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幕間
第28話 (3/3)
しおりを挟む宿屋に戻って、再び机の前に座る。
「……詰め替えはリスクが高すぎるな……」
アホな聖騎士が間違って飲む危険性を考慮していなかった自分を呪う。というか、俺自身も割と不注意だから、うっかり口にしかねない。
「食べ物に混ぜて渡す案も……ダメだな。同じ危険性あるし」
「リオネルの飲み物に混入……? 教会の控室に侵入する……? いや、盗賊か俺は」
「……最終手段、口移し。って、絶対俺も飲むじゃん。頭イって死にそう」
ノートに“口移し→死ぬかも”とメモしつつ、自分の脳がだんだん壊れてきている気がした。
そんなとき、扉が開いて無遠慮な声が飛び込んできた。
「うーっす、勇者サマ~。明日、休息日だけどよォ……ん? なんだそのピンクの薬」
うげぇっ! アッシュ!
なんでこいつら、今日に限ってバンバン俺の部屋来るんだよッ!!!
「お、お前に関係ないだろ! 放っておいてくれ……!」
あわてて薬瓶を隠そうとした俺を遮って、アッシュがにやりと笑いながらノートを覗き込む。
「なになに……『媚薬』ゥ?」
うわ、めざとい! なんでこんなに察しがいいんだよ!
頭良いからか! くそっ!
「あっはは! おまえガキかよ? そんなもんでどうにかなるなら、世の中苦労しねーんだよ!」
なんだか既視感ある展開に、嫌な汗が背中を伝う。
「俺が試してやろうか?」
するりと手から瓶が奪われる。俺は慌てに慌て、椅子から立ち上がった。
「やめろって! お前が飲んだら、耐性ぶっ飛んでヤバいんだよ!!!」
「あァ? なんだその必死っぷり。逆に気になるな。よし、飲むわ」
「バカか! お前の魔術回路まだ焦げてんだぞ! 下手すりゃ魂まで溶けるんだよ!!!」
アッシュがへらへらと笑いながら、瓶の蓋に手をかける。
あああああ、またか!!!
「ロードッ!!!!」
再び、冒険の書を引っ掴み、時を巻き戻した。
***
「なんでだよッ……! なんで毎回、あいつらは迷わず飲むんだよっ!!」
教会のロビーで叫ぶ俺に、またしても背後から静かな声が降ってきた。
「ジーク様……お加減でも……?」
リオネル神官が、心底心配そうな顔でこちらを見ていた。
「もっ……問題無いです……! 失礼します……!」
精一杯取り繕った笑顔で返事をし、逃げるように教会をあとにした。
……そう。
全部、あなたのためなんですよ。
この命がけのちんぽ聖戦は……!!!
俺は、懐のガラス瓶の感触を確かめた。
(くそっ……これじゃ完全に、ちんぽのために時空を弄る狂人じゃないか……! でも、それでも……!)
リオネル神官に、なんとかして飲ませてみせる。
そして……絶対にちんぽを味わってみせるッ!
***
翌朝、俺は教会の前に立っていた。
重厚な扉を前にしても、作戦は未完成だ。正直、ノープランに近い。
でも、行くしかない。
今日が、リオネルちんぽ攻略戦・第一フェーズだ。
とりあえずは下見。
内部の様子を確認しつつ、あの神官様がどんなタイミングで水を飲むか、食事はどうしているか、薬品類の扱いはどうか……。
様子を見て、いけそうなら媚薬を――いや、“信仰の一滴”を投入すればいい。無理なら今日は撤退。それだけだ。
息を整え、俺はゆっくりと教会の扉に手をかけ――押し開けた。
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