拒まれたことがあります。あの方はオルビア王族で最も優れた才能をお持ちの方です」
クレールは『それだけに残念でなりません』そう付け加えた。
フローラも心の中で同感だと思っていた。
能力云々ではなく、あれほど祖国と王家を愛する人物を、亡くしてしまうのが残念でならなかった。
フェアラム伯爵カール。
カールを一言で表すなら『威風堂々』
王家随一の賢才だが、変わり者としても有名だった。
カールがその気なら斜陽のオルビアを支える事もできたが、それは彼の愛する王国と王家を救う道ではないと考えていた。
腐り切ってしまったからこそ、無に帰してしまおうとカールは考えている。
プリシラも馬鹿なことをしたものだ。
クラウスはプリシラを嫌って、フェアラム伯爵との結婚を命じたわけではない。
カールならプリシラを守ってくれると思い託したのだ。
―――
「……カールはまだか? まだ戻らぬのか?」
すっかり寂しくなった謁見の間に、クラウス王の頼りなさ気な声が響いていた。
ここ数日の状況を考えれば、こんな場所で呑気に伯爵の帰りを待つほうがどうかしている。
籠城をするつもりで物資の調達を指示するも、王宮の兵糧庫はほとんど空の状態だった。シモンが反乱を起こした時点で即座に気付くべきだ。
王都の物資の管理をしていたのが、外ならぬシモンなのだ。敵に利用されるのが分かっていて残しておくはずがない。シモンは籠城の可能性を考えて兵糧庫を空にしておいたのだ。
『兵糧が枯渇している』という重大な事実が広まると、クラウス王の下に残ったおよそ数百の戦力も、これではさすがに勝ち目がないと、多くが四散してしまっていた。
不幸中の幸いだったかもしれない。ほとんどの兵を失った事で、僅かな物資でもあと数日なら耐えられる。
もっとも外門を突破されれば、もう防ぎようはないが。
「陛下! フェアラム伯爵さまが、ご帰還なされました!!」
心なしか報告をしている男も、声が弾んでいるように思える。
それもそのはずだ。カールは愉快そうな笑い声を上げて王都に戻ってきたからだ。
「伯爵! その顔を見るに良い知らせだな?」
伯爵の口上も聞かないうちから結果を催促している。
それだけ愚王クラウスも切羽詰まっていた。
「左様。良い知らせじゃ、何しろこの国が滅んで、無に帰るのじゃからな」
「大叔父上……何を申しておる? 国が滅ぶのだぞ!」
「さあ、クラウス、外門は程なく落ちるぞ。こんな所で油を売ってないで、王らしく戦え。安心せよ、ワシが共に逝ってやろうぞ。はっはっは!」
カールは謁見の間に飾られている長柄の大刀を、ヒョイと持ち上げると凄まじい速さで振り回した。
「わ、私はここで指揮を……」
「たわけ!! 馬鹿な事を抜かすな!」
カールの一喝が謁見の間を激しく震わせた。
「外ではお前を信じて戦う者たちが居るのだぞ? それを盾にしてこんなところで震えておるつもりか! 行かぬと言うなら今すぐ、お前のその空っぽの頭を斬り飛ばしてやるぞ!!!」
「しかし、大叔父上……行けば死にます……」
「じゃから、そなたの死出の旅路は、ワシが付き合ってやると申しておる」
「い、いえ、ほら、娘の事もありますし……」
カールに気圧されて、震えながらぼそぼそと答えている。今にも小便でもちびりそうな情けない顔をしている。
「プリシラの事は心配するな。事前に手は打ってあるから、運が良ければ何とかなるじゃろ」
そう言うとカールは嫌がるクラウスの首根っこを掴んで、無理やり引きずって行った。
そんなカールの雄姿を慕って、僅かに残った者たちがこぞって集まってきた。
どの道もうどうにもならないと皆が理解している。
このまま外門が破壊されるのを待って降伏するか、この88歳の偉丈夫に付き従って討ち死にするか。
多くの者は後者を選んだ。
そして程なく外門が破壊されると、押し寄せる反乱軍との戦いが始まる。
今ではほんの数十人になったオルビア軍は奮戦したが、僅かな時間で全滅した。
フェアラム伯爵カールは一人で数十の敵を倒すも、最後は地面にくず折れて88年の生涯を終えた。
カールの死顔は不思議なほど安らかに見えた。
そして、オルビア王国は滅び去った。
愚王クラウスはもう、己の命以外に何も持ち合わせてはいなかった。
潔く戦って死ねば、せめて名誉は失わずに済んだ。
だが愚王は最後まで愚王だった。
戦闘がはじまると、その混乱に乗じて衣服を脱ぎ去り、下着姿で下水道に飛び込んだ。
戦闘が終わった時にはもう、すっかり姿を消していた。
カールの死が、僅かにオルビアの名誉を守っていた。
*****
国が無くなりました。次は何をしてやりましょうかね?(´ー+`)
*****
1
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる