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第2章『聖女王フローラ』
閑話「愚王クラウスの末路③…野菜の杖」
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今日はイルマと恵まれない子供たちを訪問しに来ました。
最近の私はどうも信心が足りていません。
あのヘタ……いえ、クレールさまを相手に邪な考えを……あわわわ……
私の胸まで触っておいて……不可抗力でもそこまでしておいて……
男性が好きならそう言って下さればいいのに!
私はそんなことで態度は変えません!
いいのです。
私は神々の使徒です。
聖女として生きるのです。
「お姉さま? 何か思い詰めていませんか? あの剣聖ヘターレが特別ヘタレなだけですよ。ちゃんとした男の人もいますからね?」
イルマは心配しているのだ。
やっとこさ年相応の悩みを持つようになったフローラを。
だが、よりによって初恋相手が、甲斐性なしの朴念仁では、フローラにはハードルが高すぎると。
「いいのです。私は聖女フローラ、神々にお仕えする身ですから」
「男なんてそんなものですよ。フローラさま!」
つい先日、フローラのお陰で解放されたミランダが会話に入ってきた。
彼女はアナスタシアと共に、フローラの親衛隊に配属されている。
「そ、そうですか?」
「はい!」
「ちょっと、ミランダさん、お姉さまに余計なことを……」
「何よ? 19歳のガキが、大人のお姉さんに意見を言う気? 私は冒険者だった頃からモテモテで、今までの彼氏は両手じゃ足りないくらいよ」
ミランダも確かに魅力的な女性だ。
若い頃から戦いに身を投じているだけに、肌はすっかり日に焼けてしまっているが、そこが逆に健康的でもある。身体の線はなだらかだが、無駄な部分が一切なく、その身体のどこにそんな力が、と思うような力強い戦い方をする。あのユリウスを傍で支えるだけあって彼女も筋金入りの戦士だった。
(フローラさまの胸まで揉んでおいて、手を出さないクレールさまってソッチ系? いえ、別に趣味は人それぞれよ。いいと思うけど。ああん! でも、フローラさまが百合で、私に迫ってきたら許しちゃいそう! いいえ、このミランダは許します!! フローラさまに全てを捧げます!! きゃあああああ!!!!)
「……あれ? フローラさま? イルマさん? 幸せな妄想をしているうちに置いて行かれたわ!!」
―――
フローラ一行はこの地域の子供たちの面倒を見ているという、ある女性魔導師を訪ねる事になっていた。この地域では女神さまと呼ばれる人物だ。
そんな素晴らしい人格者なら、フローラが興味を引かれるのも頷ける。
その女性魔導師の名はヒルダと言うらしい。
「あ、あそこ! ヒルダさんの魔法用品店!」
貧民街でも外れに位置する閑散とした場所に、ヒルダの店が建っていた。
ヒルダは女神として讃えられているが、同時に優れた魔導師としても知られている。彼女に手を出そうという頭の悪い考えをする悪人は、少なくともこの辺には居ない。
ならず者や犯罪者たちが道を譲るのが、ヒルダと言う存在だ。
彼女を怒らせるのは死を意味する。
「趣のあるお店ですね」
「早く入ってみましょう!」
年上風を吹かせるミランダが、わくわくしてると言った顔をして、ヒルダの店の扉を勢いよく開いた。
「これはまた可愛らしいお嬢さんたちだね。いらっしゃい、ゆっくりしていってね」
店に入ると奥のカウンターから顔を出す、妙齢の女性の声が聞こえてくる。優し気ながらどっしりとしている。頼りがいのある母親のようであり、艶っぽい女でもある。不思議な女性だった。
「貴女がヒルダさんでしょうか?」
疑問を口にするフローラだが、彼女が噂のヒルダだと言う事はひと目で見抜いている。
「お目に掛かれて光栄です。聖女フローラさま、在りし日のご恩をいつかお返ししたいと、ずっと思っていました」
実はヒルダのほうは、ずっと以前からフローラと邂逅する事を知っていた。彼女の水晶玉が、今日のこの光景をしばらく前に映し出していたからだ。
そしてフローラの為に極めて重要な役目を果たすとも、ヒルダの水晶占いではそう結果が出ている。
ヒルダはこの結果を、それこそ涙を浮かべて喜んだ。落ちぶれた魔導師風情の自分が、誰より敬愛しているフローラの役に立てるのだと。
フローラ一行にヒルダを交えた四人は、日が傾く時間まで楽しくおしゃべりをして過ごしていた。
妙齢の女性ながら話題が豊富なヒルダの話しぶりは、若いフローラたちには新鮮な話ばかりで、どきどきわくわくしながら、ヒルダの冒険の旅の話を聞いていた。
その様子はまるで小さな女の子が、絵本を語り聞かされているようだった。
ヒルダのほうも、フローラやイルマを歳の離れた妹のような、愛おしい目で見つめていた。
しかし、そんな微笑ましいシーンを穢すような、邪な考えをする女を忘れてはいけない。
そう、ミランダだった。
彼女もまた、若かりし頃のヒルダと同じく、元冒険者、しかもS級冒険者だった。
当然ながら魔法の品の目利きもある。
ここでミランダは、彼女自身を狂喜させるアイテムを見つけてしまった。
(ああん! このアイテムでフローラさまに責められたい! さっきはあんな事言ったけど、私はほぼ未経験なんです! 腕を磨くのに忙しくて! ほぼ新品なんです。このほぼ清い身体を捧げたい!! この〇〇〇で、フローラ姉さまに責められたい!! きゃああああ!!)
「さてそろそろお時間ですね。フローラさま、今日の所はこれをお持ちください。貴女さまの建国事業にきっとお役に立つはずです」
傍に立てかけてあった、一本の奇妙な形をした杖をフローラに差し出した。
「これは?」
不思議な形をしている杖を、フローラは物珍しそうに見つめている。
「それは『野菜の杖』と言う、最近やっと完成させた特別な杖です。十分な魔力を持っている人物が用いれば、魔力を消費して野菜を生み出すことができます」
わりととんでもない杖だった。そんな逸品を惜しげもなく差し出してくる。
「すごい……。いいのですか? とても貴重だと思いますけど?」
「十年前に頂いたご恩のお返しだと思ってください」
もちろん、彼女のお礼はこれだけではない。愚王クラウスに永遠の責め苦を味わわせるのが、ヒルダの宿願となりつつある。
「では遠慮なく頂いておきます」
この野菜の杖が、まさかあんな悲劇を招くとは、フローラは予想だにしていなかった。
*****
次回の愚王の末路は悲惨です(´ー+`)
そして若干一名、百合開眼してますが、彼女は本来ノーマルです。
*****
最近の私はどうも信心が足りていません。
あのヘタ……いえ、クレールさまを相手に邪な考えを……あわわわ……
私の胸まで触っておいて……不可抗力でもそこまでしておいて……
男性が好きならそう言って下さればいいのに!
私はそんなことで態度は変えません!
いいのです。
私は神々の使徒です。
聖女として生きるのです。
「お姉さま? 何か思い詰めていませんか? あの剣聖ヘターレが特別ヘタレなだけですよ。ちゃんとした男の人もいますからね?」
イルマは心配しているのだ。
やっとこさ年相応の悩みを持つようになったフローラを。
だが、よりによって初恋相手が、甲斐性なしの朴念仁では、フローラにはハードルが高すぎると。
「いいのです。私は聖女フローラ、神々にお仕えする身ですから」
「男なんてそんなものですよ。フローラさま!」
つい先日、フローラのお陰で解放されたミランダが会話に入ってきた。
彼女はアナスタシアと共に、フローラの親衛隊に配属されている。
「そ、そうですか?」
「はい!」
「ちょっと、ミランダさん、お姉さまに余計なことを……」
「何よ? 19歳のガキが、大人のお姉さんに意見を言う気? 私は冒険者だった頃からモテモテで、今までの彼氏は両手じゃ足りないくらいよ」
ミランダも確かに魅力的な女性だ。
若い頃から戦いに身を投じているだけに、肌はすっかり日に焼けてしまっているが、そこが逆に健康的でもある。身体の線はなだらかだが、無駄な部分が一切なく、その身体のどこにそんな力が、と思うような力強い戦い方をする。あのユリウスを傍で支えるだけあって彼女も筋金入りの戦士だった。
(フローラさまの胸まで揉んでおいて、手を出さないクレールさまってソッチ系? いえ、別に趣味は人それぞれよ。いいと思うけど。ああん! でも、フローラさまが百合で、私に迫ってきたら許しちゃいそう! いいえ、このミランダは許します!! フローラさまに全てを捧げます!! きゃあああああ!!!!)
「……あれ? フローラさま? イルマさん? 幸せな妄想をしているうちに置いて行かれたわ!!」
―――
フローラ一行はこの地域の子供たちの面倒を見ているという、ある女性魔導師を訪ねる事になっていた。この地域では女神さまと呼ばれる人物だ。
そんな素晴らしい人格者なら、フローラが興味を引かれるのも頷ける。
その女性魔導師の名はヒルダと言うらしい。
「あ、あそこ! ヒルダさんの魔法用品店!」
貧民街でも外れに位置する閑散とした場所に、ヒルダの店が建っていた。
ヒルダは女神として讃えられているが、同時に優れた魔導師としても知られている。彼女に手を出そうという頭の悪い考えをする悪人は、少なくともこの辺には居ない。
ならず者や犯罪者たちが道を譲るのが、ヒルダと言う存在だ。
彼女を怒らせるのは死を意味する。
「趣のあるお店ですね」
「早く入ってみましょう!」
年上風を吹かせるミランダが、わくわくしてると言った顔をして、ヒルダの店の扉を勢いよく開いた。
「これはまた可愛らしいお嬢さんたちだね。いらっしゃい、ゆっくりしていってね」
店に入ると奥のカウンターから顔を出す、妙齢の女性の声が聞こえてくる。優し気ながらどっしりとしている。頼りがいのある母親のようであり、艶っぽい女でもある。不思議な女性だった。
「貴女がヒルダさんでしょうか?」
疑問を口にするフローラだが、彼女が噂のヒルダだと言う事はひと目で見抜いている。
「お目に掛かれて光栄です。聖女フローラさま、在りし日のご恩をいつかお返ししたいと、ずっと思っていました」
実はヒルダのほうは、ずっと以前からフローラと邂逅する事を知っていた。彼女の水晶玉が、今日のこの光景をしばらく前に映し出していたからだ。
そしてフローラの為に極めて重要な役目を果たすとも、ヒルダの水晶占いではそう結果が出ている。
ヒルダはこの結果を、それこそ涙を浮かべて喜んだ。落ちぶれた魔導師風情の自分が、誰より敬愛しているフローラの役に立てるのだと。
フローラ一行にヒルダを交えた四人は、日が傾く時間まで楽しくおしゃべりをして過ごしていた。
妙齢の女性ながら話題が豊富なヒルダの話しぶりは、若いフローラたちには新鮮な話ばかりで、どきどきわくわくしながら、ヒルダの冒険の旅の話を聞いていた。
その様子はまるで小さな女の子が、絵本を語り聞かされているようだった。
ヒルダのほうも、フローラやイルマを歳の離れた妹のような、愛おしい目で見つめていた。
しかし、そんな微笑ましいシーンを穢すような、邪な考えをする女を忘れてはいけない。
そう、ミランダだった。
彼女もまた、若かりし頃のヒルダと同じく、元冒険者、しかもS級冒険者だった。
当然ながら魔法の品の目利きもある。
ここでミランダは、彼女自身を狂喜させるアイテムを見つけてしまった。
(ああん! このアイテムでフローラさまに責められたい! さっきはあんな事言ったけど、私はほぼ未経験なんです! 腕を磨くのに忙しくて! ほぼ新品なんです。このほぼ清い身体を捧げたい!! この〇〇〇で、フローラ姉さまに責められたい!! きゃああああ!!)
「さてそろそろお時間ですね。フローラさま、今日の所はこれをお持ちください。貴女さまの建国事業にきっとお役に立つはずです」
傍に立てかけてあった、一本の奇妙な形をした杖をフローラに差し出した。
「これは?」
不思議な形をしている杖を、フローラは物珍しそうに見つめている。
「それは『野菜の杖』と言う、最近やっと完成させた特別な杖です。十分な魔力を持っている人物が用いれば、魔力を消費して野菜を生み出すことができます」
わりととんでもない杖だった。そんな逸品を惜しげもなく差し出してくる。
「すごい……。いいのですか? とても貴重だと思いますけど?」
「十年前に頂いたご恩のお返しだと思ってください」
もちろん、彼女のお礼はこれだけではない。愚王クラウスに永遠の責め苦を味わわせるのが、ヒルダの宿願となりつつある。
「では遠慮なく頂いておきます」
この野菜の杖が、まさかあんな悲劇を招くとは、フローラは予想だにしていなかった。
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